こんにちは、ヴェリ歯科クリニック院長の田島です。
顎が疲れるなと感じることはありませんか?
食事をしていて咀嚼をすると顎が疲れる方、噛む場所によって顎が疲れてしまう方。
今回は顎の疲れの原因とメカニズム、治療法ついて一つ一つ紐解いていきましょう。
目次
顎が疲れる原因
顎が疲れるのはどんな時か分類してみました。
① 噛み合わせが悪い
歯科治療に来られる方で多く見受けられます。
特にどちらかに歯がない場所があったり、高さの合っていない詰め物をしていたり、またそれが一つではなく複数ある方は噛み合わせが悪くなります。
② 噛み方が悪い
右側や左側どちらかに偏って物を食べる癖がある方も当てはまります。
例えば筋肉トレーニングをした時、右側の筋肉ばかりを鍛えれば右側の筋肉が張りますよね。
同様にあご周りの筋肉でも左右差が出てきたり不均一な筋肉の差は疲れを生みます。
③ 歯の治療中
歯の治療をしているとどうしても治療していない側で食事をしがちです。
また根の治療が長期になると仮歯を作らない限り治療している場所で噛むことは難しくなります。矯正治療でも歯が動いている間はどうしても噛むポジションがわからず食べ物も噛みにくくなってしまいます。
④ 頬杖、うつぶせ寝などの悪習慣
頬杖をついたり、顔をどちらかに傾けうつ伏せに寝る方は歯ならびが変わってくるのはもちろん、あごの筋肉やその周囲の筋肉に負担をかけたり、変形させたりして左右の筋肉に不調和を生んできます。
⑤ 噛み応えのあるものを好む
肉やするめなどの噛み応えのあるものを好まれる方、飴を噛んで食べる方などはあごの筋肉に負担をかけます。
⑥ あごの外傷
あごをぶつけたり負傷されている方は普段の口の開閉口運動でさえも筋肉に痛みがあり、疲労しやすくなります。
そんな時は柔らかいものを食べ顎に負担をかけないように心がけましょう。
あごの筋肉のはなし
あごの筋肉はたくさん
あごの筋肉とは口腔周囲筋と呼ばれる口周りの筋肉のことで、多くの細かい筋肉に分類されます。
そして各々の筋肉は様々な方向に走っており、口を動かすと色々な筋肉が働き、食べ物を噛み砕いたり、飲み込んだりして上下の歯を働かしています。
特に下の顎自体は他の骨とくっついているわけではありません。
下の顎についている筋肉が伸び縮みして下顎を誘導しているのです。
まるでシャンデリアを吊るすチェーンように下顎についている筋肉が上顎の歯の噛みやすい場所に寄せているのです。
上の歯の噛み合う場所が、各々の筋肉の調和が取れている場所であれば問題ありません。
例えば、どちらかに歯が足りない場合や被せ物の噛み合わせが悪かったり、片方で習慣的に噛む癖のある方は筋肉に不調和が生じてどちらかの筋肉にコリが生じてしまうのです。
顎の筋肉の引っ張り合い?
顎周りには様々な方向へ走る筋肉があります。
その中でどの筋肉もリラックスした状態で強すぎず弱すぎず適正な力で維持している状態があります。筋肉同士が引っ張ったり収縮したりして程よい状態。これを安静状態と呼びます。
この安静状態があるところで筋肉が調和されることで普段の顎の位置を決めています。
顎を前後に動かす時に動く筋肉の一番調和が取れる位置が水平的な顎の定位置に、顎を開閉口した時に動く筋肉の調和が取れる位置(平衡状態)があごの垂直的な定位置になります。
顎が疲れる理由
顎の筋肉が平衡状態や安静状態にならない位置、つまり筋肉が偏った位置やねじれた位置で維持されると筋肉に緊張が続く状態が発生します。
筋肉は酸素を介し血流が流れますが、緊張が続くと酸素が少なくなり、二酸化炭素が多くなります。
血流がなくなり筋肉に乳酸が溜まり疲れを感じるのです。
筋肉が虚血状態にならないためにも安静状態になる必要があります。
顎が疲れた時の治療
極度に顎が疲れた場合は顎の筋肉に過緊張状態が続いている可能性があります。
歯科医院としてできる応急的な治療法にマウスピース治療があります。
オクルーザルアプライアンス(マウスピース)
顎関節の痛みや筋肉の痛みに対して痛みを和らげたり、顎の位置を補正して筋肉の安静状態の位置を元に戻すものです。
噛み合わせの治療を行う時に筋肉に症状が出たり、不適正な状態で筋肉が定着している場合はオクルーザルアプライアンスを使い、筋肉のストレスを一度紐解き、安静の状態に戻す必要があります。
このマウスピースには筋肉がリラックスしているところで噛める誘導路があります。
誘導路は急ではなくゆるくあそびがある方が好ましいです。
ちなみにマウスピースの種類で柔らかいマウスピースもありますが、この柔らかいマウスピースの本来の意義はスポーツ競技による歯の保護かたくさんの被せ物の保護の役目なので、あごが疲れている方にはあまりお勧めできません。
どうしても硬いマウスピースができない方に使用する場合があります。
アクアライザー
東京歯材社より出展
アクアライザーは既成のオクルーザルアプライアンス装置とも呼び、軽度の筋肉の緊張の時にこの製品を使用します。
筋緊張緩和法としてよく使われていて、水分を充満させた袋が左右にありこれを噛むことで筋肉の緊張している場所から生理的な位置(筋肉がリラックスしている位置)に下顎を動かすことができます。
水の入った袋は3種類あるので噛んで高さが高い場合は一段低めのものを選択します。
※注意 使用にあたっては必ず歯科医師の指示に従ってください。
まとめ
周りの筋肉が張ったり緊張することが顎の疲れにつながります。
マウスピース治療以外にもご自身で出来るセルフマッサージの仕方や、顎周りの筋肉についての詳細なども今後随時お話しさせていただきます。
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