こんにちは、ヴェリ歯科クリニック院長の田島です。
歯の神経の治療を経験された方いらっしゃいますか。
歯の根の治療、神経の治療を根管治療とよびます。
現在の根管治療(特に根の神経の専門医で行なわれている治療)では今から10〜15年前の治療とは全く異なった手法で行われていることをご存知ですか。
新しい薬剤や機器が導入されたことで米国、ヨーロッパ、遅れて日本にも最新の治療法が普及されています。
口の中は見ることのできない場所ですが、最新の神経の治療について今回はお話ししたいと思います。(2017年2月現在)
目次
どこが変わった?歯の神経の治療
歯の神経の治療は2000年頃と比べて何が変わったか。変わったことによってどう変化したか。など、知ってほしい6つの変わったことを下記に記したいと思います。
①根管長測定器
根管長測定器とは、体の電気抵抗値を参考に歯の根の長さを決める器具です。
電気抵抗器具の片方を口の粘膜へ、もう片方はリーマー、ファイルとよばれる歯の根の掃除をする器具へつけます。
リーマー、ファイルが歯の根の先端に近くなるにつれ音がなったり、メーターが反応します。
歯の根を超えて器具が歯をつきでるとメーターがふり切ります。これは粘膜と歯の根の先の電気抵抗値(インピーダンス)が6.5kΩで一定であることから開発された機械なのです。
日本で初めて開発された機械ですが、現在世界各国で根管治療(歯の根の治療)に使われています。
根管治療測定器は年々開発が進み、現在第3世代の機器が普及されていて、より歯の根の長さが正確に、簡単に測定できます。
②マイクロスコープ
マイクロスコープは歯科用の顕微鏡です。顕微鏡を使った治療を行うことでよりミクロな治療が可能になりました。特に根管治療の分野においては、常に肉眼でみえにくい場所を治療するため、マイクロスコープが登場したことで飛躍的に根管治療の質を高めました。
根管には副根管、側枝と言われる常時存在する根管の場所以外に存在する根管がありますが、肉眼や指の感覚でこれらを察知することは難しいです。
マイクロスコープでは副根管が見つかりやすくそれにより根管治療が的確に行われやすいです。
その他マイクロスコープでは歯にできるヒビ(マイクロクラック)も見つけやすいです。早期に発見することで治療の歯の予後を見極めやすくなります。
③コーンビームCT
根管治療にCTを用いる理由として
⑴歯根、根管の形や数を知るのに役立ちます。
歯の根やその中の根管の形は人によってもまたどの歯かでも違います。10人いたら10通りの形をしています。コーンビームCTで歯根が曲がっているのか、またくっついているのか(癒合)、そして根が複数あるのかなどを知るのに適しています。
⑵根の病巣を3次元的に視覚化できる
歯の根元にできた病巣がどれくらいの大きさで、波及しているのかは今までは二次元のレントゲンでしか分からなかったのがCT画像により3次元的に病巣を見ることができます。
⑶破折ライン
歯が割れてしまった場合、また歯にヒビがついてしまった場合にCT画像があると便利です。
CTによってヒビのラインが縦に割れてしまったのか、横に割れてしまったのかを知ることができます。
④CWCT波動充填
CWCT法は根管治療の最後に行う根管充填法の新しい手法です。
根管充填とは根管治療後(根管内が無菌になったら)根管内にスペースを補充する薬剤を入れて隙間を無くす作業です。
少しでもスペースができてしまうと何年後かに細菌が入り込んで増殖してしまいます。そのため根管充填を適正に行わなければなりません。
従来の方法では側方加圧充填法と垂直加圧充填法の二種類の方法があります。
今回この手法とは異なるCWCT波動充填法が根管治療専門医の間では良しとされ、ちょうど側方加圧と垂直加圧をミックスさせた方法と言われています。
波動充填法の方法に関してはマニアックすぎるのでまた別のブログにでも書こうかなと思います。
⑤MTA(mineral trioxide aggregate)
MTAは歯科用の水硬性セメントで抗菌性の強い非常に強度のある薬剤です。利点としてはセメントは水で固まるので、組織の中が水分で満たされていても問題ない点です。
通常根管内は唾液や水分があることで再感染の可能性が生じますが、MTAセメントは強アルカリ性で菌に対して殺菌効果があります。また根管内に水分があっても問題ありません。
MTAセメントは歯に穴が開くパーフォレーションの時に穴を塞ぐ時に活用します。
また根管充填剤としても使われますし、歯の根の手術、逆根管充填の材料としても使われます。
多岐にわたり根管治療の新しい薬剤として普及されています。
⑥超音波器具
超音波器具の根管治療への応用は、根管内の複雑な形態を単純化させます。
根管の複雑な経路は時に治療を難しくさせ、リーマー、ファイルが十分に根の先に到達できないことがあります。
そのため従来の治療では複雑な形態の歯質を切削器具で削ったりしてましたが、健康な歯質を多く削らなければなりませんでした。
超音波器具によると余分な歯を削る量が減るので、必要最低限の歯質の除去のみ削除が可能になりました。
まとめ
歯科治療は15年経つと手法や器具、材料が変わり従来の方法よりもより革新的にはなりますが、診断力あってのものです。
これらがうまく使いこなせたとしても診断ができていないと好ましい結果にはなりません。
これからまた10年、歯科医療はアップグレードすると思いますが、最新の治療法を知るとともに基礎的な診断も忘れてはならないと思います。
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