こんにちは、ヴェリ歯科クリニック院長の田島です。
歯医者『奥歯の被せ物は保険治療ですと銀歯になります。』
患者『そしたら笑った時に銀色に見えてしまいますよね。やだなあ。』
歯医者『。。。そうですね。奥歯の被せ物を白くしたい場合は保険外治療になります。』
患者『どんな被せ物があるんですか。』
歯の治療をしているとよくこんな会話を聞くことがあります。奥歯の被せ物を白くしたい場合、色々な種類の被せ物がある中でジルコニアクラウンがオススメです。
今回は『ジルコニアクラウンって何?』や、『他の種類の被せ物とどう違うの?』についてお話しします。
目次
奥歯に白い歯を入れるなら『ジルコニアクラウン』
ジルコニアクラウンは人工ダイアモンドのジルコニアってご存知ですか。
そう、偽物のダイヤです。
このジルコニアを歯科用にアレンジしたもので酸化ジルコニウムで主に構成されています。
強度は400mpa以上と非常に強く、強い噛む力にも耐えれるようにできています。
『でもそんなに強度が強い被せ物だと対合する歯を痛めちゃうんじゃないの?』
と、よく質問されますがジルコニアクラウンをしっかりと調整してつければそんなことはありません。
もっと詳しくジルコニアの強度について知りたい方はこちらへ
ジルコニアの写真
(フルジルコニアクラウンの写真)
上の図は実際に患者様に入れる前のジルコニアクラウンです。奥歯なのに透明感のある被せ物ですね。
この被せ物はフルジルコニアクラウンというもので、すべて酸化ジルコニウムで構成されています。強い力が発揮される奥歯の力にも耐えられる素材です。
(ジルコニアクラウン装着前の写真)
(ジルコニアクラウン装着後の写真)
フルジルコニアクラウンをお口の中につけた後の写真です。
他の歯と比べてとても調和のとれている色に仕上がりました。
ジルコニアクラウンの過去と現在、そして将来
上の図のように透明感が出せるようなジルコニアクラウンになったのは最近になってからなのです。
今から2〜3年前に図のようなジルコニアクラウンが開発されました。(2017年2月現在)
当初ジルコニアクラウンが発売された10年ほど前のものはお皿のような真っ白な色だったんです。
( 陶器の一種だったんですね。)
当時のジルコニアクラウンは強度が1300mPaありました。私たち歯科医師や、歯科技工士は、非常に硬いジルコニアクラウンを調整するためにバー(削る機械)を何本もダメにしていました。
とても硬いのでバーが使えなくなるのです。
当初のジルコニアクラウンは陶器のような真っ白な色と、調整のし辛さから現在のような使われ方はしていませんでした。
ジルコニアの上にセラミックをつけて製作していました。
ジルコニアオンレイヤードジルコニア(ceramic on layered zirconia)と言われています。
現在でもこの手法は前歯や奥歯でも使われていて、より綺麗に歯を作りたい方には向いています。
透明度のあるジルコニアクラウンの開発
2000年代後半からセラミックを使わないジルコニア100%の被せ物が作られるようになります。
利点としてセラミックをつけないので割れる心配がなくなります。
しかし陶器の色をどうにかしないといけません。もっと歯の色に近づけないと。。。
。。。。。すると、強度を下げると透明感が出てくることがわかりました。
その後、現在になって透明感がでるジルコニアが開発されました。
まだ透明感のあるフルジルコニアクラウンは一本の歯でのみ使用可能で、何本もの歯をかぶせるブリッジでは使用できていません。
また前歯に関しては、未だセラミックを使用した方が天然の歯の色が再現できます。
今後、より透明感を出して前歯にもジルコニア100%の被せ物ができるようになることが将来の課題ですね。
『ジルコニアクラウン』と他の奥歯への被せ物の比較
奥歯のフルジルコニアクラウンと他の白い被せ物と比較してどんなメリットがあるのでしょうか。
メタルボンド(PFMクラウン)
メタルボンドクラウンの歴史は長く、40年ほど前からある白い差し歯の代表です。
金属の裏打ちがされていてその上にセラミックをつけています。
今から20年前の白い被せ物と言ったらほとんどメタルボンドクラウンでした。奥歯にも使用され強度的にもしっかりしています。
弱点
噛み合わせが極端に強い方や歯ぎしり、食いしばりをしている方には向いてません。
奥歯などの噛み合わせの力が大きく発揮する場所ではセラミックが欠けてしまいます。
金属の裏打ちは問題ないのですが。たくさんかけてしまうと噛み合わせが低くなってしまったり、他の歯に噛み合わせの負担がかかってしまいます。
また被せ物の下の歯茎にメタルタトゥーとよばれる黒いラインが出てくる時があります。
ハイブリッドセラミッククラウン
ハイブリッドクラウンは金属の裏打ちにハイブリッドセラミックとよばれる高強度プラスチックをつけた被せ物です。
メタルボンドと作り方は似ていますがセラミックではなくプラスチックなのが違いです。
弱点
奥歯にハイブリッドセラミッククラウンを入れると噛み合わせによって磨耗が見られることがあります。
強い力の奥歯を使うことでプラスチックがすり減ってしまうのです。
あまり強い力の方には向かないです。
オールセラミッククラウン
オールセラミッククラウンはその名の通り、すべてセラミックでできている被せ物です。非常に透明感があり、一番綺麗に被せ物を作ることができます。
現在、二ケイ酸リチウムで作られる『E-MAX』はセラミックの中でも強度がある被せ物として登場しています。
弱点
残念ながら奥歯では割れてしまうリスクがあります。まだまだ強度てきには奥歯の力には耐えられません。
噛む力の弱い方には向いています。
奥歯に入れる白い歯『ジルコニアクラウン』のまとめ
歯を治療して奥歯の被せ物にはいろいろな種類の被せ物があるということ。ジルコニアクラウンのことについて少しは理解いただけたでしょうか。
患者様の噛み合わせや、歯の色の要望についてはひとそれぞれで個人差があると思います。
ご自身の歯に何が一番いいか。気になっている方、知りたい方は是非担当の先生とご相談ください。
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