巣鴨の歯医者「ヴェリ歯科クリニック」が発信する歯の知識

歯周病でなくなった骨を作る エムドゲインゲル とは?

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こんにちは、ヴェリ歯科クリニック院長の田島です。

 

歯周病は骨を溶かし、歯がグラグラ揺れて最後に抜けてしまう怖い病気です。

いくら虫歯の治療に高い費用をかけて治されても、その歯が歯周病に侵されてしまっては無駄になってしまいます。

歯周病を治すエムドゲインというものをご存知でしょうか。

エムドゲインとは歯周病でなくなった骨を再び作る材料です。

使用するには様々な条件が合わないとうまく効果が発揮できないので今回はエムドゲインとは何か?

今回はエムドゲインの使用法をお話しします。

エムドゲインゲル

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エムドゲインとは別名エナメル基質タンパク質とよばれ歯の一部であるエナメル質の元を作るタンパク質成分が含有されています。

エムドゲインはエナメル質だけでなくセメント質の発生にも関与されています。

まずはエムドゲインによってつくられるセメント質の再生が骨の再生にとても重要だということを覚えておいてください。

セメント質

セメント質とは歯のどこの部分でしょうか。

歯の作りを説明すると、歯の頭の部分歯冠はエナメル質、象牙質でできており、歯の根の部分にはセメント質とよばれる組織で作られております。

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このセメント質が骨を作る上で重要な役割を果たします。

セメント質をもっと細かく見ましょう。

セメント質の中にはセメント芽細胞と呼ばれるセメント質を作る細胞が存在しますが、このセメント芽細胞がセメント質を作り、そして歯の周囲にある靭帯、歯根膜とセメント質をくっつけようとします。

セメント質と骨(歯槽骨)は歯根膜に存在する繊維(シャーピー繊維)によってくっついてくれます。

これにより骨、歯根膜、歯が一連につながり骨の再生に貢献するという仕組みです。

エナメル基質タンパクのセメント芽細胞誘導

歯根の部分にエナメル基質タンパクが作用するとセメント芽細胞を誘導してその結果新生セメント質が作られます。

新生セメント質は歯根膜や骨(歯槽骨)の再生を促します。

またそれだけでなく歯肉の上皮が歯根の方向に進行するのを阻止します。

歯ぐきの組織の一番上の皮の部分を接合上皮と呼びます。

歯はこの上皮とくっついても骨を作ることはありませんので従来の歯周病の治療の治癒過程で歯石や細菌をクリーニングしても歯茎と歯の間に骨は再生しません。

エナメル基質タンパクにはこの接合上皮が歯根方向へ侵入することを防ぐ作用があります。

そのため歯周病治療が終わった後の治癒過程で歯根膜や歯槽骨が作られる効果が得られたのです。

エムドゲインの正体

エムドゲインゲルはブタの歯胚(歯ができる過程のもの)から抽出したエナメルタンパク質でできています。

これをプロピレングリコールアルジネートと混ぜた状態で作られています。

プロピレングリコールは薬剤を組織に停滞させ薬効を長く効かせるため使われます。

口腔内は唾液や浸出液によって随時水分で満たされており、また食事や飲食で容易に薬が洗い流されてしまうのを防ぐために使われます。

エムドゲインと他の再生治療との比較

歯周病の骨再生治療で従来行われた治療としてGTR法があります。

GTR法はguided tissue regenerationの略です。

メンブレンとよばれる膜を使い歯肉の接合上皮が中に侵入していくのを防ぎます。

メンブレンでバリアーした内部には、骨を作るための薬や人工骨を封入して骨が再生するのを期待します。

しかしGTRは非常に難しい治療法です。

メンブレンを設置する場所は固定しづらく、また歯茎の外にメンブレンが露出すると簡単にメンブレンやその内部も感染します。

非常にデリケートな治療なので治療する歯医者さんにも技術が必要です。

 

GTR法とエムドゲイン法を比較した時

治療結果、歯周組織再生量はほぼ同等と報告されています。

報告論文はこちら

エムドゲイン法はGTR法に比べ難易度が難しくなく、再生効果が同等なので歯医者さんの技術の差がなく広く使われる治療です。

エムドゲインの効果

エムドゲインゲルを使用した治療の場合、効果が出るのに8ヶ月かかります。

X線レントゲンで骨が出来ているかを確認しますが、しっかりと骨が確認できるのにGTRより遅く8か月を過ぎた頃のようです。

エムドゲインがセメント質と歯根膜の再生を先に行い、その後歯根膜の再生が終わった頃に最終的に骨が作られるためです。

エムドゲインの条件

残念ながら全ての歯周病の方がエムドゲインで骨ができるわけではありません。

エムドゲインゲルがうまく効果が発揮出来る歯周病と、全く効果が期待できない歯周病に分かれます。

それは歯周病によって溶けた骨の吸収状態によります。

骨が吸収した範囲が小さく周りに骨の壁が残っている場合、ポケットのような状態になりそこにエムドゲインが貯留しやすく効果が出やすくなります。(3壁性骨欠損)

反対に吸収した周りに骨の壁がなく全体的に骨が吸収してしまった場合、エムドゲインは貯留しにくく流出しやすいので効果はあまり期待できません。(1壁性骨欠損、水平性骨欠損)

エムドゲインの治療する場合はその周りの骨の状態を十分に診察する必要があります。

まとめ

骨を作る材料エムドゲイン。

しかし全ての方で使用できるわけではありません。

一度なくなった骨を再生するのは大変な作業ですが条件が合えば有効な治療です。

骨がなくなる前にしっかりと予防するのが一番の治療ですけどね。

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