巣鴨の歯医者「ヴェリ歯科クリニック」が発信する歯の知識

進化したインビザライン治療のできること、苦手なこと

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こんにちは、ヴェリ歯科クリニック院長の田島です。

 

インビザラインはマウスピース型の矯正装置で取り外しのできる画期的な矯正治療法です。

しかし全ての歯並びをマウスピース矯正で治せるわけではありません。

インビザラインでできる治療、できない治療(苦手な治療)を今回はお話しします。

インビザラインと他のマウスピース矯正との違い

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マウスピース矯正と呼ばれるマウスピース装置を定時間装着して歯を移動させる矯正法はインビザラインだけでなく多くのメーカー、大学で開発され商品となって普及されています。

日本ではアクアシステム、クリアライナー、デンマウスピース、アソアライナーなど他数社からマウスピース矯正装置が販売されています。

マウスピース矯正の主な働き

歯の表面に力を加えるとその力の作用方向で歯は動いていきます。

歯は歯冠と呼ばれる歯茎から出た歯の頭の部分と歯根と呼ばれる歯茎の中に入った歯の根の部分に分かれるます。ですから、歯の表面(歯冠部)に力を加えると歯冠部と歯根部が同時に動きます。

歯冠部だけの力の作用を考えるだけでなく歯根部の移動も考えて矯正をしなければなりません。

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歯の移動形式では傾斜移動と歯体移動と呼ばれる方式がありますが、基本的なマウスピース矯正の移動形式は傾斜移動が主体になります。

それゆえマウスピース矯正では基本的に傾斜移動のみで改善できるような簡単な症例の矯正治療しか対応できていませんでした。

進化したインビザライン

インビザラインも他社のマウスピース矯正と同様、傾斜移動主体の装置でしたが2010年頃より新しいシステムが開発されあらゆる機能が搭載されたことで今まで難しかった症例も治療が可能になりました。

新しい技術

①歯根トルクコントロール

歯に力を与える時にプラスチックの形状によって歯の根を動かすように設計されています。(パワーリッジ機能)

従来のマウスピース矯正でできなかったトルクコントロール(歯の根の移動)を行うことがこれにより可能になりました。

②挺出用アタッチメント

歯の表面にはプラスチックのボタンを取り付けることがあります。

このプラスチックボタンの角度によってマウスピースの当たる力と作用させる方向をコントロールします。

歯を伸ばす方向に移動させることを挺出と言います。歯にプラスチックボタンを入れ、その角度に準じて力を加えることで歯を挺出させることができます。

上1 のコピー

図のようにマウスピースの力を挺出方向と舌側方向に分散させ移動させますが、上の前歯4本をまとめて挺出させる機能も持ち合わせています。(マルチトゥースアタッチメント)

これにより開咬(前歯が空いて奥歯のみで噛み込んでいる様式)の方でもマウスピース矯正が可能になりました。

③回転用アタッチメント

犬歯や小臼歯で行う回転移動をプラスチックボタンを付与することで望んだ方向へ回転できます。

④リトラクション機能

歯のスペースが足らなくなった時に歯を抜歯し、そのスペースを利用して矯正を行います。(抜歯矯正)

主に第一小臼歯を抜歯し隣の犬歯群と第二小臼歯群を引っ張りあって歯を並べます。

従来のマウスピースでは抜歯矯正には適用できず、非抜歯矯正の症例しか適用ではなかったのです。

インビザラインでは臼歯を移動させたり、犬歯を移動させることが可能になり(リトラクション)抜歯症例でも治療が可能になりました。

つまり

これらの機能が加わったことで傾斜移動しか行えなかったマウスピース矯正に歯体移動が加わり、圧下、挺出機能や歯の根の回転機能も可能になりました。

現在全世界にインビザラインは普及され400万症例の患者様に治療が施されています。

しかし全ての症例がインビザラインで治療可能というわけでもありません。

現在のインビザライン治療ではできないことと(苦手なこと)、インビザラインが不得意とするところもあります。

インビザラインが不得意なところ

インビザラインで全ての症例がまかなえると言われている先生もいられると思いますが、ここではインビザラインの不得意なところをお話ししたいと思います。

大臼歯の挺出

ワイヤー矯正でも難しいのですが、奥歯を持ち上げる作業はマウスピースのみだと難しいです。

過蓋咬合(深く噛み込んでいる方)の歯を挺出させる症例はやや難しいです。

リトラクションの距離が大きい時

抜歯矯正の場合、抜いた第一小臼歯のスペースを犬歯と第二小臼歯でお互い近づけ距離を縮め、綺麗に並ばなければなりません。

しかし抜歯したスペースが非常に大きい距離だと、距離を縮めるのに限界があることも分からなければなりません。

第二大臼歯の移動は2mmが限界のようです。

付与アタッチメントでの移動には限界がある

歯の表面にプラスチックをつけ(アタッチメント)アタッチメントの形状によってかかる矯正方向をコントロールしてるインビザラインですが、付与されたアタッチメントによって動く矯正距離は限定的なものです。

圧下や挺出は0.5mmが限界でトルクは3度が限界、歯体移動0.75mmが限界です。

数値の限界を超える矯正治療ではブラケット矯正の方が扱いやすいかもしれません。

まとめ

進化したインビザラインの技術によって矯正治療の幅は大きく広がったことと思われます。

しかしインビザラインであれ、そうでなかれ、無理な設計は無理な矯正治療を行い、散々な結果に終わることもあります。

歯は並ぶけど歯茎から歯が露出したり、揺れてしまったりとなっては矯正治療の甲斐がありません。

十分に矯正をする為にはインビザラインであれ、従来の方法であれしっかりと検査をして診断していただくことが重要です。

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