こんにちは、巣鴨ヴェリ歯科クリニックの田島です。
「先生!先月治療した歯がズキズキ痛むんですけどどういうことですか。」
虫歯の治療をした後になんで歯が痛むのでしょう。
「虫歯の治療をしに行ったのに、なんで歯が痛くなるの?」
治療を受けた後に歯がいたんでしまうことは臨床上よくあることです。
今回はなぜ歯が治療した後にいたんでしまったか。神経を取らないようにする対処法
についてまとめてみました。
目次
虫歯の治療後に歯が痛くなるのはなぜ?
虫歯の治療のために歯医者に行ったのにかえって歯が痛くなってしまい結局神経を取らなくてはいけなくなってしまったこと、は必ず起こりえます。
我々歯科医もなるべく痛みを少なく、そして神経を取らないよう努めてはいますが、患者さんの症状も十人十色、かえって痛みを与えてしまうことも多々あるのです。
ではなぜ虫歯治療が終わった後に痛みが出てしまうのでしょう。大きく4つの原因にまとめてみました。
①歯の神経(歯髄)に近いところまで削ったので刺激が強すぎて痛くなった
虫歯の範囲が多く神経に近いところまで感染してしまっている場合、削った場所と神経までの距離がかなり近くなります。
神経に近いところまで削るとそこは象牙質と呼ばれる歯の内部に達します。
象牙質には象牙細管と呼ばれる管が神経まで達し、空気、水、温度、機械的な刺激がダイレクトに神経へ伝導されます。
いくら虫歯を取ったとしても神経近くまで削った場合、あらゆる刺激が象牙細管を介して神経へ伝わり歯髄炎を引き起こしてしまうことがあります。
虫歯治療後、しばらくして痛みが強くなり寝れないくらいの痛みに達することがあります。
②虫歯の取り残しにより歯の神経(歯髄)に感染してしまった
虫歯を治療した後、数ヶ月から1、2年経った後に痛みが出た場合はこの原因を疑います。
取り残された虫歯は徐々に感染が広がり、やがて神経まで達します。最初は痛みがありませんが半年以上経った後にズキズキした場合は歯髄まで虫歯が進行してしまったのでしょう。
③詰め物の噛み合わせが高く歯に負担がかかってしまった
虫歯は全て取ったのに痛みが出てしまう原因として噛み合わせの不調が挙げられます。
詰め物の高さが強く当たっている場合、最初は違和感がありますが、やがて慣れてきます。
しかし何か食べ物を噛んだ後に強い痛みが発し、その後ズキズキが止まらなくなります。
歯髄の近くまで噛み合わせの負担がかかると一時的に歯髄が炎症を起こし、それが不可逆的な炎症へと変わります。
咬合性外傷(噛み合わせによる歯の痛み)からの歯髄炎(神経の炎症)のメカニズムはこれに当たります。
④虫歯治療時に神経が露出してしまった。
①と原因が似ているかもしれませんが虫歯が深く神経を偶発的に露出させてしまった時、神経が炎症を起こすことがあります。
原因として神経(歯髄)の中に削りカスや空気、何らかの感染物が入ると歯髄は炎症を起こします。
治療後すぐに痛みが出現します。
虫歯治療で神経が痛くならないようにする対処法
虫歯治療で歯髄炎の痛みが出ないようにするために知っておきたい4つの対処法をまとめてみました。
①ドックベストセメント治療で神経を温存させる
以前のブログにてドックベストセメントについてはお話ししておりますが、ドックベストセメントは神経の近くまで歯を削るリスクはありません。
虫歯を極力ギリギリまで削った場合臨床上歯髄炎になることがしばしば見られます。
虫歯をある程度残してドックベストセメントで対処する治療も選択肢として持ってることで神経を救える確率が増えるのではないでしょうか。
もちろんドックベストセメントは医学的検証がまだ乏しい段階ですので使用する場合はリスクを理解した上での治療になります。
②神経が偶発的にでた場合はMTAセメントで対応する
虫歯を削っている最中、偶発的に歯髄が露出した場合適切な対処で神経を温存できます。
歯髄が露出したら次亜塩素酸ナトリウム、もしくは生理食塩水でしっかり患部を消毒します。その後MTAセメントを歯髄露出部へ封鎖しセメントで密閉します。
すぐに詰め物をせずに数週間から3か月ほど症状を見たりレントゲンを撮ってチェックします。
無事神経が温存できたのを確認取れた後は詰め物で補修します。
③噛み合わせが強い人はナイトガード、適切な噛み合わせ調整
虫歯を全て取り除いたとしても、噛み合わせが強く、その負担が患部に集中したら歯髄炎が起こってしまうこともあります。
噛み合わせが強い方は事前にナイトガードで夜寝ている間の歯ぎしりを抑制します。
また詰め物の調整は一回だけで終わらせず、何回か噛み合わせのチェックに来ていただくと安心です。
④マイクロルーペ、マイクロスコープ、う蝕検知液で虫歯の精密治療
虫歯治療をもう少し精密に、繊細に治療するため、マイクロルーペやマイクロスコープなどの拡大鏡を使用して虫歯を治療します。
う蝕検知液は虫歯で感染した歯とそうでない歯を見分けるのに有効です。
まとめ
もうすでにズキズキしてしまった場合は神経(歯髄)を取らないと痛みは治まりません。
そうならないために虫歯は初期の段階で治療されることをお勧めします。
初期虫歯であればプラスチック(コンポジットレジン治療)一回の治療で終わります。虫歯を残しておくと後々歯医者さん通いをしたり、歯の痛さでねれなくなることもあるので注意が必要です。
小さい虫歯があるかどうかは定期検診に行かれることをお勧めします。
定期検診をしている方とそうでない方を比較すると定期検診されてない方は年間の医療費が高い傾向になっているようですよ。
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