巣鴨の歯医者「ヴェリ歯科クリニック」が発信する歯の知識

被せ物が合わない方、噛み合わせが悪い方にも知ってほしい治療法〜ワックスアップ診断

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『それでは被せ物を作りましょう。歯を削って型取りします。来週お越しくださいね。』

数週間後、

『被せ物をしたけどなんだかしっくりこないなあ。被せ物があっていない感じがするなあ。』

と感じている方。

いらっしゃるのではないでしょうか。

また噛み合わせが悪く何度も被せ物を取り替えている方にも知ってほしい治療法を今回はお話します。

被せ物や噛み合わせ治療をする前に一手間かけるといいのです。

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被せ物を作る際や噛み合わせが悪い方を治療する前に一手間施すことでその後の治療がスムーズにすんだり、綺麗で噛み合わせのいい被せ物を作ることができます。

この一手間をワックスップと言います。

ワックスアップは歯の被せ物設計や噛み合わせの診断、また審美歯科の治療で多く使われています。

ではワックスアップをしないとどういうことになるのでしょう。

ワックスアップをしないで治療した場合

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ワックスアップをしないで治療した場合、まず歯を削り、型取りをします。

すると、手元にある情報は、削った後の歯型と対合の歯型の情報しかありません。

歯科技工士さん(歯の被せ物を作る職人)はこの情報をもとに被せ物を作りますが、人によっては思ったものとは違う被せ物ができてしまいます。

また噛み合わせが悪い方の治療ですが、ワックスアップをしていないとどこをどう削ったらいいのか、また噛み合わせをどう変化させたらいいのかという指針がわからなくなります。

例えて言うと方角がわからないまま船を出すようなもので、治療としてはかえって悪化してしまう場合もあります。

ではワックスアップをするとどのようなことがわかってくるのでしょうか。

ワックスアップ診断でわかること

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ワックスアップはあらかじめ歯の形や噛むところを蝋、つまりワックスを使って具現化、シュミレートし、それを参考にして治療する方法です。

つまり本来治療が終わった後の噛み合わせや被せ物の形を前もって作りそれをもとに患者さんと相談します。

ワックスアップは大きく分けて3段階に分類できます。

①噛み合わせが悪い方の治療法診断のためのワックスアップ

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一本だけでなく複数の歯がトラブルになり噛み合わせが悪くなってしまった方。顎が痛くなってしまったり奥歯が噛むと痛くなった方。が対象です。

噛み合わせを総合的に診る場合、どこの歯がどれくらい高くなっているのか、低くなっているのか、また本来の場所から逸脱しているのかを診断します。

ワックスを使い本来のあるべき歯の場所や噛み合わせが低い場合は何mm低くなっているのか。

噛み合わせが高い場合は何mm高くなっているのかを総合的に診断します。

②審美歯科治療の歯の形をシュミレーションのためのワックスアップ

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患者さんが望まれる歯の形は必ずしも治療する歯医者さんが好む形ではないと思います。

綾瀬はるかのような歯を好む方もいれば、広末涼子のような歯を好む方もいらっしゃると思います。

歯の型取りの後にすぐ被せ物を作るのではなく、あらかじめ歯のデザインを作りこんな歯を作ろうと思ってるのですがいかがですか。のように患者さんにあらかじめプレゼンテーションすることで患者さんのリクエスト通りの被せ物が仕上がります。

指輪をオーダーメイドするように歯の形もオーダーメイドすることもできます。

(噛み合わせや歯の状態によって変わります。)

③被せ物治療の歯の形や噛み合わせの指標のためのワックスアップ

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被せ物を製作する技工士さんは歯型の情報を見て被せ物の設計を作ります。

しかしワックスアップをしないで被せ物を作ると歯の設計が合わないこともしばしば見られます。

被せ物を作る際にワックスアップを用いることで被せ物のどこに対合の歯をかませるのか、また噛み合わせの不調が起こらないようにする時にワックスアップを使って診断します。

ワックスアップは設計図

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私たちが家を建てる時、いきなり建設に取り掛かることはないと思います。みなさんどのようにしているのでしょうか。

そうです。家を建てる時に施工図や設計図が必ず必要になると思いますが、

歯の治療も全く一緒で、やみくもに歯を削って治療するのではありません。

治療をする前に設計図をしっかり作り込みそれに沿って治療を進めます。

ワックスアップ模型以外のシュミレーションとしてあげられるのが矯正用診断のセットアップと呼ばれるものです。

セットアップは矯正治療を行う前に歯の動きをあらかじめ予定し、それを指標にして矯正治療を行います。

ワックスアップは歯を作る前にぴったりあった歯の噛み合わせの位置がどの位置なのかをシュミレートして治療に入ります。

これにより被せ物はしっかり設計図通りのものが出来上がります。強いてはこれがぴったりあった被せ物になるのです。

まとめ

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いかがだったでしょうか。しっかりした被せ物を作る為に、また噛み合わせが悪い方の診断の為に、そして綺麗な審美歯科の被せ物を作る為に使うワックスアップのことを知っていただければ幸いです。

もちろんワックスアップだけでは情報量として少ないので、追加で色々な診断や資料を集めて被せ物を仕上げます。

被せ物やひどい虫歯、噛み合わせの不調を万が一感じたら担任の歯医者さんに報告してみてくださいね。