巣鴨の歯医者「ヴェリ歯科クリニック」が発信する歯の知識

顎がコキコキ音がする顎関節症。これって噛み合わせの治療をした法がいいの?

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こんにちは、ヴェリ歯科クリニック院長の田島です。

 

口を開けた時に顎がコキコキなる方。いつもではないけど顎がずれたり、『カックン』と音がしたりしている方。

『これって顎の病気、顎関節症?』と不安な方もいらっしゃると思います。

今回のお話は、そんな顎に音がなっている方には噛み合わせの治療が必要かどうかをお話ししたいと思います。

顎がコキコキ音がなるのは関節円板のせい?

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関節円板はアゴの関節、顎関節にあるクッション材で顎が開閉口するときに円滑にできるようにするためのものです。

一種の軟骨のようなものでできており、口を開けたときに顎関節は前の方に動くのですが、関節円板も同じように前にスライドして顎関節が痛まないように保護してくれます。

関節円板は顎関節にとても重要な役割を与え、人が口を開け閉めするときに顎関節がダメージを受けないよう守ってくれます。

しかし関節に何らかの異常がある場合には関節円板の異常が多く見られます。ここで正常な円板の移動と、そうでないものに分類してみましょう。

正常な顎の状態の関節円板の動き

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口を開けたときの顎の動き、つまり顎関節であるコンダイルの動きには回転運動と滑走運動の2つがあります。

①口を開いた初期にコンダイルは回転運動をします。口を開けるに従いコンダイルは反時計方向へ回転します。

②口を大きく開けてくると今度は顎は前下方向へ移動します。回転運動のままコンダイルが前に滑る運動を滑走運動と言います。

③一番大きく口を開いたときのコンダイルは前下方向へ移動した状態になりさらに最大限の回転運動をします。

④関節円板はコンダイルの真上に存在し、回転運動や滑走運動のときにもか必ず真上に存在し、コンダイルを保護します。

⑤関節円板に乗った状態でコンダイルは元の場所まで戻ります。

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これが正常な関節円板の顎の動きです。(on the disk と言います)

それ以外の関節円板が異常をきたす場合について説明いたします。

相反性クリック

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関節円板が永続的にコンダイルの上にずっといれば良いのですが、噛み合わせによってや悪習癖、外傷など様々な原因で支障が出てきます。

支障をきたすと関節円板がコンダイルからずれていったり、コンダイルに引っかかったり、また元に戻ったりします。

円板がずれる方向は様々で後ろだったり、前だったりとあらゆる方向へ転位します。

ずれていた円板が口を開けた時に音がなってコンダイルに戻り、また口を閉じる時に音がなって外れる状態のことを

相反性クリックと言います。

口の開け閉めのたびにコキコキ音がなります。

クローズドロック

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簡単に言うと開こうとする口が開ききらない状況のことです。

コンダイルの動きは円板によって邪魔されると口の開け閉めに支障が出てきます。

口を開ける時に円板の後ろの部分にコンダイルが邪魔されコンダイルの前方滑走が邪魔された状態のことを言います。

オープンロック

今度は逆に円板が後ろに転位して開いた口がふさがらないことをオープンロックと言います。オープンロックは要因がそれだけでなく骨の形態などによって起こることもあります。

顎がコキコキではなくジャリジャリは要注意!

コキコキ鳴る音のことをクリック音といい、円板を介した音で空気の反発でこのような音がなると言われています。

例えると、指の骨を鳴らす時の音に近いですね。

顎を開閉口した時にコキコキではなくミシミシやジャリジャリというようなきしむ音がした場合、要注意です。

これはクレピタスといい、円板の位置が異常になっていて、コンダイルが直接骨とこすりあっている場合にこのような音がなると言われています。

噛み合わせ治療でコキコキ音がなるのは治る?

結論から言うと治りません。厳密に言うと、治療によってクリック音が消失した患者様もいます。が、噛み合わせの治療で治すという意味ではありません。

日本顎関節症学会でもこれと同じ見解であり、クリック音の消失のために咬合を治療するわけではありません。

そもそもほとんどの方がクリック音は存在するのです。そしてこのクリックに関してはそんなに重症な顎関節症だとは認識しないでください。

京都大学で120人の患者様の顎関節のMRI画像を撮影し、口の開閉口で関節円板がどのような動きをするかの研究がされてきました。

結果は80%の方で関節円板がコンダイルにはずっと乗っている状態ではなかったのです。(not on the disk)

20%の方が正常な関節円板にコンダイルが乗った状態(on the disk) でした。

ではどんな方が治療を行った方がいいのでしょうか。逆にコキコキ音がなっても積極的に治療しなくてもいい場合はあるのでしょうか。

噛み合わせ治療診断のポイント!

上下の歯で噛んだ時に関節円板がしっかり戻っているかを診査します。関節円板の異常がなく噛んだ時に円板が戻っていればそんなに大胆な治療は必須ではありません。

円板が常に戻っていない場合や、元々円板が磨り減ってしまっている場合は円板がなくても適応できるような噛み合わせの治療を。また円板が元に戻れるような対策をとる必要があります。

まとめ

噛み合わせに異常をきたした場合、歯だけでなく顎関節に異常が出る場合があります。顎の開け閉めが疲れたり、痛かったり。。。

しかし全てそのような症状を持った方が治療が必要というわけではありません。極端に噛み合わせが低い方、右か左に噛み合わせが偏った方。このような方には少なからず顎関節に影響が出ているのではないでしょうか。

顎関節は実際に目で診れる場所ではないため、私たち歯医者は触診で音を聴いたり、MRIやCTなどで骨の状態をチェックするしかありません。

歯の噛み合わせの状態、筋肉の状態、顎関節の状態、レントゲンで歯周病や虫歯の誘発する場所など全てを判断して慎重に噛み合わせの治療が必要かどうかを診断します。

ご自身の噛み合わせに少し気なっていたら担当の先生にご相談くださいね。

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