巣鴨の歯医者「ヴェリ歯科クリニック」が発信する歯の知識

CADCAM冠は神経を取らないで治療ができる?の質問にお答えします。

考える女性

こんにちは、巣鴨ヴェリ歯科クリニックの田島です。

歯を白くしたい。差し歯を白くしたい

でも保険外の治療は高くて嫌だな。

保険の治療で白い差し歯ができるなら銀歯ではなく白い歯で治療してもらいたい。

と思う方は多いと思います。2014年より小臼歯と呼ばれる横の歯にも保険が適用の白い差し歯ができるようになりました。その名もCADCAM冠(キャドキャムかん)と呼びます。

でも全ての歯に適用しているわけではありません。

CADCAM冠で治療して欲しい貴方へ。

知っておきたいことをまとめてみました。

CADCAM冠(キャドキャム冠)

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CADCAM冠はハイブリッドセラミックを主成分にした高度プラスチックのブロックを歯科用3Dプリンターの CADCAMによって削られて作られます。

CADCAMの技術は昨今進化しており、ジルコニア、オールセラミックなどの金属を主成分に持たない差し歯の多くはこの技術を応用して製作されております。

CADCAM冠は保険治療によってCADCAMで製作される最初の差し歯になります。

強度に関してはプラスチックを少し硬くしたレジンブロックを使い製作されています。この治療についてはいい面、悪い面があるので少し記したいと思います。

またCADCAM冠の費用や製作についてはこちらのブログへどうぞ

CADCAM冠について

CADCAM冠の特徴

いいところ

①保険治療で差し歯が白くできること

何と言っても今まで銀歯でしか作れなかった差し歯が保険治療でしかも白くできることは皆様にとってこの上なくメリットだと思います。

②3Dスキャナーを使うので精度がいい

CADCAM冠は基本コンピューター上で製作されるため技術者の差は少なくなります。エラーが少ないため再作製の頻度が減ります。

③破損してもデータがあるためすぐ作り直せる

CADCAM冠がいざ破損してしまったり外れて無くなったしまった場合でもスキャニングデータを参考にもう一度ほぼ同じのCADCAM冠を再製作することができます。

悪いところ

①外れてしまうことが多々有る

CADCAM冠を歯に接着するためには的確な接着システムに忠実でないといけません。

正しい接着を行えばある程度外れる機会は減りますが、基本的に従来の銀歯に比べて外れやすい事例が多く出ているのが現状です。

②プラスチックなので磨耗しやすい

CADCAM冠は基本プラスチックを主成分にしています。歯ぎしりの強い方やブラッシングの強い方は簡単に差し歯に傷や磨耗が見られます。

③水分を吸水して劣化しやすい

プラスチックのもう一つの欠点として吸水性が挙げられます。コーヒー、ワイン、お茶などの色素系を好まれる方は早々にしてCADCAM冠が着色してしまうことがあります。

CADCAM冠で神経を取らないで差し歯を作ることはできる?

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さて本題のCADCAM冠を作る上で神経を取らないで差し歯を白くできるかとのご質問ですが、よくこの質問を多く承っておりますが、それについて回答いたします。

神経を取らないでも CADCAM冠はできるが、、、

結論を言うと神経を取らなくてもCADCAM冠を製作することは可能です。しかし多くのCADCAM冠は神経の治療後の差し歯だったり、すでに神経を取られている歯のリニューアルで多く見られます。

それを説明するにはCADCAM冠を製作するにあたって技術面と保険治療においての規則の面で2つの問題点が挙げられます。

技術的な問題

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CADCAM冠は従来の銀歯FCK(フルキャストクラウン)に比べて歯の削除量がきわめて多くなります。

その際神経近くまで削らなくてはなりません。結果便宜的に神経の処置をしてから差し歯を作ることが多くあります。

つまりCADCAM冠を作るには歯をたくさん削らなくてはならないということです。

保険治療における問題

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CADCAM冠は比較的新しい治療法のひとつです。銀歯の詰め物が歯に金属があると言ったからといって金属をなくしCADCAM冠で白く改善するような治療法は保険治療では行っておりません。

あくまでその歯が大きな虫歯だということが前提です。

神経を取らないでCADCAM冠を作る場合はその歯が広範囲な虫歯で歯の周囲が虫歯に侵されている。しかし神経は生きているという条件が必要です。

このような条件は臨床上結構稀です。多くの場合は神経を治療した後に差し歯を白くすることが主です。

またすでに入っていた銀歯の差し歯と歯との間に隙間があったり、適合があまり良くなかった場合にCADCAM冠にて作り直すことは保険上適応されます。

つまり小さな虫歯なのにCADCAM冠を製作して治療すると保険治療の規定に引っかかってしまいます。

CADCAM冠はまだ新しい治療法なのでこれからも何らかの規定が出てくると思われます。

CADCAM冠がオススメな方

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①歯ぎしりがなく噛み合わせの強さが弱い方。顎が小さい方

②歯磨きをしっかりされてあまり色素系のものを摂取しない方

③金属アレルギーの方

 CADCAM冠が不向きな方

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①歯ぎしりが強い方

②ヘビースモーカー、着色物を好まれる方

③歯磨きをあまりされない方

まとめ

CADCAM冠についていかがだったでしょうか。

比較的新しい治療法で金属を使わない保険治療になります。

昨今金属を口の中に入れることは避けましょうというメタルフリーコンセプトが世の中に広まっております。

また国民皆保険での金属の高騰がこのようなCADCAM冠を適用にした背景もあります。

何れにしても新しい素材なので歯科医師、患者さんがCADCAM冠についての良さと悪さを両方知っていただき治療に生かせればと思います。

ちなみに治療する歯が虫歯だったり差し歯が割れてないと保険治療ができないことは忘れないでくださいね。