巣鴨の歯医者「ヴェリ歯科クリニック」が発信する歯の知識

知ってほしい、虫歯はあえて削らない神経を残す4つの治療法

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こんにちは、巣鴨ヴェリ歯科クリニックの田島です。

『歯を削りたくない』

『たくさん削られて神経を取られた。』

『虫歯を痛くなく治療したい!』

誰しも虫歯があっていい気持ちにはなりません。

歯医者だってなるべくなら行きたくないですよね。

そんな歯医者嫌い、なるべく歯を削られたくない方に最新の削らない治療法をご紹介します。

虫歯をあえて残す治療法

①ドックベストセメント治療

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ドックベストセメント治療は神経に近い部分にドックベストセメントを塗り、ドックベストセメントの銅イオンによる殺菌効果によって虫歯を殺菌させる方法です。

虫歯をあえて残して薬の薬効で虫歯を殺菌します。

通常『虫歯を削って神経が出たら神経を取る』

という概念を覆した方法で、歯の神経を取らずに温存させる方法です。

ドックベストセメントについては以前のブログ記事で詳細を書いております。

ドックベストセメントについてはこちら

ドックベストセメント②についてはこちら

ドックベストセメントができない症例について

ドックベストセメント治療トラブルについてはこちら

②3mix治療

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3mix治療とは正式には3mix-mp方とよばれています。

虫歯菌を殺菌する3つの抗生物質と軟膏材のマクロゴール (M)・プロピレングリコール (P)を混ぜ合わせ、3薬剤が混ざりやすいよう、歯の組織に停滞しやすいようにペースト状に作ります。

3つの抗生剤はどんな細菌でも効果があるようそれぞれの薬効は異なります。

シプロキサン

ニューキノロン系の薬剤で細菌の核(DNA)に直接効く効果があります。

ミノサイクリン

テトラサイクリン系の第一選択薬剤です。テトラサイクリン系とは細菌の細胞質に直接効く薬剤です。

メトロニダゾール

抗原虫薬、抗菌薬の一つで主にトリコモナス原虫によく効きます。原虫のみならず、嫌気性菌(虫歯菌も嫌気性菌)にも効果を発揮します。

 

これら菌に対する薬効が違うため幅広い効果で虫歯菌の活動を抑えます。

3mixは非常に不安定で保管する保存期間が1日なので必ず作り置きはせず、診療当日の朝か、治療前に作成します。

専用の保存パックで遮光し、冷蔵庫で保管します。

治療直前で取り出し使用します。

3mixの治療法

①虫歯をエナメル質の範囲で削ります。

②極力象牙質まで進行した虫歯は削らずにEDTA液で洗浄します。

③3mixを虫歯の部分に入れて殺菌させます。

④レジン系のセメントで封鎖したら様子を診て症状がなければ詰め物を入れます。

④オゾン治療法

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(出展:http://www.healozone.de))

オゾンガスの強い殺菌効果を虫歯にも期待し開発されたオゾン発生器(ヒールオゾン)で治療を行います。

ヒールオゾンはドイツのカボ社(現在取り扱い中止)で作られヨーロッパを中心に予防処置、虫歯治療に使われていました。

ヒールオゾンから高濃度2900ppmのオゾンガスが発生し虫歯や根管(神経の治療)に対し効果を発揮します。

ヒールオゾンで行える治療

①虫歯予防に

歯にオゾンガスをあてることでガスの酸化作用により化学反応が起こります。

歯にリカルデント(カルシウムやリン)、フッ素を取り込みやすくなり、歯質強化として効果を発揮します。

②神経を取らない治療に

大きい虫歯の場合、神経に近い部分以外の虫歯は取り除き、神経に近い部分の虫歯は残してオゾンガスを当てて殺菌させます。

虫歯をあえて残しヒールオゾンで殺菌し神経を温存する治療に応用します。

③根管治療にも(歯の根の治療)

歯の根の治療を何度行っても治らない病巣にオゾンガスを当てることで病巣が小さくなります。

これにより根管治療でもオゾンガスの有用性が期待できます。

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④レーザー治療法

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歯は削らずにレーザーで治療する方法です。

歯科で使われているレーザーはCO2レーザー、Er.YAGレーザー、Nd.YAGレーザー、ダイオードレーザーなどあらゆる波長のレーザー装置が使われています。

またレーザー出力も高出力から低出力まで範囲を選択することができ、口内炎から虫歯治療、歯周病治療などに応用することができます。

レーザーを使って神経を残す治療

高出力なレーザーによって歯を削らずに虫歯菌を治します。削ることで神経を取るリスクが増えてきますが、レーザーはこの削るというリスクを減らします。

またレーザー光は歯を硬く強くさせて再び虫歯になってしまうのを防ぎます。

レーザー治療は基本的に麻酔を使わず施術します。しかし極度に痛みが敏感な方は麻酔をして行う場合があります。

最後に知ってほしい意外な落とし穴

今回は4つの治療法についてご紹介しましたが、この4つの方法実は医学的文献はまだ十分ではありません。

ドックベストセメントや3mix法は現在日本でのみ広まっている神経を残す治療で、海外の歯科ではあまり聞きません。

またヒールオゾン治療においてもヨーロッパで根拠があるかないかの論争が起こり、現在開発したカボ社は撤退しています。

レーザー治療法も歯の結晶構造を変えたり、組織を変性させることは文献でありますが、虫歯を残して殺菌できるなどのデータは今の所十分ではありません。

医院によっては過剰に治療法を宣伝しているサイトが多くありますが、一番信頼ができるのはウィキペディアではないでしょうか。

また公式に認められているかは歯科学会などの大きい組織に委ねられています。

治療はあくまで自己責任で

なるべく神経を残したい、歯を削りたくない気持ちは誰だって同じです。

歯医者さんもなるべく残してあげたいって思っています。

ドックベストセメント、3mix、オゾン、レーザー。このほかにも様々な方法がありますが、医学的根拠のない治療を行うかどうかはあくまで自己判断でお任せします。

医学は進歩しています。

近い将来、画期的で根拠のある治療法が現れてくるかもしれませんね。

そう遠くない未来に。

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