巣鴨の歯医者「ヴェリ歯科クリニック」が発信する歯の知識

矯正治療が失敗しないために知っておきたいセットアップ模型のこと

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こんにちは、ヴェリ歯科クリニック院長の田島です。

矯正をする前にしっかり診断をしていないと歯がよからぬところへ動いてしまうんです。

矯正治療の失敗は年々多くなってきています。

歯科医院では他の医院で矯正治療が失敗して来院されるセカンドオピニオンも年々増えてきています。

矯正治療を決断するのは非常に勇気がいりますよね。お金をかけて長期間治療するのですから、しっかりした治療をしてもらいたいものです。

私たちが矯正治療をする上で分析と診断をしっかり行うことで治療のゴールがわかってきます。

今回お話するセットアップ模型は診断をする上でとても重要な診断材料です。

セットアップ模型

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ところで建築の場面で家を作る時、どのようにして家を作るんでしょう。

そうです。まず設計図を作りますよね。

設計図からつくらえた家から寸法を拡大し、各材料、木材やコンクリートを組み立てると思いますが。矯正治療でもそれと似たような設計図を描く必要があります。

矯正治療だけでなく一般の歯科治療でも、噛み合わせを含めた治療を行う際は設計図が必要になります。

矯正治療を行うための立体設計図をセットアップ模型と言います。

実際に模型を作り三次元的に歯の並びを見れます。

セットアップ模型とは矯正治療を行った場合どのように歯を動かせばいいかを知るための診断模型なのです。

セットアップ模型で何がわかるの?

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セットアップ模型を作ることで視覚的に歯並びが綺麗に整っているかを知ることができます。

また抜歯が必要かどうかを実際に抜歯をした場合と抜歯をしない場合と治療前にシュミレーションすることができます。

またセファロレントゲンと組み合わせることで歯を何ミリ移動させる必要があるか、さらには3次元的にどの方向へ移動させればいいかなどを知ることができます。『この歯をこっちの方向へ何ミリ動かすぞ』みたいなことです。

裏側矯正の場合

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特に舌側矯正ではセットアップ模型(綺麗に歯並びが整った状態)から逆算して装置のデザインやワイヤーのサイズなどを設計します。

また裏側矯正で一番大事な作業工程、歯に装置を付ける際にもセットアップ模型を参考にして装着します。

インビザライン、マウスピース矯正の場合

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インビザラインではコンピューター上でセットアップ模型を作って矯正診断します。インビザラインドクター専用ソフトで歯に付ける装置をシュミレーションさせて歯を揃えます。

アクアシステム、クリアライナー、などその他のマウスピース矯正でもセットアップ模型から少しずつ逆算してマウスピースを製作します。

約0.2mm以内に歯を動かしてはマウスピースを作ります。1.0mm移動させたい時は5個のマウスピースが必要ということです。

 

セットアップ模型を簡単に言うと矯正治療前に自分の歯並びの未来模型を作るということですね。

ではどのような工程で診断するのでしょうか。

セットアップ模型の手順

①治療前の歯型を取り模型を作ります。

②模型の歯をそれぞれ分割していきます。(歯をバラバラにします。)

③バラバラになった歯を並べ直して綺麗に揃えます。

並べ直す際に、歯の両サイドを削ったりして調整するか、抜歯が必要かどうか、また調整はしなくていいかなど診断していきます。

(実際には模型上の分析以外にも顔との調和、唇との調和、スマイルラインなども診断材料になるためセットアップ模型のみが診断材料ではありません。)

セットアップ模型の利点

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①視覚化

模型を実際に視覚化できるので患者さんとしては自分の歯がこんなに綺麗に並べるのだというモチベーションアップが期待できます。

また矯正治療で抜歯が必要な時もセットアップ模型を使って説明することができるので『歯を抜かないとこれくらい広がってしまう』などの説明ができます。

②情報の共有

矯正治療を行うために携わる歯科技工士と情報を共有することで、より正確な装置の製作、信頼関係にもつながります。

③調整する場所、調整する量の詳細がわかる

歯を動かした時に歯のサイドを削る(ディスキング)をする必要がある場合、セットアップ模型から歯によって削る量が異なることを厳密にわかることができます。

セットアップ模型ではわからないこと

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セットアップ模型はあくまで歯並びの模型、咬合器で分析する場合に限定していることです。

咬合器上では実際に綺麗に歯が並んでいても、お口の中を見てみると、唇から飛び出して出っ歯に見えたり、歯茎から出すぎたりして揺れてしまっている歯も見受けられます。

またブラックトライアングルと言われる歯と歯の隙間が大きく見られるようになってしまった方もいらっしゃいます。

歯と歯茎の関係、歯と唇の関係、歯と顔の関係を考慮し調和の取れた歯並びを得なくてはいけません。

そのためセットアップ模型はあくまで診断材料の一つということで認識しなくてはいけません。

まとめ

矯正治療の失敗は患者も歯科医も望まない結果です。そのためにもしっかりと診断をする必要があります。

一大決心をして決めた矯正治療なんですから、失敗はしたくないものですね。

セットアップ模型が矯正診断の一つの材料としてご理解いただけたでしょうか。

適正な診断が矯正治療の治療期間や矯正移動をよりわかりやすくさせます。またご自身の矯正後何年後かの歯並びもある程度わかるのではないでしょうか。

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