こんにちは、巣鴨ヴェリ歯科クリニックの田島です。
目次
ひどい虫歯の症例その４
概要
男性 ４０代 自営業
患者Fさんは今まで虫歯ができやすい自分の歯に懸念されており、虫歯を治療をしては再治療の繰り返しをしていました。
今回、これ以上再治療をしないようすめればと全体的な歯の治療を希望され来院されました。
またせっかく虫歯を全部治療するなら前歯の歯の審美的な治療もお願いしたいとのことで依頼を受けました。
治療前の歯の状態
正面の写真
右側の写真
左側の写真
下の歯の写真
上の歯の写真
奥歯は銀歯で治療されており、左側の奥歯は親知らずが大きく虫歯になっていて、その隣の第二大臼歯は歯が欠けて根元しかありませんでした。
また前歯の歯茎のキワの部分が汚れていて二次虫歯になっているところも多数ありました。
昔プラスチックの治療をされていてプラスチック自体も劣化している状態でした。
奥歯の銀歯も隙間が目立ち虫歯が歯と銀歯の間に進行していました。
患者さんのお悩み・懸念されていたこと
患者さんはまず何度も虫歯になってしまうことに懸念されており、なるべく審美的で永続的なものをで治療を希望されていました。
インプラント手術や出血を伴う外科手術はなるべく避けてブリッジで治療を希望されていました。
低侵襲でなるべく長く持つ材料、さらに天然の歯のような審美性を兼ね備えたもの。
患者Fさんにはジルコニアクラウンのご提案をさせていただきました。
また下の歯を短期間矯正、上の親知らずを牽引する矯正を行いました。
治療後の写真
正面の写真
右側の写真
左側の写真
上の歯の写真
下の歯の写真
前歯の虫歯は上はジルコニアクラウン、下はコンポジットレジンで仕上げました。
奥歯の銀歯はフルジルコニアクラウンで製作しました。
顎がしっかりしている方でしたので前歯の突き上げを予防するため夜間寝る間に使うマウスピースの着用を指導しました。
ひどい虫歯の症例の治療計画、方針
虫歯は噛み合わせのせい？
虫歯がなぜ多いのか、そして被せ物がなぜ隙間が多く空いているのか。
その謎を紐解いていくと、実はその原因は噛み合わせからくるものではないかと判断しました。
虫歯になりやすくなる要素として、歯磨きなどのケアを怠ったり、虫歯ができやすい嗜好品を多く摂取することが主に挙げられます。
しかしそれ以外に過度なストレスが歯にかかったりすることで歯が虫歯になりやすくなることがあるのです。
つまり、強い力を歯が受けると歯の表面のエナメル質が剥げ落ちます。主に歯頚部（歯のきわ）に歯がかける状態をよく目にします。
過度なストレスは歯に微小な日々を作り、このヒビから細菌が侵入して虫歯になるという説もあります。
特に歯と歯の間（隣接面）に虫歯が多いのはここの部分に対合の歯が噛み込むことからです。
噛み合わせを分析して仮歯を装着
噛み合わせがどのように歯に当たっているのかを診るためフェイスボートランスファーを行います。
お口に中の歯のデータをそのまま外にアウトプットする機械です。
データはそのまま咬合器に置き換えられて噛み合わせ診断を行います。
また患者さんの横の顔のレントゲン、セファロレントゲンも噛み合わせの参考にします。
通常セファロレントゲンは矯正治療をする際に骨の成長軸や、前歯の突出している度合いを診るのに使いますが、あまり一般の歯科医院（矯正をしない歯医者さん）では使われていません。
しかしアメリカでは補綴医（差し歯などを作る歯科医）でもセファロレントゲンの知識はあり、噛み合わせの指標の一つとして診断に使います。
診断材料をもとに仮歯を製作し、患者さんに装着します。
やはり一度に治療するため５時間位かかります。
親知らずを矯正で寄せて生かす！
親知らずは通常抜歯になることが多いですが、例えばこんな使い方もあるのです。
上の図は親知らずの隣の歯、第二大臼歯が保存不可能で抜歯になってしまう時、このように矯正治療で引っ張り、抜歯になってしまったところに移動させる治療があります。
特に上の奥歯はインプラントをする場合、骨が薄く、疎になっていてうまくインプラントが入らない場合もあります。
また上顎洞と呼ばれる鼻腔と繋がっているスペースが歯に近い場所にあるとインプラント治療が難しくなります。
このような時、親知らずを抜かないでとっておくと図のような代用歯として使えます。
まとめ
（患者さんの顔と歯が調和している）
前歯の角度を変えることでなるべく強い力を受けにくい状態にすることができました。歯と歯の噛み合わせを的確に作ることで長く持てる歯ができます。
しかし人間の顎は予想だにしない動きをしたり、噛み合わせも次第に変化します。
定期的なメンテナンスがやはり歯を長く持たせる秘訣なのではないでしょうか。
皆様も是非定期メンテナンスに通ってくださいね。
