巣鴨の歯医者「ヴェリ歯科クリニック」が発信する歯の知識

噛み合わせ治療する時に歯がずれないようにする噛み合わせの作り方

考える女性
こんにちは、ヴェリ歯科クリニック院長の田島です。

奥歯の歯の形は山と谷のような凸凹構造で作られていますが、実はその凸凹には物を効率よく食べる以外にも色々な役目があります。

その中で今回は顎が前に出すぎたり顎後ろに行きすぎることを歯の形態で抑制させる方法をご紹介します。

私たちが被せ物を製作する際に留意している点を知っていただければ嬉しいです。

私たちの身近にも・・・。
駐車場で見かけたことありますよね?これは車が後ろにバックしすぎないように作られたいわゆるストッパーの役目ですね。
これも広義的にですがいわゆるストッパーになります。自転車が前や後ろに行くのを塞いでいます。

歯にもこれらと同じ役目で前や後ろに行かせすぎないストッパーがあります。

歯を前に出さないようにする噛み合わせ

クロージャーストッパー

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人の歯の構造として、山と谷のような凹凸で噛み合うことが効率が良い理想的な噛み合わせです。

噛み合わせを横から見たときにこの山と谷の連続性が取れているかお分かりでしょうか。

上の歯の山が、下の歯の谷に、それが交互に噛み込んでいます。

歯の被せ物を作る時、顎が前に行こうとする動きをストップさせることをクロージャーストッパーと言います。

上の歯と下の歯で噛んでいる時に上の赤線の部分と下の青線の部分がストッパーの役割を果たします。

例えばこの山なりがなく歯がフラットな状態の場合、下の顎は前に出やすくなり前歯への負担が大きくなります。

前歯に被せ物などをしている方は前歯への突き上げが強くなり、はずれやすくなる場合もあります。

ただしこの赤線と青線の角度については、個人の顎の形や角度によって違います。

ですから、あまり急な角度になりすぎないように、体に慣れさせる為に、あらかじめ仮歯を装着しその中で調整が必要になります。

 

では一歯単位で見てみましょう。

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これは右側の奥から2番目(親知らずはカウントしない)の上下の第一大臼歯です。

第一大臼歯は噛み合わせの中で一番重要となる歯です。

 

赤印と赤印が上下の歯の咬合ポイント(噛み合うところ)になります。

青のエリアがクロージャーストッパーになります。

これによって上下の歯列が前後的な誤差を生まないよう構成されています。

歯を後ろにずれさせないようにする噛み合わせ

ブレーシングイコライザー

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歯列が後ろに行くのを抑制する場所をブレーシングイコライザーと呼びます。

上の歯の青線と下の歯の紫線が対合する位置関係にあります。

イコライザーをつけることで顎が後ろへシフトしづらくさせています。

例えばこのイコライザーが消失していたり、フラットな噛み合わせ状態になっていると、下の歯列が後方へ行ってしまいます。

歯列が後方へシフトすると顎関節も移動してしまい後部の神経や血管を圧迫してしまい、あごの開閉口時に痛みを伴ったり、筋痛が出たりします。

 

再び一歯単位で見てみましょう。同じく右側の上下第一大臼歯の図です。

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赤印と赤印が上下の歯で噛んでいるポイントになります。

それ以外のオレンジ色のエリアがブレーシングイコライザーと呼ばれています。

このブレーシングイコライザーを付与させることで歯を後方へ行かせすぎない役割を果たしています。

ストッパーと同じく付与させるイコライザーは急すぎず、浅すぎない角度が理想で、顎や噛み合わせの角度によって個人差があります。

 

ではここで噛み合わせを調整する時の注意事項を説明します。

咬合調整の時の原則

噛み合わせを調整する時には、以下の原則に基づいて噛み合わせを作っていきます。

  • 咬合にかかる圧力を歯が生えている向き(長軸方向)に誘導するよう注意して歯の面を削る。それにより横からの力が加わりやすい斜面は作らない。
  • 面で噛ませるよりも点で噛ませる。多数の点で噛ませる方が少ない力で効率良く噛める。
  • 歯の先端(咬頭)はできる限りシャープにして不用意に削って平坦にしない。平坦にすると食べ物を噛む効率が悪くなる。
  • 上の歯と下の歯が動いた時の運動経路や、食べ物を噛んだ時に流れる経路を考え、噛み合わせの面に機能的な溝をつけること。溝がなく平坦な歯は食べ物を噛む効率が悪くなってその場で停滞したり、隣の歯などに詰まる場合がる。
  • できるだけ噛み合わせの縦辺のエリア(頬舌径)を短くして歯の歯軸に負担をかけない。
  • 一度作った噛み合わせのポイントは不必要に削ってはいけない。不注意に削ると噛み合わせの高さを変動させてしまい噛み合わせの低い状態に陥る可能性がある。

クロージャーストッパーを付与した場合、顎が前に行く時の干渉が強すぎてしまうと、顎関節に痛みを伴ってくるので干渉が強すぎず、適度なストッパーを与えるよう注意します。

まとめ

今回は横から噛み合わせを見た時、矢状断面で歯を見た時の働きについてご紹介しました。

ストッパーとイコライザー!ご理解いただけたでしょうか。

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