こんにちは、ヴェリ歯科クリニック院長の田島です。
『あれ!昔治療したところの歯が汚くなっている』
『歯と詰め物の間に黒い線が入っている』
『前歯の治療した白い詰め物が外れてしまった』
なんて経験した方いらっしゃるのではないでしょうか。
保険治療でできる前歯の治療コンポジットレジン。歯科用プラスチックを使って前歯の虫歯に詰める方法ですが、色がついたり、周りに黒い線がついてしまったりとデメリットもあります。
もっと綺麗に前歯の治療がしたい!と思ってる方。まずはダイレクトボンディング法を知ってみましょう。
目次
ダイレクトボンディング
歯の虫歯治療を行った時に白いプラスチック、コンポジットレジンを保険治療で詰めることができますが、コンポジットレジンの色や精度にはどうしても限界があります。
もっと綺麗に歯を治療したい時にはダイレクトボンディング法を行います。ダイレクトボンディング法はどのようなものでしょうか。
こちらは虫歯を取り終わった時点の歯の状態です。
正面から左側の歯は虫歯が大きかったことがわかりますね。
こちらはダイレクトボンディング法で行った前歯のコンポジットレジン治療になります。いったい保険治療で行う方法とどう違うのでしょうか。
ダイレクトボンディング法の特徴
①高強度コンポジットレジン
保険治療で扱われているコンポジットレジンにはない高強度性が備わっています。また耐摩耗性や吸水性も改善されているので着色が付きにくかったり、磨耗して削れる可能性も改善されています。
コンポジットレジンの構造はフィラー(粒子)とマトリックス(ベース)から成り立ち、粒子が多く含有されているため強度が上がることができました。
②積層充填法
積層充填法とはコンポジットレジンを歯へ詰めるときの手順です。
保険治療でコンポジットレジン治療をするときは単色のものを歯に詰めていきます。
しかし単色であるがゆえ、歯と詰め物の境がくっきり出てきてしまったり、所々色が違うところが出てきてしまいます。
前歯は歯の先端、歯の生え際、歯と歯の間の部分(隣接面)、歯の中央と全て色が異なります。
虫歯の範囲が大きければ大きいほど単色のコンポジットレジンでは歯と連動性が取れる色の実現は難しいです。
ダイレクトボンディングでは色を使い分けていきます。最初に詰めるときは、歯の内部の象牙質に似たような色を、歯の先端に行くに従い透明感のあるコンポジットレジンを詰めていきます。
深い部分から少しずつ少しずつ色の異なるコンポジットレジンを積層させて充填することで、天然の歯の色に近い状態まで再現することが可能になりました。
積層充填をするためには天然の歯の色を注意深く見ていないとわかりません。歯は生え際によっても、先端によっても同じ色ではありません。
また光の反射角度によって色の見え方も違ってきますので天然の歯がどういう形態でどんな色なのかを知る必要があります。
前歯の形を知ろう!
歯の形は隆線と言われる凸凹の連なりが幾重か集まり作られています。
この図は上前歯の真ん中の歯、中切歯ですが、歯の中央から右と左で左右の形が異なります。
また歯の生え際、歯頸部側は丸みを帯びていて、先端に行くにつれて平坦担っていきます。
歯の裏側はくぼみが出来ていてスプーンのように真ん中がくぼんでいます。
歯の先端側から歯を見ると、歯の両サイドと真ん中にうっすら盛り上がったようなものがあります。両サイドの盛りを近遠心唇面隆線、真ん中を中央唇面隆線と言います。
ダイレクトボンディングができない場合
残念ながらダイレクトボンディングでも対処できないような場合があります。
①広範囲に虫歯が進行している歯
虫歯の範囲が極端に大きい場合、コンポジットレジンで治療することは可能ですが、強度が弱くなってしまいます。
コンポジットレジンは厚い歯質の裏打ちがあってこそ治療ができるのですが、それがない場合コンポジットレジンは簡単にかけてしまいます。
②何度も つぎはぎコンポジットレジン治療を繰り返している方
何度もコンポジットレジンの治療を繰り返していると、コンポジットレジンの範囲が多くなります。多くなればなるほど色の再現性は難しくなりますし、上のように強度も弱くなってしまいます。
③治療する歯の対合の歯が強く噛み込んでいる
歯が強く噛み込んでいるところにコンポジットレジンで治療する場合、レジンを充填する厚みがある程度必要になります。
あまり厚みが取れずコンポジットのスペースが確保できない場合、割れてしまう可能性が多くなります。
④もう二度と歯に着色や色がついたりしたくない方。
ダイレクトボンディングと言えどプラスチックはプラスチックです。色がつかないわけではありません。数年おきに研磨すれば長く審美性を保ちますが、個人差が出ます。
コンポジットレジン治療の限界でさらに審美的な治療を希望される方にはラミネートベニアでの治療をお勧めします。
歯の表面を一層削ってセラミックの板をつける治療です。
まとめ
ダイレクトボンディングは10年くらい前より普及された方法で、歯をあまり削らずに天然の歯に近い色を再現できる治療です。
ダイレクトボンディング法は奥歯の治療だけでなく、最近では歯と歯の間にできる隙間、ブラックトライアングルも治療可能になりました。
この方法を行うためにはある程度の技術が必要になります。歯科医師側も常に技術の研鑽が必要てことですね。
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