こんにちは、ヴェリ歯科クリニック院長の田島です。
『矯正治療をしててもうまくいっていない。』『自分の思っているような歯並びになっていない。』
と感じている方はいませんでしょうか。
なぜそうなってしまったのでしょう。
矯正治療の合否を決めるためにはあらかじめしっかりとした治療計画、治療方針を持っていないといけません。
矯正治療を受ける時に知っていただきたい3つのことを今回はお話しします。
目次
矯正治療の診断
裏側矯正、表側矯正、マウスピース矯正、床矯正などいろいろな矯正治療が現在普及されています。どんな矯正治療法であれ治療は緻密な計画のもとになされています。
矯正治療に限らず歯のかみ合わせ治療でも、そしてそれ以外の分野でも、例えば家を建てる時、車を作る時でもそれを作るための設計図がなくては物を適正に制作することはできません。
無計画に歯を動かしたり、歯をむやみに動かしてかみ合わせが狂ってしまったり、所定の位置まで歯が動かないことは歯科治療として好ましくありません。
歯をどの方向に何mm動かして、どのように噛み合わせを作っていくか、を決めるためにまず現在のかみ合わせと今後矯正治療をして動く軌跡を決めるために治療を行う前に3つの必要な資料を作らなければなりません。
下に必要な3つの資料を説明します。
1 セファロレントゲン
セファロレントゲンは顔の側面や正面側を撮影するレントゲンです。
顔の側面の画像によりわかることは主に
① 顎が出ているか、引っ込んでいるかがわかる。
側面画像より上の顎が出ているのか下の顎が出ているのかを診断します。基準になるのは頭蓋と呼ばれる頭の骨に対しての上顎の骨、下顎の骨の突出具合を診ます。頭蓋に対して上顎骨が出ていることを骨格性上顎前突。頭蓋に対して下顎骨が突出しているのを骨格性下顎前突と呼びます。
② 歯が出ているか、引っ込んでいるかがわかる。
上の歯が出っ歯になっているか、下の歯が受け口になっているかを診ます。頭蓋に対しての上下顎骨が正常な位置で上の歯が出ていることを歯性上顎前突、下の歯が出ていることを歯性下顎前突と呼びます。
③ 規格化されているので矯正治療によって歯や骨の成長、動きが比較できる。予想できる。
セファロレントゲンは頭部X線規格写真と言われ、頭の位置を中心に上下の顎、歯がどのように成長(動いているか)を経年的に診ることができます。そのため矯正治療では幼少期から青春期、成人期に至る骨や歯の発育を知ることができます。
④ 歯の噛み合わせのラインがわかる
歯の噛み合わせのことを咬合平面と呼びます。セファログラムより上下の前歯が噛んでいる点と上の奥歯(上顎第一大臼歯)の平面を結んだラインを指します。
咬合平面は急になっても、またフラットになってもいけません。咬合平面を知ることで噛み合わせの治療、矯正治療における評価につながります。
⑤ 矯正の分析(セファロ分析)により治療法の分類ができる。
①〜④のことを含めてセファロ分析と言います。セファロ分析は歴代の矯正医によって様々な分析法が生まれました。
現在その分析法を利用し歯科医は矯正治療を行っています。しかし矯正分析は一つの分析法でまかなえるという単的なものではなく複数の分析をトータルで評価し最善な治療を見出します。
そのため矯正医によって分析法や、治療法が異なるのです。
2 セットアップ模型
セットアップ模型とは歯がガタガタしている場合、仮想で歯を動かして歯がどのように動いたらいいのか、歯を動かすためにどんなスペースを作ったらいいのかを検討します。
例えて言うと矯正治療は満員電車の中で窮屈になっている状態から整列してもらうようなものです。
満員電車なので無理やり整列することはできません。どのように整列するかというと
①途中で何人か電車から降りてもらい、整列する。
②何人かの荷物を置いた状態、厚手のものから薄着になってもらい整列してもらいます。
矯正治療に置き換えると①は抜歯をしてスペースを作ります。抜歯をする歯は大抵第1小臼歯と呼ばれる犬歯の隣の歯が多いですが、その隣の第2小臼歯、場合によって奥歯(大臼歯)を抜歯して、生まれたスペースを活用させて歯を並べます。
②は特に前歯の何本かを0.2mmずつ削ってスペースを作ります。5箇所を削ると0.2×5の1mmのスペースが利用できます。
これをディスキングと呼びます。
セットアップ模型はこのような歯のスペースの問題だけでなく、歯を何mm動かさねばならないかなどを含めて総合的に矯正治療の診断を行います。
3 口腔内写真、顔の写真、模型
1、2は歯の並びや骨の位置などを診断できますが、歯並びが綺麗でも歯が唇からかけ離れた位置にあれば審美的に問題になります。
笑った時の写真を撮ることでスマイルライン(リップと歯の位置)がどう変化したかがわかります。
また顔の側面の写真から鼻の先頭とオトガイを結んだE-LINEの評価を行います。
E-LINEはエステティックラインと言われこのライン上に上下のリップが軽く触れると審美的と言われます。
矯正前の状態と矯正治療後の状態が顔貌を通して審美的に変化できたかを知ります。
また実際にお口の中の歯の状態を模型や写真で知ることで歯の並びを側面からの二次元だけでなく三次元的に治療できるよう診断します。
模型によって歯だけでなく歯ぐきの状態、骨の状態を知ることもできます。
まとめ
矯正分析は部分矯正であれ全部矯正であれ必要です。なんとなく歯が並ぶように動かすと、思わぬことが起きてしまう可能性だってあります。
歯の位置を変える。お口の中を変化させるということは、非常に重大なことで精密な計画のもとで治療を行わなければなりません。
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