こんにちは、ヴェリ歯科クリニック院長の田島です。
歯石をクリーニングしたことがある方はいらっしゃると思いますが、『あなたは歯周病なので歯周病の治療をしましょう。』と言われたことのある方いらっしゃいませんか。
歯周病って歯のクリーニングで治るんじゃないの?歯茎の治療ってそもそも何?何回通えばいいの?に今回はお答えします。
保険治療の歯周病
日本では歯周病治療を含めて歯科治療が国民皆保険で賄われています。しかし厚生労働省が認可した保険治療では、ある規定のもとで歯周病治療を行わなければなりません。下に歯周病治療の流れを説明いたします。
歯周病基本検査
歯周病治療では保険治療のルール上まず全ての患者様で様々な検査を行います。この検査によって歯周病が軽度か重度かを診断します。
①歯の動揺(揺れ)
歯の揺れを調べます。歯が前後ろに動いていないか、またそれに加え横にも動いていないか。
さらに歯が浮き沈みしていないかで歯周病の重症度を知ります。
②触った時に出血するかどうか(BOD)
BOD(bleeding on depth)の略で歯茎の検査で検査器具を歯茎に沿わせた時に診断します。
歯肉炎や歯周病になっている場合、簡単に出血する場合があります。出血が簡単に起こる歯茎は炎症があり健康なピンク色の歯茎と比べ若干紫じみています。
③歯茎のコンディション
健康な歯肉にはスティップリングとよばれるピンクの引き締まった歯肉に少しブツブツした突起が歯肉に存在します。
このブツブツは歯茎に悪いものではなく健康な歯肉の証拠です。もしブツブツに気づいても不安にならないようにしてくださいね。
対して歯肉に炎症がある場合は歯茎が発赤していたり、紫いろじみていたり、歯茎が少し腫れている方もいらっしゃいます。
④ポケット検査
歯と歯茎の境にメモリのついた器具を挿入して数値を見ていきます。この数値のメモリによって歯周病の重症度がわかっていきます。
健康な歯茎をしている方は器具のメモリが1mm~3mmくらい、2mm〜4mmくらいで初期の歯周病、4mm〜6mmで中度の歯周病になります。
8mm以上になると重度の歯周病に分類されます。重度の歯周病は再発率が高くなったり、予後が悪くなります。
器具のメモリが歯茎の境に入れば入るほど骨の支えがなくなっているため沢山入るという仕組みです。
⑤歯磨きチェック(PCRプラークコントロールレコード)
歯に色がついた染め出し液を塗布します。その後水で洗い流しますが、この染め出し液は歯の汚れであるプラークにつくため歯磨きができていないところは染め出し液がついたままの状態になります。
私たち歯科医師、歯科衛生士は染め出しチェックを行い歯磨きができているかできていないかを知り、アドバイスをします。
⑥X線検査
レントゲンでは虫歯の診査だけでなく歯周病のチェックも可能です。
歯を支える、骨のラインと歯の位置から骨が歯周病で喪失してしまっている状況を診断できます。骨のなくなり方には垂直性骨吸収と水平性骨吸収がありそれにより歯周病の治療法が変わる場合もあります。
歯と歯肉初期治療クリーニング(歯石とりだけ希望の人は大体これです。)
初めて歯科医院に来院されてクリーニングだけ希望の方はこちらの治療がほとんどです。
歯と歯茎の間に超音波スケーラーを当てて、超音波の振動で歯石を除去します。
歯石を除去したのちに歯科医院専用の歯磨き粉と回転ブラシをつけたコントラアングルピースを3000〜6000回転させて歯のお掃除をします。
ここまででいくら?
初診でレントゲンを撮り、検査を含めると3割負担の患者さまで4000円以内で治療できます。これには歯の清掃、歯石とり、歯の管理アドバイスなども含まれています。
2回目の検査
ただ軽い歯石とりやクリーニングだけをしに来院されている方ならばここまでですが、歯茎の下にまだまだ歯石があったり、ポケットが4mm以上の方にとっては、この治療だけで完治する訳ではありません。
クリーニング、歯石がなくなった段階でもう一度歯茎の検査を行います。
検査によってPCRの改善やBODの改善があったりポケットが改善したかをチェックします。
歯肉の中の歯石とり(スケーリングルートプレーニング)
歯石には縁上歯石と縁下歯石にわかれます。縁上歯石は初期治療のクリーニングで落とせますが、縁下歯石は歯茎の中に潜んでいる歯にこびりつく厄介な菌塊です。
しっかり麻酔を効かせて専用のスケーラー器具で入念に縁下歯石をとります。
もし広範囲に縁下歯石がある方は、一度に全ての縁下歯石を取ることはできません。お口の中を6ブロックに分け部位ごとに来院してもらう必要があります。
治療する本数によって金額は変わりますが1ブロックは大体1200円から1500円ほどです。(3割負担の方)
3回目の検査
全ての縁下歯石をとり終わったら最後に3回目の検査をします。検査によって歯茎が改善されたかを診断します。ここまでで大抵の歯周病は改善しますがポケットが6mm以上の方にはポケット自体を改善する治療を提案します。
フラップ手術
ポケットが深い患者さまにはただ歯石を取るだけでは再発するリスクもあります。
再発しないよう歯茎を整形してポケット自体をなくす治療を行います。
フラップ手術は歯茎にメスが入ります。そして縫合と言って糸で縫わなくてはなりません。
怖くて抵抗を感じる方も多いと思いますが実際ポケットがなくなり歯周病に悩まなくなった方もいらっしゃいます。
フラップ手術後に起こるリスク
①一時的に凍みる
ポケットが改善されると感染した歯茎がなくなるので歯の根が見えてくることがあります。歯根が露出するとお水や空気に一時的にしみる場合があります。
②一時的に揺れる場合がある
歯茎が下がることで支持を失い揺れる場合があります。汚れた歯肉で支えられた歯でしたが、汚れた歯肉がなくなることは治療としては成功だと考えていただければ幸いです。
③ものが挟まりやすくなる
これも同様に汚れた歯肉がなくなり現状の健康な歯肉に戻った状態です。
骨が失われた分だけものが挟まりやすいスペースが生じてしまいます。
④歯茎が下がる
歯茎が下がり審美的に問題が生じる場合もあります。もしどうしても問題がある場合はクラウンやセラミックベニアなどで審美的な欲求にこたえる場合もあります。
まとめ
歯医者さんで歯周病の治療を受けていて『はい、また来週来てください。』と言われても『あと何回で終わるのだろう。』って思いますよね。
自分の歯茎の状態を知っていただくと、どのような治療が必要なのかわかっていただけると思います。
ぜひ患者様も歯科医師も病気の状況を共有していただき、一緒に治療にとりかかれればいい結果が自ずと生まれると私は思います。
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