巣鴨の歯医者「ヴェリ歯科クリニック」が発信する歯の知識

「ドックベストセメントで治療した歯の仮の詰め物がよく欠けたり、外れてしまいます。」の対処法

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こんにちは、巣鴨ヴェリ歯科クリニックの田島です。

歯の神経を残す治療、ドックベストセメント治療が治療導入されて約10年。

2017年現在、多くの歯科医院で導入されているようですね。

患者さんの歯をあまり削って欲しくない、神経を残して欲しいという要望に沿った治療法なので、需要と供給のバランスがあったのでしょうね。

しかしそんなドックベストセメント治療は全ての症例に使えるわけではないのでしっかりリスクを踏まえて担当の先生とご相談してくださいね。

以前のドックベストセメント記事についてはこちら

今回はそんなドックベストセメント治療を行った方でドックベストセメントの上に仮の詰め物をつけた時のトラブルについてお話しします。

ドックベストセメント治療でおこる仮のつめ物トラブルについて

ドックベストセメント治療の手順として

①虫歯をある程度除去する

②神経に近い虫歯は削らない

③洗浄した後にドックベストセメントを塗布する

④ドックベストセメントの上から仮の詰め物を置く

⑤しばらく期間を経てから最終の詰め物(セラミック、コンポジット、貴金属系インレー)をつける

という流れで治療を行います。

この治療手順の④の工程の時に起こるトラブルについてお答えします。

ドックベストセメントの上に貼る仮の詰め物がよく外れるんだけど大丈夫?

仮の詰め物がよく欠けたり、外れてしまうと起こるトラブルとして下記が挙げられます。

欠けたり外れたところから虫歯菌が感染してしまう。

仮詰めものが外れるとドックベストセメントが露出することになります。

するとドックベストセメントも流されてしまい殺菌していた部分が虫歯菌や唾液によって感染してしまう恐れがあります。

外れた仮詰めものが少量であれば問題ないですが、大きく外れてしまうと二次感染の問題が出てきます。

噛み合わせが悪くなる

ドックベストセメントで治療した歯が一歯であればさほど問題はありません。

多くの歯、特に奥歯の噛み合わせの面でドックベストセメント治療を受けた場合、噛み合わせに影響が起こる恐れがあります。

仮の詰め物の多くはグラスアイオノマーセメントと呼ばれる比較的柔らかい素材のものが使われます。

噛み合わせの強い方、特に男性の方の奥歯は毎日3000回の咀嚼運動に耐えられずセメントは容易に剥がれたり、磨耗してしまいます。

欠けたり、外れたりで一時的に低くなった噛み合わせに慣れてしまうと最終の詰め物も低くなりがちで、最終的に噛み合わせが悪くなります。

舌や頬が欠けたところで傷ついてしまう

部分的にセメントが外れると歯の鋭利な部分が露出し舌や口の中の粘膜を傷つける可能性も出ます。

口内炎や舌炎が出る前に欠けたところを埋めるか、鋭利な部分を削るなどをして対処します。

ドックベストセメント治療を仮の詰め物でずっと過ごしてるんだけど大丈夫?

ドックベストセメントの上に仮の詰め物をした状態で長期間過ごすと、こんな問題が起こります。

歯と歯の間部分が不衛生になり歯肉炎、歯周炎になる

歯と歯の間にドックベストセメント、仮の詰め物をすると、歯と歯の間にフロスや歯ブラシがしづらくなります。

セメントによって封鎖された歯肉は虫歯でなく歯周病菌の温床になります。

神経を取らないよう行った歯が歯周病によって悪くなっていくのは本末転倒ですよね。

噛み合わせが悪くなる

長期間柔らかいセメントが奥歯の複数の歯で行われると、噛み合わせが低くなってしまいます。

ドックベストセメント治療で仮の詰め物がずっと外れっぱなしなんだけど大丈夫?

感染が起こりせっかく行ったドックベストセメント治療が台無しになってしまいます。

3、4日で虫歯が感染することはありませんが、気になるようであれば早めの受診をお勧めします。

知ってほしいドックベストセメント治療、仮の詰め物対策

ドックベストセメント治療で起きる仮の詰め物トラブルの打開策として下記の治療を紹介します。

経過を見る期間を早める、もしくはそのまま最終の詰め物をつける

仮のセメントで半年以上一年間などの経過を見ると、詰め物が外れるなどのトラブルは多くなると思います。

そのため期間を短縮させてリスクを減らすことも考えます。

またそもそも噛み合わせに異常が起こる場合などは経過期間を見ずにそのまま強度のあるもので詰めます。

噛み合わせの確保、細菌の二次感染を防ぐ上でこのような方法も考えられますが、虫歯が非常に神経に近い場合などはリスクを考え行うかどうか決定します。

範囲が大きい虫歯は仮のセメントで封鎖ではなく仮歯をつける

虫歯の範囲が広い場合仮のセメントが容易に壊れます。仮のセメントだけでなく、残った歯の破折にもつながるため、仮歯で覆うことでドックベストセメントの完全密閉、噛み合わせの確保が期待できます。

その後最終の被せ物をして治療します。

仮の詰め物はダイレクトボンディングコンポジットなどの強度があるもので対応

セメントで簡単に外れる可能性がある場合は強度のあるもので対応します。

また歯と歯の間が不衛生になりやすいところもコンポジットで成形すると磨きやすい形態になります。

まとめ

ドックベストセメント治療で起こる仮の詰め物トラブルとその対処法について今回はお話させていただきました。

医院によってドックベストセメント治療は多少異なっているようです。レーザー治療を追加で行ったり、抗菌水を使ったりなど虫歯を殺菌するための方法が多く世に出回っているのも事実です。

残念ながらドックベストセメントについての研究は世に出ているわけでなくあくまで臨床的な結果によって日本に導入されています。

ご自身の虫歯がドックベストセメントが必要であるかどうかはやはり信頼の置ける担当の先生と相談してみるのがいいかもしれませんね。