こんにちは、巣鴨ヴェリ歯科クリニック院長の田島です。
歯の表面に小さいひび割れのようなものありませんか。
どんなに硬いものを食べても丈夫なはずの歯でも亀裂が出てしまうこともあるのです。
ひび割れは歯科用拡大鏡でしか見れない小さなものから完全に割れてしまって二分割になったことが分かるくらいの大きなものまであり、その程度によって何もしなくていいものから抜歯になってしまうものまであるんです。
なぜ歯にひびが入ることがあるのでしょうか。まずは歯の構造について説明します。
目次
歯の構造
歯の表面はエナメル質と言われる硬いリンとカルシウムで出来た組織で作られてます。
この組織はハイドロキシアパタイトと呼ばれる結晶が集まり、エナメル小柱と呼ばれる細い柱状の一固体を作ります。『さけるチーズ』や『カニカマ』のように、このエナメル小柱が幾重にもなって歯を作ってるのです。エナメル小柱の走行方向や横断方向は歯の中の場所によって違い、蛇行してたり、垂直になってたり、様々なのです。
エナメル質はこの頑丈な組織とそれらが複雑に配列してるおかげで100kg以上の負荷に耐えられる力があり人が1日に平均噛む回数、1800回以上に毎日永続的に耐えられているのです。
エナメル質の下には象牙質と呼ばれるエリアが出てきます。
象牙質とエナメル質との大きな違いは象牙質の30パーセントがコラーゲンや水分が含まれてることです。それにより硬さはエナメル質よりとても弱く簡単に割れたり、磨耗したりします。
つまり歯の外壁であるエナメル質は強固に歯をガードしているのですが、外壁が崩れると内部は比較的脆弱な組織になっていて力のストレスや細菌の侵入を受けやすいのです。
歯にひびがおこる理由
転倒や打撲などによる外傷以外ではにひびが起こる主な原因は力によるストレスです。
それも歯へかかる力が垂直方向でない力によってひびが入りやすくなります。
これはもともと歯ははえている方向に真っ向な力を受けるのに都合がよく受け止められていますが、力を受ける方向が偏ったり、極度に力を受けたりすると歯にストレスがかかりやすくなります。
1. 力の方向でひびが入りやすい
先ほど説明した歯の外壁であるエナメル質を作っているエナメル小柱の走行方向によって力のかかり方が変わります。
力がかかる方向がエナメル小柱に対して垂直方向(繊維に対して縦)か剪断方向(繊維に対して横)かで差が出るのです。
2. 夜、寝ている間の歯ぎしり、食いしばり
夜寝ている間、人間だけでなく哺乳類なら誰でもくいしばりや歯ぎしりをします。
程度には差がありますが日中起きてる時の6倍くらいの力(74kg/㎠)がかかるとされており、短い人だとおよそ数分、長い人で3時間ほど歯ぎしりをするのです。
この歯ぎしりの力がかかる方向は、歯に対して垂直方向だけでなくいろんな方向からの力のストレスを受けてしますのです。
3. 日中歯ぎしりをしている人
夜ではなく日中に歯ぎしりをする人が意外に多くいます。
例えば、歯を食いしばった方がパフォーマンスが上がるとされるウェイトトレーニングなどのスポーツをする方。パソコン、読書などのデスクワークの時に無意識に歯ぎしりを行う方などがいます。
逆に、これらの理由では歯にひびが入りません
1.日中
日中は通常の状態であれば、歯は実は噛んでないのです。
安静位と言われる下あごが楽な位置に自然に移動してます。リラックスしていたり、このブログを見ている時歯は接触してますか。
だいたい上下の歯は1〜2mm前後開いているのです。
2. 食事(硬い食べ物)
食事の時は基本歯は物を砕き細かくして嚥下をしてるのですが、その間歯が接触するのは少しの時間だけなのです。
そして接触したとしても歯が接触する力は最大で12kg/㎠と弱いのです。
まとめ
歯にひびが入るのは夜寝ている間の歯ぎしりやくいしばりが主な原因ですが、歯並びや歯の噛み合わせが悪かったり、精度の悪い被せ物が入ってたりすると歯の長軸方向への力が受けにくく横からの力のストレスを受けやすくなります。
この横からのストレスを慢性的に受けそしてそれが歯の受容を超えてしまった結果、クラックと呼ばれるひび割れにつながります。
受けるストレスが強すぎると歯牙破折につながるのです。
次回は実際にひびが入ってしまった場合の治療法を説明させていただきます。
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