こんにちは、ヴェリ歯科クリニック院長の田島です。
入れ歯と聞いてみなさんどんなイメージがありますか。
入れ歯は年配の方がするイメージありませんか。金属の留め金があって、ポリデントのCMも世の中に広まってみなさんご存知かと思いますがそんな入れ歯はもう古い考えなんです。
最近は若い方でも入れ歯ができるように、また年配の方でも入れ歯をしてるのがわからないように開発された入れ歯があるんです。
今回は見た目を考慮してできたエステ用入れ歯をご紹介します。またエステ用入れ歯ってどんなものか知っておきたい５つのことをお話します。
目次
エステ用入れ歯
エステ用入れ歯は日本でも海外でも普及していて特殊なプラスチックでできていて一番の特徴は歯にかける留金がピンク色のプラスチックになっています。
日本の複数のメーカーが開発していて名称もバルプラスト、エステショット、アンカーアミドなどいろんな名前があります。
これらを総称してノンクラスプデンチャーと呼んでます。
字のごとくクラスプ（留め金の事）がない（no)からそう呼ばれています。
エステ用入れ歯って何でできてる？
エステ用入れ歯の原材料は主にプラスチックの一種であるナイロンやポリエステル、ポリアミドなどの合成樹脂でできています。
ナイロンといえば、自動車の部品、釣り糸、防弾チョッキ、最近では３Dプリンターの技術でも取り入れられています。
昔は靴下やストッキングのために開発されたナイロンですが、金属に変わる新しい材料ということで様々な分野で活用されています。今後も利用範囲は広がって歯科の分野の新しい材料になると思います。
保険の入れ歯とどう違うの？
保険の入れ歯もプラスチックの素材で作られていますがアクリル系やスルフォン系と呼ばれていて先ほどのエステ用入れ歯のナイロン系のものとプラスチックの素材が違います。
プラスチック加工がしやすく、入れ歯の調子が悪くなったらリペアしやすいので昔から扱いやすいプラスチックとして使われてきました。
保険の入れ歯は硬い
保険の入れ歯に使われるプラスチックは硬いので入れ歯を着脱するたび、食事をするたびに入れ歯の下の粘膜を傷めることが多いです。そのため何回か入れ歯の調整をしてなじませる必要があります。
保険の入れ歯の留め金は金属
歯に引っ掛ける留め金（クラスプ）はコバルトクロム合金を使います。コバルトクロム合金は金属アレルギーの方にはあまりお勧めできません。
歯に負担がすごくかかる
また歯のアンダーカットとよばれる歯の根元部分にクラスプをいれて入れ歯と歯を保持します。着脱の度にアンダーカットから上の方にストレスがかかります。つまり着脱の毎度に歯を抜こうとする負荷が加わって歯に負担がかかります。
エステ用入れ歯の特徴
留め金がピンクで目立たない
保険の入れ歯の留め金が金属に対してエステ用入れ歯の留め金はプラスチックでできているので笑った時や口を開けた時など入れ歯をしていないように見えます。
弾性が有る（柔らかい）歯に優しい
エステ用入れ歯はは保険の入れ歯に比べて柔らかいので指で押すと入れ歯が曲がってくれます。押すのをやめるとまた元に戻ります。これを弾性と言いますが、弾性があるので歯に着脱をしても入れ歯自体が広がってくれます。その結果歯にあまり負荷をかけないことになります。
商品メーカーによって弾性率（柔らかさ）が違うので歯の場所や歯の状態によって入れ歯を選択することもできます。
保険の入れ歯に比べ薄い
保険の入れ歯で使われているプラスチックは薄くなると簡単に割れてしまうので制作するのにある程度の厚みが必要になっていきます。厚い入れ歯はそれ自体で口の中に入れた時違和感を感じやすいです。
それに比べエステ用入れ歯で使われるプラスチックは薄くできているので保険のものに比べると違和感は感じにくいです。
歯茎から保持することで安定します。
保険の入れ歯が歯に対して留め金（クラスプ）だけで保持しているのに対しエステ入れ歯は歯の下の歯茎から覆う設計なので保険の入れ歯に比べると安定感があります。
エステ用入れ歯のデメリット
見た目もよし、歯にも負担をかけにくい、そんなエステ用入れ歯ですが実はデメリットもあります。
保険の入れ歯同様色がつく
エステ用入れ歯とてプラスチックを素材としていますので最初は綺麗な状態ですが、カレーやワイン、その他色素がつく食材をずっと食べたり飲んでたりすれば色が付きます。
もちろん日々の手入れをちゃんとしていれば（入れ歯洗浄剤）色はつきにくいですが、だんだん汚れていきます。
弾性があるがゆえ永久的ではない
エステ用入れ歯の留め金はプラスチックでできていますが何度も広がったり元に戻るを繰り返すと経年変化を起こします。最初はきつく感じる入れ歯ですが使うたびに馴染み、その後ゆるくなっていきます。
衛生的な面でも５年くらいで換えることをお勧めします。
修理できるものとできないものがある
保険の入れ歯は使っていて痛みが出たり、緩んできた場合、同じプラスチックの材料で修理することが可能です。
しかしエステ用入れ歯の種類によりますが修理ができないものや入れ歯を作ったラボへ回収しないと修理できないものもあります。
こんな人にエステ用入れ歯をお勧めします。
- 歯を抜歯してインプラント治療やブリッジ治療が絶対に嫌な方や、疾患のためこれらの治療ができない方
- インプラント治療をする方で抜歯後のしばらくの間、歯がないところのスペースが審美的に気になる方
- １０代や２０代の方で先天性欠如（もともと歯がない方）のところを削ったり、インプラントして治療することが嫌な方
- 保険の入れ歯を使用している方でもう少し見た目も良くしたい方
まとめ
エステ用入れ歯の知識を少しでも知っていただけたでしょうか。現在のプラスチックの開発はさらに進んでいて私たちの生活にますます普及されていきます。
入れ歯も３Dプリンターで制作できるよう開発が現在進んでいて数年後入れ歯の主流になるんではと言われています。
エステ用入れ歯はすべての方にオススメの入れ歯ではありませんが、その特徴を知って、選択肢の幅を広げていければと思います。
