巣鴨の歯医者「ヴェリ歯科クリニック」が発信する歯の知識

あなたの被せ物の中は大丈夫?被せ物の中が金属の土台では危ないわけ

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こんにちは、ヴェリ歯科クリニック院長の田島です。

 

お口の中に被せ物が入っている方、要チェックです。被せ物の中に入っているコアをご存知でしょうか。一般的に歯の土台と呼ばれたり、歯の芯棒などとも言われたりします。

歯の神経の治療をした後に歯の内部に入れる家でいうと柱のようなもので、コアと呼びます。

コアを神経治療後の歯に作りその後型取りを経て被せ物を装着します。

今回はこの歯の内部にあるコアについてお話ししたいと思います。

コア(支台築造)

歯の内部にあるコアには大きく分けて3種類の素材にわかれています。

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①プラスチックコア

神経治療後に歯の内部に歯科用プラスチックを入れるものをプラスチックコア、ピンコアとも呼びます。

プラスチックの中心に金属のピンを入れて補強します。

3種類の中で一番脆弱な素材です。歯の周りに健康な歯質がある方はピンコア、プラスチックコアで十分まかなえる場合もあります。

②メタルコア

歯の内部に金属製の土台を入れます。金属には保険治療では銀合金、パラジウム合金。自費治療ではプラチナ合金、金合金などが扱われています。

メタルの種類によって強度が変わっていきますがプラチナ合金や金合金の土台は保険治療の金属に比べそんなに固すぎません。

20年以上前の歯科治療では主にメタルコアが主流で歯の神経を治療したら、歯の内部に大きく穴を開けて型取りをします。

技工所では型取りした模型から金属製の土台を作成します。金属製の土台を接着した後、歯の形に削り型取りをします。

③ファイバーコア

今から15年ほど前に歯科用プラスチック、レジンの研究が盛んになりました。歯科用プラスチックの強度や耐摩耗性を改善することで金属に変わる新しい素材としての研究が主でした。

ファイバーコアはこの研究の中で開発されたものです。

プラスチックにある程度強度を加え、なおかつ歯の強度に近いプラスチックを開発している時期に歯の内部にファイバー樹脂を内臓させることで非常に近いプラスチックを見出すことができました。

ファイバー樹脂の周りがコア材と呼ばれるプラスチックの素材で覆っております。

神経の治療後、中心部はファイバーコア、外側部はプラスチックになることで歯の成分である象牙質に非常に近い強度が得られることができました。

種類別コア(土台)の違い

歯科大学でこのような実験がありました。

300本の歯を並べ、それぞれプラスチックの土台、金属の土台、ファイバーの土台100歯に分けある一定の力を与えたところ、

プラスチック製の土台では土台が破損する割合が高かったこと。

金属製の土台(メタルコア)では歯が割れる割合が高かったこと。

ファイバーコアではほとんど異常がなかった。

という研究がありました。

これにより金属製の土台は危ないということが世界的に広まりました。

金属製のコア(土台)だと歯が割れやすいわけ

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金属製の土台メタルコアだと歯が割れやすくなります。

大きく太い金属製の土台がある場合、金属が引き金で歯を割る人々が多発しました。

この原理として、例えば神経を治療した図の歯のような楔だったとします。そこに金属製のコアが入ります。

金属製のコアが入った土台に必要以上の負荷が増えると、まるで楔の中にある鉄の杭をハンマーで叩く様式に似ています。

 

20数年前までは主流だったメタルコアですが、メタルコアの患者様の何人かは歯が割れてしまったことにより、残念ながら抜歯に至ります。

歯科医師の教育としてのメタルコア

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20数年前の歯科治療ではメタルコア以外に方法がなかったことによります。今でこそファイバーコアが世界的に主流ですが、当時はファイバーどころかプラスチックも粗悪なものでした。

我々歯科医師は歯の神経を取ったら、歯を深く大きく削って、大きい金属製の土台を入れるよう教わりました。

当時、大きい金属の土台は丈夫で歯を保護してくれると言われていました。

数年後、日本含め世界的にメタルコアによる歯の喪失が後を絶たなくなっております。

ファイバーコア

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約15年前から歯に近い素材が開発されファイバーコアが誕生しました。フィバーコアは歯と同じ弾性係数(物を伸ばしたり、曲げたりする時の力の値)を有し歯が割れにくく、土台が壊れにくい素材です。

現在(2017年)、保険診療でもファイバーコアを製作することができ、多様性がある治療が可能になりました。

保険診療としてのファイバーコア、自費治療としてのファイバーコア

2016年保険診療でもファイバーコアが治療科目としてできるようになりました。

しかし、保険治療で認可されたのは歯科メーカーの数種類のファイバーコア商材のみです。

ファイバーコアを歯に接着するセメントや薬剤なども保険治療と自費治療では違います。

自費診療のファイバーコアにはジルコニア粒子が含有されたコア材があり、強度的により歯に近い性質が再現できました。

歯に近似した強度は歯を削る感じが土台と歯がわからないくらい似ていると言われています。

まとめ

金属の土台、ファイバーの土台!歯の被せ物をする時にする絶対必要な築造作業です。もしご自身の被せ物の下が金属製の土台ならば要注意です。

噛んで違和感があったり、硬いものを噛んで痛くなったりしたならば、虫歯や歯周病でなければ歯のクラック(ヒビ)を疑います。

もしご自身の歯に違和感がある場合是非歯科医院へ行きレントゲンを撮って確認しましょう。もしかしたら大きなメタルコアが入っているかもしれません。

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