巣鴨の歯医者「ヴェリ歯科クリニック」が発信する歯の知識

保険治療の歯石除去、クリーニングがわかる5つのプロセス

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こんにちは、ヴェリ歯科クリニック院長の田島です。

歯石を落としたい時に歯医者さんで歯石取りをしに行くと思いますが、『保険治療で歯石は取れるのか。』『歯石除去はいくらか。』という質問をよくいただきます。

今回は歯石は保険で治療できるか、歯石ってそもそもなぜできるの?を中心に話したいと思います。

歯石とは?

歯石は歯の周りにできる石のようなものです。歯と歯茎の間にでき始め、硬くこびりついてしまうと歯ブラシでは除去できなくなります。

最初に歯と歯茎の間にプラーク(食べ物の残りかすと菌がついたもの)が停滞しますと、唾液の成分やお口の中の菌によってだんだん固まっていきます。

お口の環境にもよりますが早い人で1ヶ月ほどで歯石がつく方も見受けられます。また適正な歯磨きで数年全く歯石がつかない方もいらっしゃいます。

これは患者様の

1 唾液の成分の違い

2 歯並びによるもの(乱杭歯の方が綺麗に並んでる方よりつきやすい)

3 歯磨きのスキル

4 口の中の菌の数

5 食生活

などによって差があります。

しかし実はこの歯石自体はさほど歯茎に悪さを起こしません。ではなぜ歯石を取らないと歯を支える骨が溶けてしまう歯周病になってしまうのでしょうか。

その答えは歯石には2種類あるということを知らなければなりません。

歯石の種類

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歯石には大きく分けて歯と歯茎の境(歯肉縁)から上にある歯石とその下にある歯石があります。

縁上歯石

縁上歯石とは先ほどの歯茎の縁(フチ)から上にある歯石のことを呼びます。主に唾液の成分によってプラークがかたまったものです。縁上歯石の多くは酸素がある環境でも生きていける菌が主です。

マトルショッティとよばれる菌は主にプラークや菌を石灰化させる能力があります。この縁上歯石自体にはさほど歯茎や歯を支える骨に対して悪影響を与える要素はありません。

しかし間接的に歯茎を弱らせます。それは縁下歯石をつくる手助けをすることです。

縁下歯石

縁下歯石とは歯茎の縁(フチ)から下にできる歯石を呼びます。

縁上歯石が作られると歯茎にこびりつき歯茎の下に酸素のない環境を生みます。

縁下歯石の多くは嫌気性菌と言われる酸素のない環境で育つ菌が占めます。縁上歯石が蓋のような役目で歯茎に蓋をすることで嫌気性菌が作られるという機序です。

嫌気性菌の多くはリポ多糖と呼ばれる毒を出して歯茎や骨を溶かしていきます。また硫黄性のガスを出すことで口臭の原因になります。

これが歯周病の原因と言われています。

縁上歯石は縁下歯石に随時栄養分を与えたり、酸素のない環境を作ることで間接的に歯周病の手助けを行います。

 

保険治療で歯石除去、クリーニングするときのプロセス

保険の歯周病治療では縁上歯石と縁下歯石を踏まえてあるルールのもとで歯石除去を行います。そのため患者様一人一人で治療回数や治療プランが変わっていきます。

1 レントゲンを撮影したり、歯茎を触って歯周病の検査をする

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まず歯石を取ってと言われてすぐに歯石を取ることは行いません。最初にレントゲンで歯と歯を支える骨の状況、骨が溶けていないかを診ます。また歯茎に目盛りの付いている器具を使い骨が溶けている場所があるか計測します。

これをポケット検査といい、歯茎の状態を全体に把握しなければなりません。

このほか歯の揺れや歯の出血の有無なども診ます。

2 歯磨きの仕方、状況や生活習慣を聞いてお口の中のカウンセリングをする

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歯磨きの状況や普段の歯磨きの仕方以外にも、喫煙しているか、糖尿病などの内科系の疾患がないか、噛み合わせの状況などを診てカウンセリングします。

3 縁上歯石をクリーニングする、歯磨き指導をする

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ここでようやく歯石除去になります。歯石は縁上歯石を超音波の機械や、専用の器具を使い歯石を取っていきます。

歯石除去後、歯面を専用のブラシで清掃します。また歯磨きのアドバイスをしてお口の中の環境改善を目指します。

ここで歯石がたくさんある方は何回かに分けて除去します。二回くらいの来院が必要になります。

4 検査をもう一度して歯茎が治ったか再評価する

歯石を取って、数週間後にもう一度検査をします。歯茎の状況を見て歯石がないか、歯茎の炎症がないかをチェックします。

ここで一通りの歯石除去の流れは終わります。

ここまで行うためには何回かの来院が必要になります。

5 縁下歯石がある方や評価が悪い方は続きの治療をする

縁下歯石が多く見られる方はさらに何回か通院して歯茎の下にある歯石を綺麗に取らなければ改善しません。

場合によっては麻酔を使って治療をし、歯周病がすでに進んでしまっている方には歯茎の小手術をしなければならなりません。

歯石除去は保険治療でいくら?

歯石除去は歯石のつき具合、歯茎の状態によって個人差はありますが上のプロセスの3までで初診の方、レントゲン撮影込みで4000円以下で行えます。レントゲン撮影なしや、再診の方はさらに安くなります。

しかし、保険治療は歯周病治療の一環として行わなければ原則いけませんので、ルールのもとで歯石除去を行います。

『私はレントゲンや検査しないでクリーニングしてほしい』方には

では、検査やレントゲンを撮りたくなく歯石を取りたい方はどうすればよいでしょう。

自費のクリーニングPMTCをお勧めします。

PMTC

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プロフェッショナルメカニカルトゥースクリーニングの略でスウェーデンで始まったクリーニング法です。

専用のエアフローと飛ばれる器具を使い、ヤニ、茶渋、歯の汚れをとります。また縁上歯石を超音波器具で除去し、歯にはフッ素や歯科医院お勧めのジェルコートで磨きます。

基本的には自費の歯石除去ですので歯科医院によってプランや金額に差はありますが4500円くらいから5000円前後が相場なようです。

まとめ

歯石の種類によって保険治療での来院回数が違うこと、自費のクリーニングがあること、理解していただけたでしょうか。

歯周病は生活習慣病の一つで30代で80%以上の方で持つ病気です。

お口の中を清潔に保つために定期的に歯医者さんでクリーニングをお勧めします。

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