こんにちは、巣鴨ヴェリ歯科クリニックの田島です。
「お口を閉じて噛んだままでいてください。噛んだ状態でゆっくり顎を右左に歯ぎしりしてみてください。」
この顎が右左に動く動きのことを歯医者さんの専門用語でサイドシフト、横にずらした時の顎の関節の状態を診ています。
顎を横にずらした時の歯の接触状態によって歯が傷んでしまうことがあるのです。
その歯はとても虫歯になりやすくなります。そして歯周病にもなりやすくなります。
場合によっては歯が割れてしまうこともあるのです。
顎を横にずらした時に知っておきたい歯の痛みについてまとめてみました。
目次
顎を左右に動かすサイドシフトについて
顎を噛んだまま右左に動かしてみてください。
右に顎を動かした時、右の顎の関節が動いた軌跡のことを作業則(working side)運動
左の顎の関節の軌跡を非作業則(balancing side)運動と呼びます。
左の関節はやや横にずれます。この動きをサイドシフトと呼びます。
顎を左右に動かすことで顎の関節も右左と動いてきます。しかしこれは同時に個性があるもので誰一人として同じ方はいないのです。
顎を右に動かした時の左の顎関節の動き
顎を右に動かしてみてください。その時の左の顎の関節に注目します。
非作業則の顎関節の動きに注目です。
左の顎関節は最初右側にシフトしますが、その後歯と歯が干渉して関節は右下(内下方)
に移動します。
これは右側の歯と歯の噛み合わせによって決まります。
イメディエイトサイドシフト
横に移動した時の顎関節の一例です。他にも数種類のサイドシフトの動き方があります。
顎を右に動かした時、左側の顎関節はまっすぐ右側にシフトします。シフト量は0〜3mmの範囲で行われ、平均は1mmと言われています。
この偏心運動時の顎関節には0〜3mmの範囲では個人差が認められていますが、4mm以降は同一のようです。
サイドシフトの形には個人差がある
顎の関節を右側に移動した時の左側の関節の動き
サイドシフトについては多くの研究がされていますが統一された見解は未だありません。
つまりサイドシフトには個性的なものが多いと言えます。
サイドシフトの種類はプログレッシブサイドシフト、イメディエイトサイドシフト、アーリーサイドシフトなどがあります。
それぞれ顎が移動した時の反対側の顎関節の動きを注目しています。
偏心運動の咬頭干渉
偏心運動とは左右に顎を動かすことで
先ほど説明したサイドシフトも偏心運動時の関節の軌跡になりますが、
簡単に言うと顎を右や左や前に動かす運動のことです。
この時右に動かした時に左の奥歯が、左に動かした時に右の奥歯が強く当たってしまうことを偏心運動時の咬頭干渉と呼びます。
下図のように横に顎を動かすと奥歯が当たってくることを言います。
歯が強く当たってしまうとどのような問題が起きてしまうのでしょう。
咬頭干渉で虫歯になる
歯と歯がすりあってしまう咬頭干渉、強く圧力が加わってしまうと、歯にヒビが入りそこから虫歯に汚染してしまうことがあります。
奥歯の咬頭干渉をなくすことで、虫歯のリスクを減らすことができます。
咬頭干渉で歯周病になる
強い咬頭干渉によって歯を支える骨が溶けてしまうことがあります。
噛み合わせによって歯周病になってしまう病気、咬合性外傷はこれにあたります。
いくらクリーニングをしたりケアを徹底したとしても噛み合わせを改善しない限り歯周病が治らないこともあります。
咬頭干渉で歯が痛む
歯と歯が思わぬ力で擦りあってしまうと歯に大きな負担がかかってきます。
特に縦の力(垂直的な噛む力)より歯ぎしりのような横の力が歯に加わると歯は咬合性外傷と呼ばれる痛みを伴うことがあります。
咬頭干渉の治療法
それでは実際に咬頭干渉が起きてしまったらどんな対応があるのでしょうか。大きく4つに分けてまとめてみました。
①干渉してるとこを削って調整
一番単純で応急的な処置です。
咬合性外傷によって負担を受けている歯を少し削って治療します。
しかしあまり削る歯が多くなると噛み合わせが低くなったり、他の歯がストレスを負担してしまうのでやりすぎは注意です。
②歯ぎしり用マウスピースを作ってみる
歯ぎしりや食いしばりは歯の偏心運動時における歯への病的行為です。
まずは咬頭干渉している部分をマウスピースにて改善します。夜寝ている間のマウスピース装着で偏心運動による歯への干渉を抑えます。
③干渉してるとこを差し歯に置き換える
咬頭干渉している歯が病的になってしまったら歯の治療をしてしっかりした差し歯を装着します。
干渉部を改善して長持ちをする差し歯を作ります。
④矯正治療をしてみる
咬頭干渉が複数の歯で見受けられる場合は差し歯などの補綴物に頼るのではなく、歯を並べる矯正治療も一つの選択肢として考えられます。
歯を並べる矯正治療は見た目をきれいにするだけでなく噛み合わせを整えてくれて歯の負担を分散させてくれます。
まとめ
奥歯に虫歯が多い方、歯周病がうまく治っていない方、それはもしかしたら噛み合わせからくるものかもしれません。
偏心運動時の咬頭干渉を避けてなるべく長持ちのできる噛み合わせができればいいですね。
気になったら是非担当の先生に相談してみてください。
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