巣鴨の歯医者「ヴェリ歯科クリニック」が発信する歯の知識

「骨の量がなくてインプラントができません。」に朗報!スプリットキャスト法について知っておきたいこと

Zahnimplantat

こんにちは、巣鴨ヴェリ歯科クリニックの田島です。

「残念ですが、インプラントを入れるための骨がありません。入れ歯かブリッジの治療で考えましょう。」

なんて、歯医者さんでの一コマです。

インプラントは人工歯根を抜いた歯の場所に入れて、歯を復元する治療法です。

しかし顎の骨が薄かったり、もともと骨の量がないところにはインプラントを入れることはできないのです。

無理にインプラントを入れてしまうと神経が麻痺したり、うまくインプラントが骨とつかなくなり重大なトラブルにもなりかねません。

今回はそんな骨がなくなってしまった方、骨の幅が狭い方にでもインプラント治療ができる方法についてお話しいたします。

骨がなくなってインプラント治療ができない方へ

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インプラント治療は骨のあるところに入れます。骨とインプラントがくっつくことで人工の歯として機能するのです。

しかし骨がなくなってしまうとインプラント治療に障害が生じます。

下の顎の場合は大きな神経(下顎神経)との距離が近くなりすぎてインプラントを入れるのが危険になります。(神経損傷するため)

上の顎の場合、上顎洞と言われる鼻腔につながる穴が障害になります。

上顎洞にインプラントが突き抜けてしまうと上顎洞炎などの炎症が起こることがあります

このようにインプラントをするためには十分な骨量が必要といえます。

しかし骨がなくなってしまってもインプラント治療を行うことができる方法が幾つかあります。

その中で今回は骨の横幅がなくなってしまった方のために知っておきたい治療法をご紹介します。

骨がない方、骨幅が狭い方にでも可能なスプリットキャスト法とは?

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骨幅を厚くしてインプラント治療を可能にする方法はスプリットキャスト法、リッジエクスパンジョン、スプリットクレスト法などとも呼ばれています。

骨幅の狭い部分に小さい切れ目を作り、そこにボーンスプレッダーと呼ばれる器具で骨を横に広げ、インプラントの直径ほどの幅まで拡大した後でインプラント体を入れます。

そもそもインプラントの直径各社誤差はありますがは一番細いタイプのもので3.3〜3.7mm前後です。

インプラント周囲には1.5mmの骨が必要と言われています。つまりインプラントを入れるためにはどうしても合計5mmほどの骨幅が必要なのです。

骨の幅が4mmや5mm以下ですと、インプラントはうまく骨とくっつかなく、インプラント体が外部に露出する危険性があります。

そのためスプリットキャスト法によって4mmから6mmくらいまで骨幅を厚くすることでインプラント体が十分骨の中に収まるようにします。

スプリットキャスト法の流れ

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どのように骨幅を広げるのか、各歯科医院によって手技は多少異なります。

また現在と数年前とでは骨に亀裂を作る器具がノミや木槌だったのにたいし、今では超音波器具で行えるようになりました。

これにより術中の不快感、アクシデントなどが減りました。(木槌とノミでは叩くたびに振動が響いたり、思わぬ方向に亀裂ができたりとかなり問題があったようです。)

①外科用超音波器具で骨の真ん中に亀裂を作ります。(ソノサージェリー)

超音波器具(ピエゾサージェリー、バリオス、メクトロン)によって低侵襲にまた簡潔に亀裂(溝)を作れます。

亀裂はインプラント体よりもやや深めに作ります。

骨に沿った亀裂線に垂直な亀裂も作ります。(頬舌的な溝)

②インプラントを入れる場所にドリリングをして穴を作ります。

インプラント体を入れる場所に一番細い径のドリルで形成窩を作ります。

だいたいどこのインプラントメーカーも2.0mmがイニシャルドリルです。

③ドリリングした場所にボーンスプレッダーで拡大します。(リッジエクスパンジョン)

2.0mmの後は次の径のドリルで削らず、ボーンスプレッダーで周囲の骨を押して拡大させます。

この時手動で行うとブレてしまうため、近年ではインプランターに装着して自動で拡大させます。

④インプラント体を埋入します。

埋入する径のサイズ一歩前まで拡大して、インプラント体を埋入します。

⑤広がった亀裂のスペースに骨補填材、骨置換材などを詰めます。

拡大した亀裂部分いスペースが生じます。スペースには各種骨補填材、骨置換材、混合材などを注入します。

骨置換材はこちら

骨補填材はこちら

まとめ

スプリットキャスト、リッジエクスパンジョン、スプリットクレスト。

骨幅を広げることで今までインプラント治療が難しかった方にも応用ができるようになりました。

しかし、すべての方に必ずできるというものでもありません。

できるかどうかは担当の先生の診断、CTの読影値、医院の設備などで判断されます。

もしご自身のお口の中でインプラント治療が難しいと言われたことがあればぜひ骨幅拡大法を参考にしてみてくださいね。