巣鴨の歯医者「ヴェリ歯科クリニック」が発信する歯の知識

知っておきたい部分矯正のメリット、デメリットと3種の部分矯正法

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こんにちは、ヴェリ歯科クリニック院長の田島です。

 

矯正をしたいのだけど何年も装置をつけるのは嫌な方、短期間で前歯の歯並びだけ矯正したい方、そんな方にお勧めする部分矯正のことをご存知でしょうか。

部分矯正は最短3か月で矯正治療が終了する方法で例えば前歯だけだったり奥歯の限定的な矯正の時に治療する方法です。

今回は部分矯正のメリットとデメリット、こんな時に部分矯正は難しい、お話しをしたいと思います。

部分矯正(MTMまたはLOT)

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部分矯正のことをMTM(マイナートゥースムーブメント)やLOT(リミテッドオルソトリートメント)とも言われ、歯を限局的に動かす治療として歯科医院で普及されています。

部分矯正についてはある条件のもとに治療ができるかできないかの診断が必要になります。まず部分矯正のメリット、デメリットについて記したいと思います。

部分矯正のメリット

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部分矯正のメリットは何と言っても歯が短期間で動き、歯並びが改善することです。

通常全ての歯の矯正治療は1年以上かかり、噛み合わせや見た目上歯に金属製の装置(ブラケット)をつけなければいけません。

しかし前歯のみの段差がある歯並びの改善や、部分的な歯並びを矯正する治療には部分矯正が適しています。

前歯は奥歯に比べ歯の支えがないので矯正治療を行うと比較的短期間で動き、歯並びが揃います。

また矯正装置が前歯のみなどの限定的な場所のみに装着するので、口内炎や異物感などが全顎矯正に比べありません。

そして部分矯正をされている歯科医院にもよりますが、全顎矯正に比べ比較的安い治療費になっています。

医院に寄って金額は異なりますが、歯の矯正期間や矯正法によって10万円から40万前後で治療が行えます。

全顎矯正は都内の矯正歯科医院の相場で70万円以上の治療費がかかり、2年ほどの治療期間が必要になります。

部分矯正のデメリット

部分矯正のデメリットは歯並びの症例に寄って部分矯正ができない場合があるということです。

受け口や出っ歯などの奥歯の噛み合わせを改善する治療が必要な場合、少なからず全体的な矯正治療が必要であり、部分矯正のみでは改善しない場合があります。

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また歯並びの状態により、歯を抜歯しないと歯並びが綺麗に揃わない場合があります。このような抜歯ケースに関しては部分矯正では治療ができません。

抜歯が必要な矯正治療は全顎的な矯正治療が必須になります。

噛み合わせに関しても適正な噛み合わせを付与することは部分矯正だけでは難しい場合もあります。

矯正治療は上下の歯を動かして適正な噛み合わせを作ることが主体です。

部分矯正は上だけだったり、下だけだったりの歯並びのみを矯正するため、噛み合わせに関しては正確に付与させることが困難になります。

部分矯正でできること

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①前歯のガタガタな歯並びのみ治療

(レベリング)

レベリングは上や下の前歯のガタガタしている歯並びを治す治療です。

歯にブラケットと呼ばれる装置を、前歯を含め最低8本くらいの歯につけます。8本に付けた装置にワイヤーを通しだいたい3〜6か月で矯正治療をします。

Q『なぜ前歯だけの矯正治療だとそんなに早く終了できるの?』

A   前歯だと矯正治療が早く済みます。その理由として歯を支える骨が薄いことが挙げられます。

歯を移動させるのに厚い骨が歯を支えていると歯を動かすのにかなり時間がかかります。

奥歯は歯を支える骨がしっかりしていて移動に時間がかかりますが前歯に関してはそんなにかかりません。

もう一つの理由として歯の移動様式が傾斜移動ということです。

矯正治療の様式として斜めに移動させる傾斜移動。沈んでいる歯を上方へ移動させる提出。

歯を平行に移動させる歯体移動。伸びてしまった歯を下方へ移動させる圧下。

この4種類の矯正様式があります。

4種の矯正様式の中で一番歯がすぐに動く治療は傾斜移動になります。

前歯などの歯を傾斜移動させて綺麗に整える作業は実はそんなに時間を要さないのです。

②斜めに倒れている歯を起こす治療

(アップライト)

アップライトは斜めに倒れている歯を起こして整直させる治療です。

歯は垂直的な力を受けるのには十分な許容力があるのですがなな笑みなっている場合、歯はどんどん倒れる方へ力は向かいます。

また斜めに倒れている歯は汚れが溜まりやすく、歯周病のリスクもあります。

奥歯などで歯が倒れている方に行う治療法で歯をおこすことをアップライトと呼びます。

矯正様式は傾斜移動のため短期間で終了できます。

アップライトの矯正法として従来はブラケット、ワイヤーで歯をおこしていましたが、最近ではアンカースクリューとよばれる一時的なネジを骨の中に入れ、それを固定源として歯を移動させる治療が開発されました。

これにより矯正器具を従来のものより必要最低限になりより簡単に歯を起こすことが可能になりました。

③歯を引っ張って抜歯を回避する治療

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(エクストルージョン)

虫歯が深すぎたり、歯が折れてしまった方。残念ながら通法の治療法では抜歯は免れません。

歯茎に覆われ、被せ物や治療ができない場合、歯を引っ張って再度治療ができるようにする方法があります。

歯を釣竿のようなフックにゴムを掛け平均で3か月ほどで歯を引っ張ります。歯の矯正様式では傾斜移動につぐ挺出と呼ばれる様式で比較的歯は移動しやすくなります。

歯を引っ張ると覆いかぶさっていた歯茎はなくなり再度治療が可能になります。治療の状況によって、歯茎の整形(クラウンレングス)を併用する場合もあります。

エクストルージョンについて詳しくはこちら

まとめ

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歯を短期間で治療する部分矯正について多少ですが、理解いただけたでしょうか。

部分矯正は全ての人に向いているわけではなく、治療するには診断が必要になります。部分矯正でできる方、全顎矯正が必要な方を診断で見極めて治療を行うことが、5年、10年の将来を見据えた時に患者さんにとって有益だと思います。

ご自身の歯並びが部分矯正で治療が可能か、もしくは全顎矯正が必要なのか疑問になっていましたら是非担当の歯科医師にご相談ください。

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