巣鴨の歯医者「ヴェリ歯科クリニック」が発信する歯の知識

お餅で銀歯が取れてしまう6つの理由と対処法

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こんにちは、ヴェリ歯科クリニック院長の田島です。

お正月開けは歯医者さんに駆け込む方も多いのではないでしょうか。

その原因の一つにお餅で銀歯が外れた!!というのをよく聞きます。

そもそも銀歯がはずれるにはいろんな原因があると思われますが、なぜ銀歯が外れてしまうか。その原因についてお話ししましょう。

銀歯がはずれる理由

そもそもお餅やガム、キャラメルなどの粘着性の食べ物を食べててもしっかりと銀歯が接着されて、安定した噛み合わせであればはずれることはそうそうありません。

しかし銀歯がつく歯の状態によって外れやすい状態に陥ってしまうのです。

以下がその主な原因です。

1 銀歯の下で虫歯になっている

銀歯の下に虫歯があると接着しているはずのセメントが外れそこにスペースが生まれます。虫歯はさらに進行してどんどんセメントを溶かしてしまいます。セメントがどんどんなくなってくると銀歯は維持力を失い次第に取れやすい状態になります。

お餅ははずれる引き金材になり、ある日食べた時に銀歯もろとも取れてきます。

2 銀歯がとても薄い

銀歯は歯とずっとくっつくために容易には外れないような形態を持たなければなりません。そのためある程度の厚みが必要になります。

金属の厚みが2mm以下になると銀歯と歯の維持する能力は減ってしまいます。

つまり外れやすい形態の詰め物になります。

厚みが確保できない銀歯になってしまう理由として、

①神経が近すぎてどうしても深く削れなかった。

②患者さんの痛さへの反応が強すぎて、あまり深く削れなかった。

③歯医者さんの形成設計の不備

④歯ぎしりやくいしばりによる磨耗によって銀歯が薄くなる

などがあります。

理由はどうあれ薄い詰め物は外れやすいので餅で誘発されてはずれる場合もあります。

3 銀歯の一部分に強い噛み合わせが生じている

銀歯は歯の部分的な詰め物です。

対合の歯は銀歯が入っている歯のいろんな箇所に噛み合わさっていると思われますが、例えばその噛み合わせが全体的に均等にかみ合っているのではなく一箇所でしか噛んでいなく、そこが銀歯の一部だとするとどうでしょう。

銀歯の一部に過剰な負荷が加わって銀歯の別の場所がてこの原理で持ち上がります。持ち上がる力を受けている場所のセメントはなくなっていき、セメントが取れることで銀歯は次第に外れていきます。

4 銀歯を止めているセメントが溶け始めている

そもそも1〜3の直接的な原因がこのセメントの溶出(溶けること)ですが、銀歯を維持するセメントが溶け出すには他の原因として

①銀歯と歯の間にスペースが多くありそのスペースの大部分をセメントに依存している場合、セメントは溶出しやすいです。

②また銀歯と歯の間にもともと隙間が入っていると最初は維持されてますが次第にセメントは溶け出してしまいます。

5 デンタルフロスの誤った使い方によるもの

デンタルフロスを使う場合どうしても誤った使い方で容易に外れてしまいます。

詰め物と歯の境にフロスが食い込み無理な力で持ち上げてしまうとフロスが引っかかったところからはずれてしまう場合もあります。

はずれてしまわなくてもセメントが取れる場合もあります。

6 銀歯が劣化している

銀歯自体、実は錆びない金以外に銀、銅、パラジウム、インジウムなどの錆びる金属も含まれています。この金属が錆びたり、劣化することで歯のセメントとの間に隙間を作りやすくします。

またセメント自体も永久的なものではなく次第にはげていく場合もあります。

銀歯が外れないようにする治療法

詰め物が外れないようにする場合、上の理由を考慮して治療すれば十分対処できると思われます。

1 セラミック治療に変更する。

銀歯とそれをつけるセメントは保険治療用の材料になります。

保険外治療では保険治療で扱われているものより性能のいいセメントが多数あります。

またセラミックは体に害がないので金属の劣化という面では最善の治療法です。

2 虫歯の範囲が大きい歯は被せ物にする。

虫歯が大きい場合、その歯に対しての噛み合わせは銀歯がその大部分を占めます。詰め物タイプ(銀歯に限らず内側性保持のいわゆるインレータイプの補綴物)は噛み合わせにその大部分が当たると外れやすくなります。

奥歯などの過大な負荷が加わる場所で虫歯が大きい場合は、詰め物ではなく被せ物に切り替えることをお勧めします。

注 詰め物のことをインレー(内側性保持)、被せ物のことをクラウン(外側性保持)と言います。

3 噛み合わせを含めて全体的に均等に咬合させる

噛み合わせが不均一だったりすると歯にかかる負荷が大きい歯と小さい歯に分かれます。そのため負荷が大きい歯の銀歯は外れやすくなるので、全体的に考慮された噛み合わせ設計が重要になります。

詰め物がある歯だけを診るだけでなく全体的な噛み合わせを診なければなりません。

4 古くなった銀歯、隙間がある銀歯は治療する

劣化した銀歯、隙間がある銀歯は極力やりかえをお勧めします。

虫歯のリスクを回避することで歯の延命にもつながります。

5 歯ぎしりが強い方はマウスピースを作る

歯ぎしりによって銀歯に過剰な負荷が加わるとはずれる原因になるので、歯ぎしりがある方はマウスピースで歯を守りましょう。

6小さい虫歯の治療は銀歯ではなくプラスチック治療にする

小さい虫歯治療に銀歯を選択する時代はすでに終わりました。銀歯をつけるために深く削り、多く削るより、最近ではMIコンセプトと言われる最小限の治療をお勧めします。

銀歯よりも小さく削って詰めるプラスチックをお勧めします。

まとめ

お正月はお餅で銀歯がはずれる季節ですが、実ははずれる前からその銀歯には原因があったかもしれませんよ。

外れた銀歯をもう一度つける前に、外れた原因をしっかり見極めてもらう歯医者さんへ行くことをお勧めします。

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