巣鴨の歯医者「ヴェリ歯科クリニック」が発信する歯の知識

あなたの虫歯は削らない治療法、カリソルブができるのか?について知っておきたいこと

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こんにちは、ヴェリ歯科クリニック院長の田島です。

 

カリソルブ治療という言葉をご存知ですか。

歯を削らないで虫歯を治療する新しい治療法ですが、カリソルブ治療を行うために知っておきたい注意点が何点かあります。

何も知らないであなた自身の虫歯が、カリソルブ治療で治療できると思っていたら大間違いです。

今回はカリソルブ治療がお勧めできる人はどんな方か。カリソルブ治療のデメリットを踏まえてお話したいと思います。

カリソルブ治療法

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カリソルブ治療法は2007年に日本で認可された治療法で、歯の中にある虫歯に薬剤を入れ、虫歯を溶かす方法です。

溶かした虫歯は専用の器具ですくい取り、除去後、詰め物を詰めることができるという方法です。

詰め物もカリソルブ治療法も保険治療では認可されておらず、保険外治療として扱われている治療法です。

費用は医院によって様々ですが、カリソルブ費用が約1〜2万円くらい。それに別途詰め物代金がかかります。

もともと虫歯予防先進国であるスウェーデンの医療会社で開発され、日本での取り扱いはデンマット社が担当しています。

デンマット社はカリソルブだけでなく、歯を削らないでセラミックベニアをつけるルミネアーズだったり、審美用マウスピース、スナップオンスマイルなどを取り扱っている、日本にはまだ普及されてない歯科商材や治療法などを提供しています。

 

how to カリソルブ治療

では実際どうやってカリソルブ治療を行うのでしょうか。治療手順をご紹介します。

①虫歯の部分を診察とカウンセリング

まずは虫歯の範囲がどれくらいまで広がっているかをレントゲンを撮影してチェックします。

また虫歯がある状態で冷たいものにしみるか、空気をかけて反応するかを診断します。

患者様はなるべく削らないで、そしてドリルを使いたくないなどのリクエストがあるかを聞き、実際に治療が可能かを診断します。

②虫歯の部分に薬剤を少しずつ塗り数分待ちます。

カリソルブ治療が可能だと診断したら次はいよいよ実際に治療を開始します。

虫歯の部分に薬剤を塗り約30秒ほど放置します。

ここで注意点として虫歯の部分に薬剤が十分浸透できるよう歯を削って入り口を広げる場合があります。

③専用器具で虫歯をとります。

カリソルブ治療専用の器具を使って虫歯を取っていきます。

専用器具は小さいスプーン状、まるで耳かきのような形をしていて歯の中の小さい穴からでも操作がしやすいように作られています。

薬剤に浸かった虫歯は柔らかくなり器具で取れるようになります。

④何回か繰り返します。

薬剤に浸かった虫歯のみしか器具では取れません。取りきれない虫歯は再度カリソルブの薬剤に浸さなければなりません。

薬剤を塗布、30秒放置、虫歯を取る、水で洗い流す、を繰り返します。

通常の治療で使う歯科用ドリルで治療するよりも治療時間が長くなります。

また神経に近いところまで虫歯が進んでいる方は器具で触れた時に痛みを感じる方もいます。

反応が強い方は麻酔を使う必要があります。

⑤プラスチック(レジン)を詰めて噛み合わせを調整して終了です。

カリソルブ治療では歯をほぼ削らないため、インレーのような歯科技巧所で作る詰め物を入れることはできません。

そのためプラスチックの樹脂を虫歯を取り除いた空洞に充填する方法が主流です。

前歯などの審美的な部分では詰めるだけでは歯とプラスチックに色の違いが鮮明になる場合があるため、多少歯を削ってプラスチックと歯の境界をぼやけさせて綺麗に詰める場合があります。

こんな方は向いてません!カリソルブ治療

カリソルブ治療が絶対歯を削らずに痛みが出ない方法だと思っている方、多いんじゃないでしょうか。もちろんドリルで削る方法よりは歯の削る量は少なく済みますし、痛みも少ないと思いますが絶対ではありません。こんな方は要注意です。

①絶対に歯を削らないで済むと思われている方

カリソルブを虫歯に浸す時に虫歯の部分が大きく露出していれば薬剤が浸透しやすいのですが、虫歯は内部で広がる性質があります。

 

虫歯の進行具合はどうやって進行するか

  • 虫歯は歯の表面にあるエナメル質から浸食し始めますが、実はエナメル質は90%が無機質の塊のため虫歯はそんなに広がることはできません。
  • 虫歯がエナメル質を過ぎると象牙質のエリアに入ります。このエリアから虫歯は放射状に広がります。象牙質の30%がコラーゲンでできているため虫歯が浸食しやすい環境にあるためです。

そのため歯の内部に広がる虫歯を除去するために入り口を削らないといけないというのが現状です。

②歯と歯の間に虫歯がある方

歯と歯の間に虫歯がある場合、専用器具がうまく虫歯に到達できない、つまり虫歯を取りきれないなどの可能性が出てきます。またその後のプラスチック治療(レジン充填)が技術的に難しいなどのデメリットが挙げられます。

③虫歯の範囲が深すぎる方、広い方

虫歯の範囲が深すぎたり広い場合、カリソルブ治療だけでは対応できません。

薬剤、水、器具の刺激で歯に痛みが出る場合もあります。虫歯をとっている間に神経が出てしまうこともあります。

虫歯が深すぎる場合はドックベストセメントなどの他の治療法をお勧めします。

ドックベストセメント治療はこちら

④絶対に痛くないと思われている方

カリソルブ治療によっても歯に痛みが出る場合があります。

歯の痛みには個人差があり、年齢、性別、虫歯の範囲により全く痛くない方もいれば、少しの刺激で痛みが生じてしまう方もいらっしゃいます。

じゃあどんな人に向いているの?カリソルブ

①入り口のエナメル質を少し削っても了承がある方、また痛みに関しては麻酔の使用も了承できる方

②奥歯の咬合面(噛み合う部分)に限定している虫歯

③ドリルの音を最小限にして治療してほしい方

まとめ

カリソルブ治療をするのも一人の歯医者。なるべく痛くなく、なるべく削らずにとは思っていながらも患者様のご希望にそぐわないこともあるのです。

一番大事なことは治療を受ける患者様と担当の歯科医師がいい関係で治療を行うことではないでしょうか。

カリソルブ治療は向いている方にとっては有効な方法だと思います。

ご自身の虫歯治療でカリソルブ治療で検討されている方は担当の先生と一度ご相談してみてください。

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