こんにちは、巣鴨ヴェリ歯科クリニックの田島です。
『どうして八重歯って尖ってるの。』
『私の八重歯は他の人に比べて尖ってる。削ってもっとまるくしてもらいたいな。』
『最初尖っていた八重歯がどんどんすり減って削れてる。このままでいいのかな。』
鏡を見てそう思っている方も多いのではないでしょうか。
八重歯の事を糸切り歯や犬歯などと言います。
(以下犬歯と言います。)
犬の歯と言われるように私たち人間の歯の中で一番大きく、尖っている歯です。
尖っている犬歯を削って丸くしたり、形を変えたいと思っている方へ。またつけ歯をして尖らせたいと考えてる方へ
実は犬歯には噛み合わせの治療でとても重要な働きをしています。
今回は犬歯の働きと噛み合わせ治療で行う犬歯のつけ歯の話をします。
目次
人間の歯で一番尖っている歯『犬歯』が尖っている理由
犬歯が尖っているわけをさかのぼると私たちの祖先、猿の歯に行き着きます。
犬歯はもともと哺乳類にある特有のものです。
肉食動物では犬歯は発達し、獲物を捕らえ殺傷させるよう大きくなり、草食動物には代わりに草や木の実をすりつぶす臼歯が発達しました。
猿は雑食でしたので、犬歯も臼歯も発達した珍しい動物でした。
猿は人間に進化し犬歯、そして臼歯も現在の形になりました。
もっと詳しく知りたい方はこちらのブログを参考にしてください。
人間の歯で一番尖っている歯『犬歯』の歴史とガイド
人間の犬歯はただ食べ物を剪断するための大きい歯というわけではありません。
噛み合わせで重要な役割を担っています。
それが犬歯ガイド(ミューチャリーガイデッドオクルージョン)といいます。
歯を横に歯ぎしりさせた時に上下の犬歯同士が擦りあい奥歯が開くことを言います。
下の写真は噛んだ時の写真です。
下の写真は横に歯ぎしりした時の写真です。
この写真では奥歯に隙間が出てきているのがわかるでしょうか。
もう一枚
これが噛んでいる時の写真です。
横にずらした時の写真です。
このような噛み合わせの様式を犬歯ガイドといいます。
犬歯ガイドのある噛み合わせがいいと言われていますがなぜでしょうか。
実は現在の噛み合わせ治療で犬歯の重要性が確立されたのは1960年代なんです。
犬歯ガイドの歴史
1960年代以前は横にずらした時に全部の歯が当たるような噛み合わせの様式が確立していました。
しかしこの噛み合わせでは多くの方が歯が割れたり、症状が出たりとトラブルが続出しました。
そしてこの噛み合わせを作るにはとても難しい設計だったので当時の歯科技工士さんは苦戦していたそうです。
いち早く犬歯の働きに気づいたのはD’Amicoという先生でした。
1958年にD’Amico先生が犬歯ガイド(当時はカスピッドライズ)を提唱し、その後stallard先生やstuart先生により現在の犬歯ガイド(ミューチャリーガイデッドオクルージョン)
が確立されました。
犬歯をガイドさせて奥歯を守る
『犬歯が先にあたり奥歯を離れさせる』
そもそも人間の歯は縦の力(垂直の力)には受け皿がありしっかり力を受け止めますが、斜めや横の力(側方圧)には弱いのです。
奥歯も同じで縦の力に強く横の力に弱いです。
つまり横に顎や歯をずらした時に奥歯同士が擦れ合う時、奥歯に負担がかかります。
負担のかかった奥歯は
①虫歯になりやすくなります。(微小クラックによる)
②歯周病になりやすくなります。(二次生咬合性外傷)
③歯が割れる場合があります。(歯根破折)
④歯が倒れる場合があります。(歯牙移動、傾斜)
2種類の犬歯ガイド
犬歯ガイドには二種類のガイドがあります。
上の犬歯の前側(近心)でガイドするものをM型、犬歯の後ろ側(遠心)でガイドするものをD型といいます。
M型犬歯ガイド
M型は理想的な噛み合わせ様式で下の犬歯の後方部と上の犬歯の前方部がガイドします。
十分に奥歯が離れます。
D型犬歯ガイド
D型はM型に比べると理想的ではありません。
上顎前突(出っ歯)などの方に多く見られ下の犬歯の前方と上の犬歯後方がガイドします。
D型は顎関節などにストレスを与えやすく症状が出やすいと言われています。また犬歯のみのガイドだけでなくそれ以降の奥歯(小臼歯や大臼歯)にもガイドが加わりやすいです。
以前のブログにも犬歯ガイドや他の噛み合わせ様式についても触れていますので良かったら参考にしてください。
人間の歯で一番尖っている歯『犬歯』の噛み合わせ、つけ歯治療
噛み合わせ治療を行う上で犬歯に作為的にガイドをつける方法があります。
用途として適正な犬歯ガイドを作って奥歯を守るためです。
ガイドを作るためには犬歯に差し歯をかぶせたり、矯正治療で歯を移動させる方法しか従来ではありませんでした。
しかし現在では高強化型コンポジットレジンが開発されたり、接着システムが従来に比べ発達したおかげで新しい治療があります。
犬歯の裏側につけ歯をしてガイドを作る
よくハロウィンなどで犬歯の表に付け歯をつけてドラキュラの仮装がありますが、
これを利用した方法で上の犬歯裏側に付け歯をして犬歯ガイドを作る方法があります。
①コンポジットレジンで治療
コンポジットレジンを直接歯に接着してガイドを作ります。
利点としてほとんど歯を削りませんし、外そうと思えば外しやすいことが特徴ですが、かけやすかったり、磨耗しやすいのが欠点です。
上の写真は犬歯にコンポジットレジンをつけて犬歯ガイドをつけている写真です。
②ラミネートベニアで治療
セラミックの付け歯を歯の裏側に付ける方法です。
コンポジットレジンよりも強度があるので磨耗しにくくガイドが永続的です。
コンポジットレジンに比べ技工作業が必要なので高価なの点が欠点です。
まとめ
歯の中で一番大きい歯である犬歯。
ただものを剪断するだけでなく噛み合わせで重要な仕事をするということわかっていただけたでしょうか。
ただし犬歯ガイドは必ずも必要なわけでなく、本来の個人個人似合わせた噛み合わせで障害がなければ付けるべきではありません。
またそのガイド量(ガイドさせる角度や方向)は個人の固有的なものなので慎重に作らなければなりません。
当初犬歯の重要性に気づいたD’Amico先生は単に犬歯にガイドさせるカスピッドライズを提唱していましたが、うまくいきませんでした。
重要なのは犬歯の角度、顎の可動域、他の歯の形や角度などを参考にして調和のできる犬歯ガイドが必要ということです。
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