こんにちは、ヴェリ歯科クリニック院長の田島です。
歯科治療でもデジタル化が進み私たちが提供している治療にもデジタルで行われている一部があります。今回はデジタルソリューションで製作される被せ物、詰め物についてお話しします。
従来被せ物を作る場合は炉に入れて金属を溶かしセラミックを焼成して製作していましたが歯科用3Dプリンターでを使うことで削り出して製作して精度のいい被せ物や詰め物を提供できるようになりました。
目次
CAD/CAM(キャドキャム)
cad/camとはcomputer aided design /computer aided manufacture の略でコンピューターによってデザインされたものをコンピューターで製作する機械です。
前回3Dスキャナーで読み取ったデータを解析、コンピューター上で被せ物をデザインし、歯科用3Dプリンターでそのデザイン通りに削り出して製作します。
この削り出す機械をミリングマシンと言います。
現在フルジルコニアとよばれる被せ物やセラミックの詰め物はこのデジタル治療によって製作されています。私たち歯科医師が歯の型取りをして技工所に型取りを送ります。
技工所では型取りした模型をスキャンし読み取ったデータをミリングマシンで被せ物や、詰め物へ削り出します。
削り出されたものを研磨し歯科医院へ届け、私たち歯科医師が患者さまの歯に接着剤でつけるという流れです。
歯科用3Dプリンターでできること
現在歯科用3Dプリンターを使って被せ物や詰め物を製作することが可能になりました。
歯科用プリンターを使い様々な補綴物(歯の詰め物など)を作ることができます。歯科用プリンターを使ってできる主なものはこちらです。
①フルジルコニアクラウン
フルジルコニアクラウンは人工ダイアモンドのジルコニアを主成分にした被せ物になります。スキャナーで読み取った支台歯(削った歯)にコンピューター上で被せ物のデザインをします。
歯科用プリンターでデザインに沿ってジルコニアを削り出します。被せ物が完成します。
ジルコニアは透明感が高い強度が600mpha ある非常に硬い被せ物です。硬いだけでなくプラークが付きにくいため現在アメリカ、ヨーロッパを含め世界的なシェアが80%の割合でジルコニアの被せ物が占めてます。
そのためジルコニアは現在のデジタル歯科治療の主軸になっていることでしょう。
②セラミックインレー
同じくスキャニングで読みとったデータをセラミックを削り出して製作します。特に最近使われているセラミックは二ケイ酸リチウムで作られる(E-MAX)が大部分を占め、セラミックの中では非常に強度が高く400mpaあります。
③プロビショナルレストレーション(仮歯)
被せ物を作る前の仮歯を3Dプリンターで製作する場合もあります。
特に噛み合わせ治療などにおいて仮歯のデザインを緻密にデザインし仮歯で調和させます。顎の位置の安定や歯ぐきの調和を診断する上で術前診断のデザインに適用された仮歯を作ることで精度のいい噛み合わせ治療を行うことができます。
④サージカルガイド(インプラント用)
3Dプリンターでは今まで歯科治療でできなかったことまで可能になりました。その一つにサージカルガイドをプリンターで作ることができます。
患者様の骨の状態のデータCTなどとワックスアップとよばれる仮想の歯の外形をスキャニングし、その位置でインプラント治療の埋入位置をプロットしたガイドをプリンターで製作できます。
⑤コンポジットアンレー
③の仮歯にも当てはまりますが、噛み合わせ治療などで必要なプラスチックのデザインを3Dプリンターを使ってできることになります。
仮歯だけでなく歯の上に直接追加するコンポジットの量を3Dプリンターで製作します。
⑥即日ラミネートベニア
通常ラミネートベニアは削った後に型取りをして1〜2週間後にラミネートベニアを接着剤でつけますが、プリンターによって即日でラミネートベニアを製作することもできます。
以上3Dプリンターが歯科医院にある方は通常技工所で1〜2週間で製作する被せ物や詰め物が、ミリングマシンによって1時間以内に製作が可能になりました。
つまり歯の治療に行かれたら即日で被せ物や詰め物が入ることができました。
歯科用3Dプリンターで作ったものと従来のものと比較してみて。
東京歯科大学のリサーチでは被せ物や詰め物を従来のシリコン印象で型取りしたものと、歯科用スキャニングで型取りして製作されたもので被せ物の適合や精度を研究されました。
研究の結果、スキャニング(光学印象)の方では精度がシリコンと同程度かもしくはそれ以上という結果が出ました。
つまりスキャニングで読み取るデータが従来の方法に引けを取っていないことがこの研究でわかりました。
デジタル化したことでどうなった?(アメリカのラボ)
アメリカのGildewel labo(歯科技工所)のデータでは2014年、28000本の被せ物を対象にデジタル化したことで従来の製作法と比べどうなったかというリサーチがあります。
マージン不適率47%ダウン(被せのきわ)
内面不適率32%ダウン(被せ内部のエラー)
咬合不適率34%ダウン(噛み合わせエラー)
歯科技工のデジタル化でスキャニング、ミリングしたものの方がエラーが減ったという報告があります
デジタル化したことが従来の製作法に比べ悪くないということを知っていただければ幸いです。
3Dプリンターではまだできないこと
しかし3Dプリンターではまだ未発達で途上な部分もあります。
未発達な場合を下記に記します。そのような時は従来の方法も重ねて検討しなければなりません。
①被せ物やブリッジが5本以上の場合
ミリングマシンでは削り出しをする範囲がまだ狭いため3本ブリッジが製作できる限界になります。
5本以上を削り出す場合は別に保持機構を考慮することが必要です。
②前歯部のようなエステテティックエリアなど
残念ながらジルコニア単体では天然歯のような色を再現することが不明です。
見た目に重要な被せ物のフレーム(下敷き)をジルコニアで作り、セラミックを焼き付けて天然の歯にすることで見栄えの良い歯になってくれるでしょう。
まとめ
歯科用スキャニングとミリングを総してcad/camを使った被せ物治療、ご理解いただけたでしょうか。
CAD/CAMが医院にあることで患者さまの治療期間、時間は大幅になくなります。しかしだからと言って機械に頼った被せ物がいいというわけではありません。
CAD/CAMでできるところとできないところを使い分け、歯科技工士と歯科医師がCAD/CAMのデジタルソリューションを介しネットワークを作り最善の歯科医療を患者様に提供することが最良と思います。
(フィンランドにてデジタル研修中の著者)
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