こんにちは、巣鴨ヴェリ歯科クリニックの田島です。
『噛み合わせがしっくりこない。よく差し歯や詰め物が外れる。』など感じていらっしゃる方。
それだけでなく顎があかない。痛い。また慢性的に耳や目の痛み、頭痛がする。
さらには肩こり、腰痛などがある方。
こんな症状をお持ちの方全員が噛み合わせが悪いわけではないと思いますが、噛み合わせによって体に不調が起こる方もいるのです。
いい噛み合わせとは何でしょう。どのように噛む位置(咬合するところ)を作るかについてまとめてみました。
目次
噛み合わせが悪いのはなぜ?
今噛んでいる歯がしっくりいかないと感じている場合、原因は大きく二つあります。一つは噛み合わせが悪く脳のセンサーが異常と捉える時。もう一つは噛み合わせは異常ないのに脳のセンサーが過剰に反応している時です。
特に多くの差し歯や詰め物をされた方はある治療を引き金に噛み合わせの異常を多く訴えます。
噛み合わせはレントゲン上で異常を現さないですし、虫歯や歯周病のようにずっと痛みが出ているわけでもありません。
歯医者さんにとっても診断が難しいのが現状です。なぜ噛み合わせが悪いのかを簡単に、原因別にしてまとめてみました。
①噛んでいる歯が少ない。
虫歯や歯周病によって歯が失われてる時、顎はそれをかばうように他の歯で噛みます。
また差し歯や詰め物の高さに多少の誤差がある時、歯は噛み合わせが高い方の歯で噛むことになります。
噛んでいる歯の本数が少なくなると顎の位置が変わったり、噛んでいる歯にトラブルが起こることがあります。
②噛んでいる歯の噛みこんでいる位置が異常
私たち歯医者は治療中青や赤の咬合紙と言うもので噛んでいるところをチェックします。
どこの歯が噛んでいるか、だけでなく歯のどの場所で噛んでいるかをチェックできます。
下の図は左上の大臼歯です。この歯に噛みこむのは左下の大臼歯がそれに当たります。
黄色の部分に左下の大臼歯が噛みこんでいるとします。
複数の噛みこむポイントがあるならともかく、黄色のポイントのみにしか当たっていません。
歯は上下の歯が最適な場所に噛みこんでこそいい噛み合わせを作りますが上図のようなかけ離れた場所に噛みこむことはあまりいいとは言えません。
③右か左に偏って噛む癖がある
噛みやすいと思う場所で長期間噛んでいるとどうなるでしょう。
顎がその位置を正常だと判断し顎がずれた状態になります。
またずっと噛んでいる側の歯に虫歯やヒビなどのトラブルが起こることもあります。
また病気の歯(虫歯、歯周病)を放置してそれを避けて噛んでいる時も同じようなトラブルが起こります。
④歯の形やはえている方向が異常
もともとの歯の形が普通とは異なった方もいます。形態異常歯と言われ噛んでいるポイントが適正に当たらないことがあります。
また生え残ってそのまま抜けなかった乳歯のことを晩期残存乳歯といい、これも噛み合わせが適正に噛まないことがあります。
その他、歯ぎしりや食いしばりによって歯の大部分が擦れてしまった方、歯が割れたり、虫歯でかけたりした方もいい噛み合わせは作れません。
正しい噛み合わせとは?
正しい噛み合わせとは
顎の真ん中で噛む(顎関節の位置が正しい位置)
歯と歯がすべて噛む(上下28本)
犬歯ガイド、アンテリアガイドがある。
(横にずらした時犬歯がぶつかって奥歯が離れる。前に歯を出した時に前歯が擦れて奥歯が離れる)
以前理想的な噛み合わせについてブログでお話したので良かったら参考にしてください。
ではもう少し噛み合わせについて細かく掘り探っていきましょう。
噛み合わせをミクロで考えてみよう
各々の歯の噛みこんでいる位置が変わってくると決して理想的な噛みあわせであるとは言えません。
歯のどの部分に対合の歯が当たると正しいのか。
ここでは歯の咬合面でどの場所に歯が噛みこむと適正なのかを説明します。
難しいですが咬合学といって1940年代頃から噛むポイントはそれぞれの流派によって多少異なります。ここでは二例紹介します。
ABCコンタクト
ナソロジーと呼ばれる咬合グループの一人PKトーマスさんが提唱した咬合です。
ABCと呼ばれる3点で嚙み合わせることで安定した噛み合わせを作ることができると説いています。下図参照。(ここでは分かりやすく説明するため他のポイントは省いてます。)
FDOコンセプト
functionally deiscruted occlusion(ファンクショナリーディスクルーテッドオクルージョン)と呼ばれ顎の生理的な動きを読み取って、それに調和した噛みあわせを作る方法です。歯科技工士の桑田正博さんが提案された方法です。
桑田正博さんは世界にPFMクラウン、別名メタルボンドと言われる金属の裏打ちにセラミックをつけた差し歯を開発されたとても有名な技工士の先生で海外からも多くの先生が師事されています。
歯の中心部に咬合のポイントをつけ、なるべく咬合斜面に噛ませないことが特徴です。
下図参照
つまり歯の真ん中(歯根方向へ向けて)で噛ませよう!
ABCコンタクトもFDOも歯にかかる横への力を防ぎ、安定した歯根軸(歯の根に沿って)に咬合の力方向を向けます。
これによって横の力に弱い歯は縦のみの力を受けることで安定した噛みあわせを得られるのです。
まとめ
咬合学はABCコンタクト、FDOだけでなく様々な噛みあわせの仕方が流派によって提唱されています。
しかし、すべての方でABCコンタクトやFDOができるわけではありません。
歯が傾いている人もいたり、歯がすり減っている人もいたり。それでもその患者さんの噛み合わせは均衡を保っているのです。
患者さん一人ひとり違った噛みあわせをしていてこれらの理論がすべて通じるわけではないのです。
患者さんにあった噛み合わせはまずプロビショナルクラウンで様子を見て調和がとれたらそれを差し歯に置き換える。
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