巣鴨の歯医者「ヴェリ歯科クリニック」が発信する歯の知識

歯槽骨を再生医療で復活させる!βーTCP(ベータティーシーピー)5つの特徴

こんにちは、巣鴨ヴェリ歯科クリニックの田島です。

『インプラント治療を行うための骨がありません。』

『歯槽骨がなくなり、歯周病が悪化します。』

『長い間、病気の歯を残していたので、歯槽骨が溶け出しています。』

虫歯や歯周病の歯を放っておくとその病原菌によって歯の周囲の組織がなくなってきます。

つまり、歯を支える骨、歯槽骨が溶け出してしまうのです。

溶けてしまった骨は基本的にもう元には戻りません。

歯槽骨が溶けてしまうとどんなことが起こるのでしょう。

また溶けてしまった骨を再生させる治療剤、βーTCP(ベータティーシーピー)について今回はお話します。

歯槽骨が溶けるとどうなる?

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歯周病や歯の根の病気(根端性歯周組織炎)によって歯槽骨がなくなってしまいます。これは細菌の排出する毒素が原因だけではありません。

私たち人間の免疫が異物を排除するために攻撃をします。

免疫と細菌の戦いが起こるとその戦場となった歯槽骨は吸収してしまいます。

一旦吸収してしまった歯槽骨はそのあとの治療においてどんな問題があるのでしょうか。

インプラントの場合

抜歯した歯の後にインプラント治療を予定している場合、インプラントを入れるための骨がありません。

下の顎の場合、骨がないと下顎神経という神経にとても近接してしまい、インプラント治療を行う上でリスクを伴います。

上の顎の場合、骨がないと上顎洞という穴が近くなり、インプラント治療を行う上でリスクが伴います。

また神経損傷や上顎洞穿孔など治療上のリスクだけでなく、審美的にも問題が起こります。

また食べ物が詰まりやすい、歯磨きがしにくいなどの衛生的な問題も出ます。

ブリッジの場合

ブリッジは歯と歯を削り抜歯した場所をダミーという歯でおぎなう治療法です。

歯槽骨が溶けた状態になると骨がないため必然的にダミーが大きくなります。

ブリッジの歯とダミー部との間には隙間が大きくなり、衛生的な問題が出てきます。

またそれが前歯の場合、審美的問題も出ます。

入れ歯の場合

入れ歯も同様にい必然的に入れ歯の部分に段差が大きくなるため入れ歯の凹凸が歯肉を痛めやすくします。

骨を再生させる骨置換材βーTCP(ベータティーシーピー)とは?

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溶けてしまった歯槽骨を再生させる材料があります。

βーTCPを溶けた場所に補填することで半年以上経った後で骨が再生します。

βーTCP(アローボーン)はβーリン酸三カルシウムの結晶で単一相セラミックスです。

化学式ではCa3(PO4)2と骨の結晶構造とほぼ同じです。

多孔質の顆粒構造で水などに親水性があります。

βーTCPの特徴

①安心安全

βーTCPの一番の特徴は感染のリスクがない、体に優しいことです。というのも今まで応用していた骨補填材は豚の骨だったり、人骨を応用したりと骨になる成績はいいものでしたが、狂牛病、プリオンなどの感染リスクは否定できないものでした。

βーTCPは化学的に生成されたリン酸カルシウムですので感染リスクはありません。またFDAの認可もあります。

②多孔質顆粒構造で骨ができやすい

組織に入ると顆粒状になっているため毛細血管が顆粒の間に入り込みます。

また顆粒の各々はミクロ気孔をしており骨を作る骨芽細胞がつきやすくなっています。

③親水性

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水分、生体でいう血液となじみが良いことも特徴の一つです。

④ 骨補填材との違い

βーTCPの事を骨置換材と言います。つまり本物の骨に変わる因子があります。

これに対し骨補填材というものがあります。

以前ブログで書いたバイオスはこれに当たります。バイオス以外にも脱灰凍結乾燥骨(DFDBA)

非脱灰凍結乾燥骨(FDBA)などがあります。

これらは牛骨や人骨をアレンジしたものになります。

バイオスについてはこちら

骨補填材はそのものが骨になるというより、骨様の組織になるため骨のボリュームを作りたい症例に向いています。

骨のボリュームを作りたい場所とはブリッジ治療をするための失われた骨にボリュームを作りたいときなどに行います。

インプラント治療の場合インプラント体と骨がくっつかないといけないのでβーTCPなどの骨置換材の方が優位性があります。

⑤ βーTCP取扱上の注意

βーTCPは組織に入ると一度吸収してしまいます。

その間血液が貯留し、骨を作る骨芽細胞が停滞し骨を作ります。4週目以降で吸収が始まり、6ヶ月から12ヶ月で骨に置換していきます。

また外部からの感染リスクもあります。

そのため骨がない場所にβーTCPを補填したらチタンメッシュ(チタン製の膜)で蓋をして完全密閉するようにしなくてはなりません。

骨が作られるために長期間が要すること、

感染しないように留意することを踏まえて行います。

まとめ

2017年から血小板因子PRP製剤を導入するために、手続きが厳格になりました。

PRPも失われた歯槽骨を再生するために使われる材料です。

バイオス、βーTCP、脱灰凍結乾燥骨(DFDBA)などなど、骨補填材には様々ありますが、やはり一番生体に優れているのはご自身の骨です。

βーTCPが適用する症例は限られています。

骨を再生させる前にまずは骨がなくならないよう日々のメンテナンスをしっかり行いましょうね。