読売新聞でのコラムがきっかけで今何かと話題の歯科用機器の使い回し問題がとりだたされていますね。
テレビ朝日の、サンデーモーニングでも放送され、歯科機器使い回しのコーナーで私の元勤務先の院長(天野歯科医院 天野清志先生)が出演されていました。
その中でコメンテーターの方は
『歯を削る機械には小さいノズルから患者さんの唾液や血液を吸い込んでしまうのです。』
と言っておりました。
何かと問題な歯を削る歯科機械ですが実は何種類もあることを知っていましたか。
歯科器具の中にはタービン、5倍速コントラ、低速コントラ、ストレートハンドピース(技工用)などがあります。
実はこの中で血液や唾液を吸い込む種類の機械は一つだけあります。
今回は歯医者さんで使う『歯を削る機械』の衛生面や機能、そしてその中でも5倍速コントラのおすすめについてお話しいたします。
目次
歯を削る機械について
歯を削る器具の種類は主に
歯を削る、金属の被せ物や土台を外す、歯を磨く、詰め物を調整する
などの用途別に使い分けています。
タービン
タービンは主に歯を削るなど多くの用途で幅広く使われています。
他の器具と比べ動力源が空気圧を利用しているところが特徴的です。
車やジェット機のタービンと働きは同じで圧縮空気をホースの先端へ送り、先端のプロペラ部(ローター)で刃が回転します。
30万〜50万回転/分と高速回転で歯を削ります。
タービンを実際に使って見ると歯は他のどの器具よりも削りやすく、短時間で歯の削りが終わります。
しかしその反面、精密な歯の削りの場合などでは刃がブレたりと良い面だけではありません。
5倍速コントラ
タービンが空気圧で動くものに対し、5倍速コントラはマイクロモーターと呼ばれるモーターによって動く機械です。
最大で20万回転/分まで回転しますが、実際に5倍速コントラを使う方は2万〜4万回転/ではないでしょうか。
用途はタービンと同じ歯を削る時に使用します。
低速コントラ
低速コントラは主に歯を磨くためのPMTCクリーニングなどで先端に専用の清掃器具(ロビンソンブラシ、ラバーカップ)をつけて使用します。
回転数は3千〜1万回転/分で行います。
またタービンや5倍速で歯を削った後の最終仕上げ、研磨などにも使用したり、
差し歯や詰め物の調整を口の中で行う場合も低速コントラを使います。
回転数は1万5千回転以下/分で行います。
ストレートハンドピース
ストレートハンドピースは主に差し歯や詰め物、入れ歯などをお口の外で調整する時に使用します。
ネイルをされていたりアクセサリーを作る方も全く同じような器具を使っています。
回転数はだいたい2万回転以下で行います。
歯を削るのはタービンより5倍速コントラがおすすめ
タービンと5倍速どうやって使い分けているの?という質問が多いですが、
私の意見としては100%5倍速コントラをお勧めしています。
衛生面、機能面を含めて5倍速はどこが優れているのでしょうか。
患者さんの唾液や血液を吸い込むのは主にタービン
タービンは停止した時にタービンヘッド内に陰圧を作ります。つまり空気を吸い込んで回転を止める機能があります。
この時患者さんの唾液や血液、歯の削りかすなどを吸い込んでしまう恐れがあります。
これをサックバック現象といって
昨今のニュースなどで話題になっている感染問題に火がついたのではないでしょうか。
回転数が高いタービンはブレが大きい
タービンは高い回転数で歯を簡単に削れる機械です。
しかし高回転がゆえにトルクが小さいのが弱点です。(芯がない)
そのため削る場合はフェザータッチといって、そっと撫でるように削らなければなりません。
対して5倍速コントラは回転の力で削る、トルクの力が強いためタービンに比べブレることは少ないです。
セラミックの被せ物やラミネートベニアなどの審美的な治療の場合はまさしく5倍速でなければ行えません。
コントラの方が術野が見やすい
精密な治療で歯を削る場合マイクロスコープやマイクロルーペといった拡大鏡を使用しながら慎重に歯を削ります。
その際タービンで行うと水の噴射量が高いため削っている部分がスプレーでよく見えません。
せっかくの精密な治療が台無しに終わってしまうこともあります。
マイクロルーペやマイクロスコープを使った治療ではタービンではなく5倍速コントラを使って精密に治療します。
キーンと言う音が出ない
『歯を削りますよ。キーン』
私が幼ない頃、虫歯を歯科医師である母に削られた記憶は今だに忘れられません。
キーンという音を聞くたびに痛みを思い出してしまいます。
歯医者さんでのストレスワーストランキングに入る、キーンという音の原因はタービンが動く音です。
5倍速コントラにはあの独特な音が出ません。
まとめ
タービンと5倍速コントラの違い、他歯医者さんで機械に乗っている歯科機械について少しはご理解いただけたでしょうか。
また常にタービンだけが吸い込み現象で危険というわけでなく、常に歯科機械は患者さんごとに交換し、滅菌をする。ことは当たり前になりつつあります。
欧米ではマイセットといって、滅菌ですら信用ならない方のために自分専用のセットをおいてもらうシステムもあります。
これからの時代は患者さんごとにディスポーザブル(使い捨て)セット、そしてマイタービンセット(患者専用の5倍速やタービン)を使う。
そんな時代がすぐ先に起こりそうかもしれませんね。
ヴェリ歯科クリニックの歯科治療
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