こんにちは、巣鴨ヴェリ歯科クリニック院長の田島です。
笑った時上の歯茎が多くみえてしまうことをガミースマイルと呼ばれます。
歯ぐきが沢山見えてしまうことは決して病ではないので積極的に治さなくてもいいと思いますが、見た目など審美的理由で気になる方も多く、ガミースマイルによって噛み合わせが悪くなってしまう方や、歯ぐきが悪くなってしまう方もいらっしゃいます。
そこで今回は、
『笑った時の歯茎と唇の理想的な位置関係』
『ガミースマイルになってしまう原因とその治療法』
について説明します。
理想的なスマイルライン(歯とリップの関係)
- 両目の瞳孔線に直交する位置に歯の先端をつなげた線があること(真ん中の歯)
- 真ん中の歯の切端はうっすら笑った時、下唇にわずかに触れるか触れないかの位置
- 真ん中の歯の切端はうっすら笑った時、上唇から2〜3mmの位置にあること
- 上唇の線は笑った時、上の歯茎を軽く隠す
これは理想的なスマイルライン、つまり笑った時の審美的な歯の位置関係の条件の一部です。
唇は笑った時、閉じた時、歯を隠す部分によって審美的かが分かってきます。
ガミースマイルではなぜ歯ぐきが多く見えてしまうのか、これについてアメリカの歯科医フランクスピア先生が7つの分類を唱えています。
笑った時歯ぐきがみえる方の原因7つ
1. 上唇が短い(short upper lip)
上唇が短いと基本的な唇の設定位置が唇を閉じてる状態でも上に設定されていますので、この状態でさらに笑うと上の歯ぐきが大きく見えてしまうことになります。
2. 笑うと上唇が動きすぎて歯ぐきがみえる(hyper mobile lip)
笑う動作をする時に動く筋肉、上唇挙筋や口輪筋などが発達し通常よりも大きく動くことで歯ぐきが見えてしまいます。
歯の位置や歯ぐきの位置に異常がなくても筋肉の可動域が大きいことによって起こってしまいます。
3. 上の歯の骨が成長しすぎて歯ぐきごとみえてしまう(vertical maximally excess)
上の歯や歯ぐきを支配している上あごの骨、上顎骨が前下方に成長しすぎて歯、歯茎が大きく見えてしまいます。
唇や顔の他の部分は正常な位置にあります。
4. 上の歯が伸びすぎて下の歯を覆っている(anterior over eruption)
歯の後天的要素が主で噛み合わせの変化に伴って、上の前歯が下の歯を覆ってしまっているオーバーバイトと呼ばれる噛み合わせのことです。笑った時上の歯が下の歯を隠して見えない状態がこれにあたります。
5. 上下の歯がすり減ってしまって歯ぐきがみえる(wear and compensatory eruption)
歯の後天的要素が主で、噛み合わせの変化に伴い上の歯と下の歯がすり減って歯が短くなってしまった状態です。咬耗症とよばれ、上下の歯ともに短くなっているのがこれにあたります。
6. 成長過程で歯がうまくはえきってない場合
(歯ぐきが下がらない場合)(altered passive eruption)
歯の生える成長過程において、何らかの原因で歯が生えきらずにいる状態のことで歯牙萌出遅延とも呼ばれます。
通常歯が生えきった後に歯肉は歯の付け根の位置まで下がるのですが、下がらずに歯を少し覆ってしまう状態のことを言います。
7. 成長過程で歯がうまくはえきってない場合
(歯が生えない場合)(altered active eruption)
同じく歯の生える成長過程において何らかの原因で歯が生えきらずにいる状態です。
歯茎や骨が正常で歯自体が中途半端に生えてしまってることを言います。
歯が途中ではえるのを中断してしまっているので歯に骨や歯肉が覆いかぶさっているのが特徴です。
笑うと歯ぐきがみえる人の治療法
1. 矯正治療(ortho therapy)
歯と歯茎の状態を判断して歯の位置が原因の場合は、まずこの治療法をお勧めします。
前や下に出すぎた上の歯をもう一度中に戻すことを検討します。
その際、戻す歯茎の位置や骨のキャパシティーを考慮の上治療していきます。
2. 歯ぐきの整形(perio surgery)
歯と歯茎の状態を診て、歯の位置が正常で歯茎の位置が原因の場合はこの治療が行なわれます。
原因⑥や⑦に該当する場合は、歯茎の位置を改善することによって大部分が改善できます。
歯肉とそれに伴う覆っている骨を調整しますが、軽度な場合はレーザーによって歯肉のみの整形で改善できます。
3. 外科手術(orthognathic surgery)
原因③のように歯、歯ぐきの位置異常ではなく、上顎が育ちすぎてしまった場合は外科的に上顎骨を小さくする必要があります。
上顎の骨のボリュームを小さくすることによって歯茎や歯の位置を改善する方法になります。
このように矯正治療、歯茎の治療、外科的な治療そしてこれらを合わせた治療によってガミースマイルを改善します。
笑うと歯ぐきがみえる人の低侵襲治療
1. スマイルトレーニング
上記3つの治療法以外に改善できる方法としてスマイルトレーニングがあります。
ガミースマイルの分類①や②などの唇自体をトレーニングすることによってスマイルを改善する方法です。
- 鼻を思いきり開き、上唇を大きく上にあげます。
- 今度は大きく口をすぼめて上唇の筋肉をストレッチします。
- これを10回くらい繰り返して筋肉をほぐします。
2. ボトックス治療
上記原因の②など過剰に動く上唇の筋肉を制限するために上唇挙筋、口輪筋のツボ(鼻翼の根元)にボトックスを注射します。
ボトックスを注射することで笑った時に過剰に唇が上がらないようになります。
まとめ
笑った時に歯茎がみえることは決して病気ではありません。
しかしガミースマイルが、噛み合わせや歯茎の異常が原因である場合も多々あります。
これは長期的に見ると治療していただいた方が良いのではないかと思われます。
ご自身のガミースマイルが気になるようでしたら是非近くの歯医者さんへ行かれてみたらいかがでしょうか。
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