こんにちは、ヴェリ歯科クリニック院長の田島です。
歯の根元や生え際の部分が削られてくることがあります。
これは虫歯ですか? これは歯磨きの磨きすぎですか?と聞かれることが多々ありますが実はこの欠ける現象は歯磨きのしすぎや虫歯ではないのです。
なぜ歯の側面が欠けてしまうのかについて今回はお話しします。
目次
歯の側面の生え際、根元が欠けてしまうこと
ある特定の方達で歯の側面の根元、生え際部分が気がつくと楔型にかけていて、まるで木を切る時の楔に似ていることから楔状欠損と言われています。
楔型に歯が欠けてしまう原因、実は噛み合わせによっておこるのです。
噛み合わせによっておきる楔状欠損(アブフラクション)
噛み合わせによるメカニズム
強すぎる噛み合わせの力が歯に加わるとメカニカルストレス(力によるストレス)によって歯の側面が欠けてしまいます。
ラテン語のab-way とfractio-breaking(braking way)を語源として abfraction(アブフラクション)と呼ばれました。
もちろん硬い歯ブラシの横磨きによっても多少見られることもありますが、歯の隣接面や歯の全周に及ぶ楔状欠損は噛み合わせに由来するものがほとんどです。
歯ぎしりの多い方と歯ぎしりの少ない方を比較した時に多い方は側面の生え際が欠けている方が多かったという報告もあります。
Dr pascalは噛んだ時の咬合力の応力分布について歯の生え際部分と神経の近くに応力が発生している報告もあります。
つまり噛んだ時の何らかのストレスが歯の側面生え際に影響を与えているのです。
私たち歯科医師は被せ物治療や噛み合わせ治療を行う上でこの現象をわかって治療していかなければなりません。
側面の生え際が欠けた時の対処法
①かけた場所が小さいところならば様子を診る。
アブフラクション(歯が欠けること)が生え際に出ると欠けたところから虫歯になりやすかったり、知覚過敏のようにしみてくることがありますが、むやみに治療しない方がいいです。
欠けた場所が小さい場合、大抵の場合プラスチックをつける治療を行います。
しかしかけた場所につけても噛み合わせ自体に変化がないので結局つめたプラスチックが簡単に外れてしまう可能性があります。
また小さくかけた場所にプラスチックをつけるためにむやみに削ることは歯の寿命を考えると避けておくべきです。
②かけた場所がある場合噛み合わせを診断したり、マウスピースををお勧めしてます。
アブフラクションは噛み合わせが強い場合におきる現象です。噛み合わせを考えた治療を行います。
アブフラクションのおきた歯の噛み合わせを診たり、強くかみ合っているかどうか噛み合わせチェックを行います。
また全体的に噛み合わせが強い状態が見受けられた場合は歯ぎしり予防のためにマウスピースを作ります。
③かけた場所が冷たいものや空気がしみるようであればかけたところにプラスチックを詰めます。
むやみにやたらに削ることはよくないですがしみるなどの症状が出てしまっては何か対策をしなければなりません。
欠けた場所が大きくなると神経の近くまで達し、知覚過敏の症状が出ます。その場合はプラスチックで欠けた部分を埋めて症状を軽減させます。
プラスチックが外れる可能性もあるので噛み合わせに留意して夜のマウスピースの使用もおすすめします。
④かけた範囲が大きければ被せ物などをして補強していく
欠けた範囲が大きくなると歯自体が破折する可能性もあります。
このような場合は歯の補強も兼ねて被せ物にして治療していきます。
被せ物は歯の周囲を一周削らなければいけませんが歯を破折から守ってくれます。
歯の側面、生え際が欠けた時にやってはいけない治療
歯の側面、生え際の欠けた状態にもよりますが、このほとんどの原因が噛み合わせから起因するものです。
歯が欠けた状態がそんなにひどくなければ削らずにしばらく様子を見ることが望ましいです。
少ししか欠けていないのに大きく削ってプラスチックをつけるようなことはあまり望ましくありません。噛み合わせの治療や対策を取らないとつけたプラスチックが剥がれてしまうことがあります。
もちろん、虫歯になっていたり水や空気でしみやすいのであれば別で治療を受けることが通報です。
まとめ
噛み合わせによって起こるアブフラクション。理解していただけたでしょうか。噛み合わせが年とともに変わってくると思わぬところに力がかかってくるものです。
歯が受ける力のストレスはアブフラクションだけでなくいろいろな現象が歯や歯の周囲組織で起こります。
舌や歯ブラシで触って段差が確認できるようであれば一度歯科医院で噛み合わせのチェックに行かれることをおすすめします。
またアブフラクションはすぐに起こる現象ではありませんので日々の歯医者さんの定期チェックで予防をしましょう。
噛み合わせが強いなと感じた方やすでにアブフラクションが多く見受けられる方はマウスピースで歯ぎしりを防止しましょう。
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