こんにちは、巣鴨ヴェリ歯科クリニックの田島です。
最先端の歯科治療CADCAM（キャドキャム）については以前のブログでお話しいたしましたね。
歯科用の３Dスキャナーと歯科用３Dプリンターを使って従来までは歯型をとってから詰め物をする工程から、現在歯型のデータを読み取り即日で詰め物ができる時代に変わりつつあります。
このCADCAM（キャドキャム）は詰め物や差し歯を作る以外にも様々な分野で応用されています。
現在矯正治療の分野では３Dスキャナーを使った治療が広まりつつあります。
今回は矯正治療における最先端デジタル歯科治療についてお話しいたします。
目次
矯正治療におけるデジタル歯科治療の応用
矯正歯科治療においてもデジタル化の波が押し寄せております。
特に光学スキャニングと呼ばれる口腔内スキャナーは矯正専門で治療をされている歯科医院でも多く導入されてきております。
従来、歯型をとってから模型を作り診断や設計をしていたのですが、口腔内スキャナーが開発されてから歯型の型取りはせずにスキャナーを口の中に数秒入れることで歯の形のデータがインプットされました。
パソコン上に上下の歯と噛み合わせのデータが映し出されこの画像を元に矯正の診断、装置の設計などを考えます。
口腔内スキャナーを用いた矯正治療では主にマウスピース矯正であるインビザラインの歯型データ、そして舌側矯正を行う上で必要なカスタム舌側矯正でよく使われます。
各々をご説明いたします。
①インビザラインなどのマウスピース矯正で応用
インビザラインとはマウスピースを使って歯を移動させる矯正治療法です。
インビザラインを製作する際に患者さんの上下の歯型をシリコン印象というかなり精密な歯型を取らなければなりません。
インビザライン矯正装置専用ですので、少しでも変形しているエラーがあればまた型取りを繰り返さねばなりません。
またエラーが起きた場合、インビザラインの工場がカリフォルニアにあるため、再度型取りをして送るため輸送費、また余分なコストが少なからずかかってきます。
そんな時に光学スキャニングをお勧めします。
インビザラインで光学スキャニングするメリット
①印象変形を防止する
わずかなズレやアンダーカット、型取り材の撤去によって型取りは変形してしまいます。
そのため変形した模型からは十分に設計したインビザラインは装着できません。
型取りが変形しないよう光学スキャニングで行う方もいらっしやいます。
②データのやり取り
口腔内スキャナーで読み取ったデータはその場でパソコン上で確認できます。
つまりインビザライン工場とのデータ間やり取りがパソコン上で完結してしまうのがメリットではないでしょうか。
③地球に優しいエコ
歯科医院が１日で排出するゴミの中で特に石膏はかなり多くの割合が閉められています。
年間排出する石膏を極力少なくさせ、地球に優しいシステムが今後広まっていくことでしょう。
④低コスト
歯型の型取りがあまりうまくいかず何度も型取り材で歯型をとる場合、その度に歯型取りの材料を無駄にしてしまいます。
光学スキャニングは初期費用はかなりかかりますが、長期的にみると案外ランニングコストのかからないものになります。
②舌側矯正におけるオーダーメイド装置で応用
舌側矯正を実際に行ったことがある方、聞いたことがある方いらっしゃると思いますが、裏側の矯正装置を完全オーダーメイドの装置があったことはご存知ですか。
カスタムメイド舌側矯正法とは
矯正治療でいうところのインコグニートやハーモニーがこれに当たります。
完全にオーダーメイドの装置を歯に貼り、あらかじめデザインされたワイヤーを交換するだけで矯正治療が行える画期的な方法です。
オーダーメイド装置の作成
まずは歯型を取ります。
その後模型を作り、セットアップ模型という将来の歯が並んだ時の模型を作ります。
セットアップ模型を口腔内スキャンで読み取って装置を作成します。
光学スキャニングのメリット
歯型の形を忠実に再現しなければオーダーメイド装置は作れません。
その点型取り材に比べ口腔内スキャンの方が歯の形を忠実に再現できます。
矯正歯科治療の未来
近い将来矯正治療は患者さん独自のオーダーメイド矯正が今後開発されると思われます。
現在矯正装置には角度や向きが決められており、平均値の成人の歯を参考に決められています。
患者さんによってその角度、向きは１０人１０色です。
オーダーメイド矯正によってもっと簡単で手軽に矯正治療を受けることが可能になると思われます。
まとめ
矯正治療におけるデジタル化ご理解いただけたでしょうか。
口腔内スキャナー（光学スキャナー）を使って不快な型取りをせずに歯を移動することができる時代はもうすぐ拡まるでしょう。
しかしどんなに機械が優れていても、歯をどうやって移動させるか、詰め物や差し歯のデザインはどうか。など基本的なことが知らなくてはなりません。
機械は補助的な役割にしか過ぎないこと、覚えておいてくださいね。
