こんにちは巣鴨ヴェリ歯科クリニック院長の田島です。久々の投稿になりますが今回は最近の歯科用金属高騰によって日本の歯科治療のリスクについてお話しします。
銀歯に使われているパラジウム合金の高騰の問題は以前から話題になっていますが2020年1月の高騰によっていよいよ問題は深刻になるのではと思い、綴らせていただきます。
目次
歯医者さんで使う銀歯が高い！
現在2020年1月現在のパラジウム合金の買取価格は１g８０００円程度です。これは１５年前のなんと１６倍の価格なんです。（２００３年１g５００円程度）
パラジウム合金の値段が高くなった原因として自動車の触媒に使うことでアジア、アフリカ圏の需要が高くなったこと、パラジウムを産出する鉱山がロシアなどの限られた場所でしか産出できないことなどが挙げられます。
歯医者さんで虫歯治療を行うと保険治療ですと銀歯ができます。この銀歯の主成分がパラジウム合金です。
例えば銀歯一本を治療すると13000円程度の保険収入が私たち歯医者に支払われます。しかし差し歯一本あたりの技工料（金属代金込み）の価格は14000円程度です。
ちなみに差し歯には２年間の無料保証や接着剤の値段、調整代金が含まれます。
要するに収入より支払う金額が高いのです。それに加え治療では約３０分ほどの時間をかけ診療台を使用し歯科衛生士の人件費もかかります。
患者さんは白い歯が本当はいいのに、銀歯が入って嬉しい気持ちになる方はほぼ皆無ですよね。
歯医者さんの組合、全国保険医団体連合会は２０１９年にパラジウム合金高騰による歯医者さんの経営圧迫についてマスコミや国会に報告をしているようですが未だとりだったニュースは出てません。
パラジウム合金が高いと金属アレルギーが多くなる
もしこの状態が長く続いたら多くの歯科医院ではこのような治療が多くなると思われます。
銀合金やニッケルクロム合金の代用
虫歯治療では保険診療のなかでパラジウム合金以外に銀合金、ニッケルクロム合金の代用が認められています。
パラジウムが高く歯科医院にとって不採算になる場合は銀合金やニッケルクロム合金が代用として採用されます。
保険診療の中で認定されている以上法律的には問題ないのですが、銀アレルギーやクロムアレルギーの方が銀歯を入れると口の中が腫れたり、できものができたりします。また口の中だけでなく主に手や指の皮膚、目、ほか体の一部に湿疹や発赤が出始めます。
パラジウム合金が高いと不衛生なプラスチック治療が多くなる
虫歯治療では銀歯以外にコンポジットレジンと呼ばれる歯科用プラスチックが使われます。パラジウムが高くなりつづけた場合、歯医者さんの多くはコンポジットレジンの治療を銀歯の代替えとして行います。
簡単な小さな虫歯の治療であればコンポジットレジン治療でも問題ないのですが、歯と歯の間の虫歯や、大きく歯が欠けてしまった虫歯に対してコンポジットレジンで治療する場合、技術的にも難しく、また限られた材料でしか行えないため必ずしもうまくいくとは限りません。
その結果不十分なコンポジットレジンの治療がかえって虫歯になりやすくさせたり、歯周炎のように不衛生になってしまう恐れがあります。
世界は今メタルフリー
現在代替え金属での治療をしている国は日本だけですが他の国ではどんな治療が多く行われているのでしょうか。
お隣韓国では虫歯治療や歯周病治療は基本保険診察でまかなえますが差し歯や詰め物は保険適用外になります。そのためセラミックやゴールドの治療を比較的安価で行う歯科医院が多いです。
スペイン、ブラジル、中国では同じく保険診療でパラジウム合金は扱えないので多くがコンポジットレジンの治療をしています。コンポジットレジンのスキルが良医であるかを見極める時代になりつつあります。
アメリカ、ヨーロッパも同じくコンポジットレジンの治療が多くなりますが歯科治療自体が高額であるため安価なコンポジットレジンよりジルコニアやセラミック治療が多いです。
なるべく削らない、綺麗な治療を行う時はダイレクトボンディング法
歯科用金属の高騰で日本の歯科治療に変化があるとすれば、まさしくコンポジットレジン治療の進化かと思われます。現在歯科用プラスチック、コンポジットレジンの開発は拡大しフッ素入りのコンポジットレジンで虫歯になりにくくしたり、高透明度、高強度のコンポジットレジンが開発されています。
これらの製品は主に自費治療で使われダイレクトボンディング法として普及されています。ダイレクトボンディング法はセラミック治療と比べ技工代がかかりませんが技術料として１、２万円の医院もありますし１０万円程する医院もあります。
巣鴨ヴェリ歯科クリニックでは１歯３万円（税別）で行なっております。お気軽に相談ください。
