こんにちは、ヴェリ歯科クリニック院長の田島です。
親知らずを抜いた経験がある方で痛くなくスムーズに抜けた方もいれば、何時間もかけて抜いて歯茎が腫れてしまった方もいらっしゃると思います。
そもそも何で親知らずは抜かないといけないのでしょうか。抜かなくて済むのならそれに越したことはないのですが、今回は親知らずの抜歯基準と抜かなくてもいい場合も含めてお話ししたいと思います。
親知らず
親知らずは16歳前後から萌えてくる一番最後の歯です。大人の時期に萌えてくることから親が知らない時期に萌える歯、親知らずと言われています。
人によってずっと萌えてこないで中にとどまっている親知らずや、そもそも親知らずがない方もいます。
また親知らずの手前の歯(第二大臼歯)が阻んでそのまま停滞している親知らずもあります。
いろんな状況で存在する親知らずですがどんな時に抜歯した方が良いのでしょう。こんな時に親知らずを抜いた方がいい場合を下に記します。
親知らず抜いた方がいい場合
①虫歯が進行して痛みを伴う場合
親知らずは口の中に一番奥にある歯です。それゆえ歯ブラシが容易に届きません。親知らずの周囲にはプラークがつきやすく虫歯になりやすい環境になります。
虫歯が進行すると歯の神経が痛み、歯髄炎と言うズキズキした痛みが生じます。
本来ならば神経の治療をして冠の治療が必要になりますが、親知らずにそのような痛みが出た時、状況を見て抜歯することがあります。
②親知らずによって第二大臼歯に虫歯や歯周病が及ぼす場合
親知らずとその隣の第二大臼歯との間に物が挟まりやすい環境になっていたり、歯ブラシが届きにくい環境になっている場合、親知らずや第二大臼歯に虫歯や歯周病ができやすい環境になります。
親知らずを抜歯せず放置してしまい第二大臼歯に影響が出るようであれば、早めに抜歯をしなければなりません。
③萌えてくる方向がまっすぐではない場合
萌える方向が横に萌えていたり、斜めに萌えると噛み合わせとして機能しない可能性があります。
機能しないだけでなく虫歯になりやすくなったり、隣の歯を押してくることもあるので基本的にまっすぐ萌えなければ抜歯した方がいいです。
④親知らずによって歯茎が腫れてしまう場合
親知らずが萌える際、歯茎自体に一時的な炎症が起こります。
一時的に腫れるだけなら良いのですが、親知らずの萌えるスペースが狭い場合、そこで停滞する時があります。
歯茎は停滞したところから何度も腫れてきます。
このような場合は抜歯をお勧めします。
⑤親知らずによって口が開けにくくなっている場合
親知らずの萌え方によっては炎症が筋肉まで及ぶ場合があります。
筋肉まで炎症が波及されると口を開けづらくなってしまいます。(開口障害)
開口障害がみられる場合は抜歯することをお勧めします。
⑥対合になる親知らずがなく歯茎を噛み込んでしまう場合
歯は上下で嚙み合わさないと意味がありません。片方の歯がない場合、もう片方の歯は伸び続けます。ある程度伸び続けると対合の歯茎まで達し噛み込んでしまうことがあります。
歯茎は炎症を起こし慢性的に腫れてしまうことがあります。また親知らずが伸びることで噛み合わせが悪くなる場合があります。
このような場合、抜歯をお勧めします。
親知らずを抜かなくてもいい場合
すべての親知らずが抜歯の対象になるわけではありません。
親知らずを抜かなくてもいい場合もあります。
①親知らずがまっすぐ萌えてきてる場合
親知らずの萌えるスペースがしっかり確保されていてまっすぐ萌えている場合は無理に抜く必要はありません。もともと人間の歯は親知らずを合わせ32本があったわけなのでしっかり32本が萌えるスペースがある方そのままで問題ありません。
②親知らず同士がしっかり噛み込んで噛み合わせとして役に立ってる場合
上下の親知らずが上下でかみ合っている場合、噛み合わせとしての役目を果たしているので無理に抜歯する必要はありません。虫歯にならないよう定期的にケアしましょう。
③親知らずが歯茎の中に停滞している場合
親知らずがまだ萌えずに歯茎の中にいる場合、わざわざ掘り起こして抜歯しなくてもいいでしょう。今後動いてきて隣の第二大臼歯に影響が出ないか定期チェックをしましょう。
その他(親知らずを利用して活かす方法)
普通抜歯すべき親知らずですが、抜かずに利用できる方法があります。
第二大臼歯の代用
第二大臼歯が何らかの原因で抜歯しないといけなくなった場合、親知らずを矯正で移動させ第二大臼歯の代わりとして活用させる方法があります。
図の一番奥にある親知らずを矯正で3〜6か月動かして第二大臼歯の位置まで移動させました。
だんだん歯が第一大臼歯のところまで移動しているのがわかりますでしょうか。
特に上の歯は移動しやすく3か月ほどで移動することが多いです。
まとめ
抜くべき親知らずですが最近では抜かないで活用する方法もあります。しかし隣の歯に悪影響を及ぼす場合は抜歯をお勧めします。
親知らずを抜歯することは気が進みませんよね。
あなたの親知らずが抜くべき親知らずか、抜かなくてもいい親知らずかを知りたい方は是非歯科医院でチェックしましょう。
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