巣鴨の歯医者「ヴェリ歯科クリニック」が発信する歯の知識

e-maxセラミッククラウンで白すぎない天然の歯に似た差し歯を作る審美歯科治療

Metal free ceramic dental crowns

こんにちは、巣鴨ヴェリ歯科クリニックの田島です。

歯を治療してると

『あれ?自分の歯と色が違うぞ?』

だったり、

『綺麗な白い歯が入ったけど、他の歯は少し黄色くて差があるな。』

など

せっかく綺麗な差し歯を作っても納得いかないことありませんか。

差し歯にはいろんな種類がありますが、その中でも強度や色味に優れて、天然の歯に近い差し歯もできます。

白くて綺麗な歯より、自分の天然の歯に色を近づけたい方へ

今回はe-max(イーマックス)セラミッククラウンを使った審美治療についてお話しします。

e-max(イーマックス)セラミッククラウン

e-maxセラミッククラウン前歯二本の症例写真です。

 

北原先生宛てクイント.058

前歯二本の正面観

北原先生宛てクイント.060

 

このセラミッククラウン、e-maxクラウンと言うもので製作しています。

被せ物の種類は主に、ハイブリッドセラミック、ジルコニアセラミック、メタルボンドクラウン(PFM)、オールセラミッククラウンの4種類が扱われています。

e-maxクラウンはそのどちらにも属していない新たなセラミック材料とも言われていますが、

組織構造は2ケイ酸リチウムのガラスセラミックスですので、オールセラミックに大まか属しています。

もちろん、他の種類の被せ物で製作しても、白くて綺麗な歯を作れますが、天然の歯に近い前歯を製作するなら、今の所e-maxクラウンがオススメです。

e-maxの登場

closeup of smile with white healthy teeth

e-maxは2ケイ酸リチウムの強化ガラスセラミックを使っていて、今まで使用されていたオールセラミッククラウン(エンプレス)よりも強度が得られたことが一番の特徴です。

以前は前歯にオールセラミックで作られた差し歯を入れても、ことごとく割れてしまったことが難点でした。

そのため、前歯にはメタルボンドクラウンをする歯医者さんが多かったのです。

しかしメタルボンドクラウンは金属の裏打ちがあるため、天然の歯のような差し歯を作るのは困難でした。

そんな中、登場したのがe-maxジルコニアクラウンです。

ジルコニア対e-max

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ジルコニアもe-maxも強度があり、また透過性(透明度)もあるので現在世界の審美歯科治療の二大シェアになっています。

ジルコニアの利点はe-maxよりも強度があるため、差し歯の破折の心配が少ないです。

(ジルコニアの上にセラミックをつけている場合は咬合に注意)

コスト面ではジルコニアの方がやや値段が高いです。

私見ですが前歯と奥歯に分けてオススメの差し歯材料をご紹介します。

前歯の場合

多数歯を治療している場合、また噛み合わせも強い場合はジルコニアで製作をお勧めします。

(ジルコニアショートレイヤードセラミック)ほとんどジルコニアクラウンで製作し、ほんの少しセラミックを盛る技法。

天然の歯に近い歯を作りたい方、色にこだわりがある方、e-maxで製作した方が自由度が高いです。またラミネートベニアのようなあまり削らない治療にはe-max、長石系セラミックが適用です。

変色歯、着色歯には中の歯の色が透けてしまうためe-maxはお勧めできません。ジルコニアもしくはメタルボンドの方が色の再現性があります。

(2017年7月現在、e-maxでも変色歯用のブロックが販売されました。)

奥歯の場合

クラウン(差し歯)の方

そこまで、歯ぎしりをしない方、噛み合わせが強くない方はe-maxで治療も可能です。

噛み合わせが強い方は高透過性ジルコニアで審美的で強度のある歯を入れることができます。

歯をあまり削りたくない方

セラミックベニア、オンレーベニアといって歯の上部のみ削りセラミックの板を接着する方法があります。この場合e-maxにて製作します。

e-maxの弱点

e-maxの弱点は透明度が強いことです。この透明度の高いインゴットで製作すると透明すぎて歯がグレイに近い色になることがあります。

対処としてe-maxにさらに長石系セラミックをのせます。レイヤニング、カットバック法などと言われ審美性の高い差し歯を作ることができます。

強度が400Mpaあると言われているe-maxですがやはり割れないわけではありません。セラミックで治療する場合は厚みがしっかり確保できているか確認しなければなりません。

また噛み合わせの調整した部分をしっかり研磨する必要があります。

セラミックを調整した後の面が粗い場合、セラミックが破断しやすく、また対合の歯を磨耗させやすくなります。

歯の色を忠実に再現するために(シェードテイキング)

unknown

歯の色を天然の歯のようにしたい。

だけでなく芸能人のような歯の形、色にしたい。

わざと丸くしたいなど、患者さんのリクエストはそれぞれです。

患者さんのリクエスト情報と歯医者さんの噛み合わせや発音、歯肉との調和性の診査、そして最後にそれらを製作する歯科技工士さんとの共有。

患者さん、歯医者さん、歯科技工士さんが情報を共有して製作することが一番大事です。

そのためにも歯の写真は必ず、また場合によっては歯科技工士さんが直接立会い歯の色や形についてコミュニケイトすることも必要です。

まとめ

現在、e-maxもジルコニアもシェアが高い状態が世界的に続いています。

e-max(2ケイ酸リチウム)の高強度化の研究が行われてさらに強度の強いe-maxが開発されることでしょう。

片や、ジルコニアも高透過性の開発が進み、さらなる透明度のあるジルコニアが開発されます。現在はフルジルコニアでも透明度が高く前歯にも適用できます。これによりセラミックがチップすることがなくなるという利点があります。

ジルコニアとe-maxの論争は歯科医師たちの中でも二分しています。

e-maxもジルコニアもより天然の歯に近い材質になり、私たちが扱いやすい安全安心で、高強度、高透過性材料がそのうち来ることでしょう。