巣鴨の歯医者「ヴェリ歯科クリニック」が発信する歯の知識

ひどい虫歯の症例その3

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こんにちは、巣鴨ヴェリ歯科クリニックの田島です。

ひどい虫歯の方の症例その3

概要

女性 50代後半 会社員

患者Yさんは右上の差し歯が外れたとのことで来院されました。

差し歯が外れたとこの歯はすでに深い虫歯で侵され、歯肉が歯に覆っていました。

なるべく歯を保存できるよう来院されましたが、残念ながら予後を見据えて抜歯を勧めました。

また一つ一つの治療がその時々で行っていたので右上だけでなく他の歯にもトラブルが起こりそうな場所がありました。

今後起こりそうなトラブルなどを患者さんと話し合い、今回は噛み合わせを含めた治療に踏み切ることになりました。

治療前の歯の状態

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右上の差し歯の歯は根元しかなくなり、これ以上歯を作るのが難しいことがわかります。

またところどころ歯がないところがあったり、前歯の被せ物や形も審美的に問題がありました。

また被せ物の周りの歯肉も状態が悪く、歯周病を併発していました。

患者さんのお悩み・懸念されていたこと

患者さんはなるべく低侵襲な治療を希望されていました。

インプラント治療もなるべく出来ることなら避けたい意向でした。

見た目に関しては前歯も治療して審美的な改善を希望しておりました。

しかし、矯正治療に関しては拒否されました。

治療後の写真

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奥歯のサポートを作ることができたおかげで前歯を守ることができます。

3か月〜半年に一度の定期的メンテナンスで噛み合わせを微調整する必要があります。

ひどい虫歯症例の治療計画、方針

複数本の歯を治療する場合は必ず噛み合わせ設計図が必要になります。

歯科ではこの設計図のことを診断用ワックスアップと言います。

羅針盤を持たない船が遭難してしまうように、噛み合わせに手をつける前には十分な分析が必要になります。

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ワックスアップにより歯をどのように作るかを想定します。

患者Yさんの場合は左下奥歯にインプラントが必要と判断し抜歯後インプラントを行いました。

右上の歯がない場所にも、また前歯にもインプラント治療が好ましいとお伝えはしましたが、患者さんはブリッジで治療することを強く望まれていました。

下の前歯には良好なアンテリアガイダンスをつけるために矯正治療を提案させていただきましたが、残念ながら拒否されました。

以上よりまずは仮歯で適正な噛み合わせのラインを作ります。

その後、残すのが難しい左下の歯は抜歯をしてインプラントをしました。

問題発生!抜歯した歯によって骨がなくなる!

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残すことが難しい歯を抜歯すると歯肉は多かれ少なかれ吸収され、小さくなります。

それに病巣などがあったり、すでに歯を支える骨が失われていると、抜歯した後に歯肉(歯槽堤)は大幅に減少します。

歯肉(歯槽堤)がなくなることによる問題

①見た目が悪くなる審美的問題

歯ぐきが凹んだりすると凹んだ歯ぐきに合わせて歯を作らなければなりません。

その際ブリッジやインプラントだと抜歯したところのみ歯が長くなります。歯列の連動性が乱れ審美的に悪くなります。

②ものが挟まるなどの清掃面での問題

抜歯したところの歯のみ長い歯ができると歯と歯の隙間に物が挟まりやすく、歯磨きがしにくくなります。

物が常に停滞してしまうと虫歯や歯周病の原因になってしまいます。

③インプラントができない(骨の問題)

抜歯したところにインプラントを予定している場合、骨の吸収が強いと、歯肉が痩せてインプラントを埋入することができません。

では病巣などによって痩せてしまった歯ぐきをどのように回復するのでしょうか。

痩せてしまった歯肉の場所に人工の骨を置いてボリュームを作る

患者yさんには抜歯前からこのように歯ぐきが下がることは説明していたので、その後の対処治療もすでに治療前から予定しておりました。

対処治療とは、抜歯3か月以内に抜歯した場所に人工の骨を置きました。

これは抜歯した場所が吸収されて小さくなることを防ぐ役目があります。

人工骨にはバイオスを使い、

歯肉で完全に封鎖しました。

転入した人工骨に変化がないか診るため最低で半年間は仮歯の状態で様子を見ました。

バイオスについてはこちら

人工骨の手術後、最終の仮歯の状態がこちらです。IMG_3716

数ヶ月仮歯で様子を見てその後デュプリケート(仮歯読み取り)作業に入ります。

最終の被せ物はジルコニアクラウンで製作しました。

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仮歯の状態より歯肉が差し歯に調和しているのが見えます。

治療後の笑顔

IMG_9498 のコピー

最終のジルコニアクラウンが入った時の笑顔です。

スマイルとも調和できているため患者さんも大変喜んでいました。前歯の長さもまずまずだと思います。

まとめ

右上の歯がない場所はインプラントではなくブリッジを患者さんは選択しました。

長いブリッジはインプラントに比べ不安が残ります。

長期的な維持が出来るように定期的な調整が必要になります。

長く治療した歯が持てるようメンテナンスが何事も必要ですね。